猫の下部尿路症候群について

猫の下部尿路症候群について

2022/9/9
獣医師
【監修医】青木 大
獣医師

不調を抱えた猫の症状・原因について

不調を抱えた猫の症状・原因について

猫に多い疾患の1つ

下部尿路症候群は膀胱や尿道に発生する疾患の総称で、英語の頭文字からFLUTDと略されます。猫の泌尿器に関する疾患のうち、膀胱炎をはじめとする尿道炎や尿石症なども当てはまります。
下部尿路疾患のよくみられる症状としてはトイレに行く回数の増加、頻尿により一回のトイレの量も少なくなります。
またトイレ以外の場所で排尿してしまうという事も見られます。


下部尿路症候群の疾患の中に、5割強を占めている特発性膀胱炎(特発性FLUTD)があります。これについては発症の原因が詳しく判明していないものもありますが、ストレスや免疫低下が原因であると言われています。


その次に多く、2割程度を占めるのが尿石症です。尿石症が現れる場合、ストルバイト、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、尿酸、尿酸アンモニウムなどの結石ができますが、多いのはストルバイトやシュウ酸カルシウムの結石です。


大抵は、ストルバイト尿結石の場合、マグネシウムの摂取量が多いと言った様に、普段の食事の栄養バランスが偏っていることが見受けられます。結石が出来ると尿道に傷をつけてしまい、酷くなると尿道に結石が詰まってうまく排尿できなくなります。そうすると、尿毒症や急性腎不全を起こしてしまうこともあります。特に、オス猫は尿道が先に行くにつれて細く曲がっているため、小さな結石でも尿道閉塞が起きやすいので注意が必要です。


そもそも、猫の祖先は砂漠で生活をしていたために水分摂取量が少ない動物です。水分の量が少ないことで尿が濃くなってしまい、結石ができやすいという傾向があります。さらに、冬になると、水分を摂る量が少なくなる傾向もあるので特に注意が必要です。


その他にも、結石だけでなく泌尿器に細菌が感染して症状が現れる場合もあります。


<関連記事>
・猫の尿石症(尿路結石症)について
・猫の膀胱結石について – EPARKペットライフ
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猫のためにあなたができること

猫のためにあなたができること

原因によって治療内容が異なる

トイレに行っても尿が出ないという状況が確認できたとき、半日ぐらい経過しても改善されない場合は尿毒症の心配もありますので、早く動物病院に連れて行ってあげましょう。
獣医師に診てもらう際に伝えると参考になるのが
・1日に何回ぐらいトイレに行こうとしているか
・その度に尿はしっかりした量が出ているか
・最後に排尿できたのはいつか
などです。また、普段与えているキャットフードを持参していくのも重要な手がかりになります。
詳しく検査する方法としては尿検査などがあります。採尿ができるのであれば、尿を持参していきましょう。

採尿をしやすい方法として、システムトイレを使用しているお宅の場合、下に溜まっている尿を採取して持参するという方法があります。他にも、排尿時に邪魔にならないように、カットした紙コップなどを差し出す方法で尿を採尿することも出来ます。

ただし、注意点として採尿してから時間経過したものは正確な判断ができないことがあります。その際は、動物病院で採尿してもらいましょう。

治療法としては結石などで尿道が詰まっている場合、カテーテルを使って尿道を洗い結石のつまりを改善する方法が多いです。症状が進み、尿毒症が発生してしまっている場合は入院による点滴治療、尿道へのカテーテル処置、場合によっては外科手術が必要となることもあります。
症状が軽度で尿が出ている状態であれば、主に食事療法で改善していきますので、獣医師と相談し、適切な食事の指導を受けましょう。

猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • トイレ以外の場所で排尿した
  • 血尿が出た
  • 一回の尿の量が少ない
  • 排尿を長時間行っている気配がない

かかりやすい猫の種類

  • シャム
  • ペルシャ
  • スコティッシュフォールド
  • トンキニーズ
  • ヒマラヤン
  • ロシアンブルー

   

また、以下の状況の猫もかかりやすいです。

  • キャットフードの成分などを特に気にしていない
  • 冬など水を飲む量が少ない時期
  • オス猫
獣医師
【監修医】青木 大

あおき動物病院/神奈川県 厚木市 長谷32-2 ◇所属学会:獣医麻酔外科学会 、日本獣医腎泌尿器学会 ◇学会発表・論文:1997年より学会での多数の口頭発表と学術論文の発表

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