猫が血尿を出しました。病気でしょうか?

猫が血尿を出しました。病気でしょうか?

2022/9/16
獣医師
【監修医】中島 豪
獣医師

不調を抱えた猫のしぐさや症状について

ゴロンとしている猫

量や色、行動に変化が出ます

   

量の異常

普段の尿の量は、トイレ掃除などを通してなんとなく把握されていると思います。
そんな中、量が増えたと感じる事があるかもしれません。反対にとても排尿量が少ないケースもあります。尿量の変化は、何らかの体の異常を示唆している場合があります。

   

色の異常

尿量だけでなく、尿の色でも健康状態が分かります。
ペットシーツや猫砂を白っぽい色にしておくと、尿の色がわかりやすくなります。
通常は薄い黄色ですが、いつもより色が濃いと感じたり、赤っぽい血尿だったというような場合は、一度動物病院で診てもらった方が良いでしょう。

   

排尿時にとる行動

排尿痛により、排尿時間が長くなったり排尿時に鳴き声を上げたりすることもあります。トイレではない場所に排尿をしてしまったり排尿後にペニスを気にして舐めたりすることもあります。これらは膀胱炎などの下部尿路疾患の症状の1つと考えておくと良いでしょう。

考えられる猫の不調の原因は?

猫のトイレ

尿の状態により変わります

尿の量が多い時

腎臓に問題が起きている可能性があります。例えば、慢性腎不全が原因の場合、水をよく飲むようになり尿の量が増えたりします。
また、糖尿病や甲状腺機能亢進症、その他の疾患によっても尿量が増えることはありますので動物病院で診察をしてもらうと良いでしょう

   

尿の量が少ない時

泌尿器の異常が考えられます。
細菌などの感染による膀胱炎や尿道炎のような下部尿路疾患が起きると、少量の尿を頻回に排尿することがあります。排尿時に鳴き声をあげることもあります。
また、あまりにも急激に腎臓の機能が落ちてしまうと急性腎不全となり、腎臓での尿の生成ができなくなって尿量が少なくなります。出来るだけ早く動物病院を受診するようにしましょう。

   

尿の色がおかしい時

膀胱炎や尿道炎のような下部尿路疾患では、炎症や出血により薄赤~焦げ茶色の尿をすることがあります。
また、肝臓の炎症が原因で尿が濃くなることがあります。
暑い時期には熱中症が原因で血尿が出る事もありますので、高温時には熱中症も考えておきましょう。
他には、玉ねぎや長ネギなどのネギ類を食べてしまった場合や免疫介在性溶血疾患などでは、赤血球などが破壊される溶血性貧血により尿の色が赤~黒くなることがあります。

   

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舌を出している猫

尿の採取を行う

尿検査などに使えるので、動物病院に連れて行く前に尿の採取が出来るようであれば採尿してみましょう。
例えば、紙コップを斜めに切って園芸用の筒状のスコップのようにすると、採尿する事が出来ます。
また、深めのお皿やよく洗ったトレーでも代用できるかもしれません。
採尿しようとして排尿の前に構えて準備するとなかなか排尿しないので、尿が出始めてから採尿を試みてください。
うまく採取出来ない場合、トイレの下に溜まっている尿を採取して持っていく方もいらっしゃいます。
ただ、この方法は多頭飼いしている場合には使えませんし、尿以外の物質の混入により尿検査の精度は低下します。

排尿の頻度を把握する

いつもこのぐらいにトイレをするはずだけど・・・と思ってから半日、排尿をしていないと感じた場合は、必ずすぐに動物病院へ連れて行くようにしましょう。
また、尿の異常があった場合も、必ず動物病院に連れて行ってあげましょう。
病状によっては時間を争う場合もあります。様子を見ても24時間が限度と考えましょう。
24時間以内でも亡くなってしまう場合もありますので、出来れば早めに連れて行ってあげて下さい。

獣医さんに猫の症状を伝えるポイント

  • トイレの回数の変化
  • 尿の色についての変化
  • 排尿時に鳴き声を上げるか
  • 水を飲む量が増えているか
  • 食事量が増えているか
  • 発熱、嘔吐、下痢をしていないか
  • お腹を触ろうとしたら嫌がらないか
  • 口をあけて呼吸したりしていないか
  • いつもと違う食べ物を食べてしまった事が無いか

その他、気になることがあったら合わせて伝えましょう。

考えられる病名

  • 膀胱炎
  • 下部尿路症候群
  • 溶血症
  • 尿毒症
  • 細菌性膀胱炎
  • 無菌性膀胱炎
  • 腎炎(糸球体腎炎)
  • 白血病ウイルス感染症
  • 慢性腎不全
  • 熱中症
  • 肝炎
  • 肝硬変
  • 中毒
  • アミロイドーシス
  • 尿路結石
  • 膀胱結石
獣医師
【監修医】中島 豪

チコラ動物病院/東京都 府中市 白糸台4-14-53ハウス35
◇所属学会:獣医がん学会、獣医神経病学会、日本獣医腎泌尿器学会、日本小動物歯科研究会

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