猫の胸水について

猫の胸水について

2022/9/15
獣医師
【監修医】新井 仁
獣医師

不調を抱えた猫の症状・原因について

不調を抱えた猫の症状・原因について

胸腔内に何らかの液体が溜まる

胸水とは、肺が入っている胸腔内に何らかの液体が溜まり、肺が十分に拡張できずに呼吸を困難にさせる症状です。胸腔内に溜まる液体は主に膿性滲出液、非化膿性滲出液、血液、乳び(脂肪、あるいは遊離脂肪酸が乳化し、リンパ液に混ざった乳白色の液体)循環不全による漏出液、腫瘍性胸水などが挙げられ、胸水の原因となる液体の種類によって「膿胸」「血胸」「乳び胸」と個別の名称で呼ばれることもあります。

   

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胸水の原因は、ウイルスの感染や傷口からの細菌感染、肺気腫、腫瘍によるものなど、その原因はさまざまです。高いところから落ちる、他の猫との喧嘩などによる外傷から細菌が感染をします。
胸水の原因が何であるかによってその原因に由来する症状も現れます。例えば、血液が溜まる「血胸」は、胸腔内に血液が溜まるのでその分血液が不足し、貧血を起こします。


胸水の症状としては激しい咳、発熱、食欲不振などの症状が現れ、胸に痛みを覚えるので胸を触られるのを嫌がります。症状が進行すると呼吸困難に陥ります。個体差もありますが、初期症状としては発熱や食欲不振などのわかりにくい症状しか現れず、呼吸に異常を感じる時には既に胸腔内にかなりの量の液体が溜まっていて、症状がかなり進行して呼吸が辛い状態になっている場合が多いです。

  

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初期症状を見逃さない

初期症状の段階で治療を開始すれば、内科療法と食事療法で症状が改善する場合があります。しかし、ほとんどの場合では酸素吸入で呼吸状態を整え、針などで胸腔に穴を開けて胸腔内に溜まっている液体を排出させるといった手術を必要とします。また、胸水の原因となっている病気がある場合はその治療も同時に行い、外傷があればそれに応じた処置も行います。自宅では安静を心がけ、新鮮な空気を常に取り入れておくことも重要になります。


早期に胸水を発見できればそれだけ治療も楽に、早期に完治することができますので、食欲が落ちたり発熱や咳き込むなどの症状がみられたら、速やかに動物病院へ連れていきましょう。

猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 元気が無くなる
  • 食欲が低下する
  • 咳をする
  • 発熱
  • 呼吸が荒くなる
  • 皮膚や粘膜が青白い(チアノーゼ)
  • 貧血(血胸の場合)
  • 脱水症状

かかりやすい猫の種類

外に出る猫(交通事故や喧嘩による怪我をする可能性が高いため)

獣医師
【監修医】新井 仁

谷津どうぶつ病院/千葉県 習志野市 谷津2-20-7

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