ペット初心者さんのはじめてのペットサロン
毎年の接種をすすめられることが多い混合ワクチン、飼い主の皆さんはどのようにされていますか?
ワクチンの種類や接種の頻度などについては、いろいろな意見や情報があり、お悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そんな混合ワクチンへの疑問や、知っておきたい基礎知識など、獣医師の先生に答えてもらいました。正しい知識を身に付けて、ワンちゃんの病気予防に取り組みましょう!

犬のワクチン予防接種について

ワクチンってなに?

ワクチンとは、動物が本来持っている「病原体に対する抵抗力(免疫)」のシステムを利用して、感染症に対する「免疫」をあらかじめ作らせておく製剤のことです。病原体あるいは細菌毒素の毒性を弱めたり失わせたりしたもので、あらかじめに接種しておけば発病することなく、抗体を産生させ免疫反応の記憶を残すことが可能です。そしていざ本当の病原体が侵入してきたときに、すばやく免疫による防衛反応が働き発病せずにすみ、ワクチンをあらかじめ接種しておくことで感染症の発症予防、症状軽減が期待できます。

どんな病気に効果があるの?

ワクチンで予防できる伝染病は下記の11種になります。

  • ①ジステンパーウイルス感染症
  • ②アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎)
  • ③アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
  • ④パラインフルエンザ感染症
  • ⑤パルボウイルス感染症
  • ⑥コロナウイルス感染症
  • ⑦レプトスピラ感染症コペンハーゲニー型(イクテロヘモラジー/黄疸出血型)
  • ⑧レプトスピラ感染症カニコーラ型
  • ⑨レプトスピラ感染症ヘブドマディス型
  • ⑩レプトスピラ感染症オータムナリス型
  • ⑪レプトスピラ感染症オーストラリス型

ワクチンの種類

犬 ワクチン3種

①ジステンパーウイルス感染症
②アデノウイルスⅠ型感染症(犬伝染性肝炎)
③アデノウイルスⅡ型感染症(犬伝染性喉頭気管炎)
の3種が予防できます。

犬 ワクチン5種

3種混合ワクチンに加えて
④パラインフルエンザ感染症
⑤パルボウイルス感染症
の5種が予防できます。 ジステンパーウィルス、犬伝染性肝炎、パルボウイルスは 感染すると死亡率が高いため、コアワクチンとして重要です。 犬の感染予防のためには5種以上のワクチン接種が基本となります。

犬 ワクチン6種

5種混合ワクチンに加え
⑥コロナウイルス感染症
の6種が予防できます。
コロナウイルスは、単独感染ではそれ程重症にはなりませんが、 パルボウイルスと混合感染することにより、死亡率がかなり高くなります。

犬 ワクチン7種

5種混合ワクチンに加え
⑦レプトスピラ感染症コペンハーゲニー型(イクテロヘモラジー/黄疸出血型)
⑧レプトスピラ感染症カニコーラ型
の7種が予防できます。 レプトスピラ感染症は人も感染する人畜共通感染症としても重要です。 型もいくつかあり、現在予防できる型は5つです。 レプトスピラが入っているものは副作用が出やすく、ワクチンアレルギーを起こしやすい子やとくにMダックスフンドで致死的な副作用を起こすことが多いので注意が必要です。 そのため、体質、飼育環境、生活環境、感染リスクを踏まえた上で レプトスピラが入ってない5・6種以下のワクチンを接種するか レプトスピラが入っている7種以上のワクチンを接種するか選択することになります。

犬 ワクチン8種

7種のワクチンに加え
⑤パルボウイルス感染症
の8種が予防できます。

犬 ワクチン9種

8種混合ワクチンに加え
⑨レプトスピラ感染症ヘブドマディス型
の9種が予防できます。

犬 ワクチン10種

9種混合ワクチンに加え
⑩レプトスピラ感染症オータムナリス型
の10種が予防できます。

犬 ワクチン11種

10種混合ワクチンに加え
⑪レプトスピラ感染症オーストラリス型
の11種が予防できます。

ワクチンについてのよくあるご質問

  • ワクチンは必ず接種しないといけないですか?

    犬が接種するワクチンは法律によって義務付けられている狂犬病ワクチンと伝染病予防のための任意の混合ワクチンの大きく分けると2種類です。つまり、必ず打たなければいけないのは狂犬病ワクチンのみです。しかしドッグランやペットホテル、サロンなどの施設では伝染病予防、衛生管理から混合ワクチンの接種を求めるところが多く、必ず打たなければ、日常生活に支障が出る子が多いのが現実です。伝染病から愛犬を守るという意味でも混合ワクチンの接種をすることが望ましいと私は考えています。

  • ワクチンは毎年、接種しないといけないものですか?

    狂犬病ワクチンは法律により、毎年接種し、届出をすることが義務付けられています。 混合ワクチンも動物病院では1年ごとの追加摂取を奨励することが一般的で、私も1年ごとの追加摂取を提案しています。また接種自体は任意になりますが、ドッグランやペットホテル、サロンなど犬が集まる施設では1年以内の混合ワクチンのワクチン証明書の提示を求められることも多く、毎年受けている子が多いのが現実だと思います。

  • ワクチン種類の違いはなんですか?

    混合ワクチンはレプトスピラが入ってない5・6種以下とレプトスピラが入っている7種以上に大きく2つに分かれます。レプトスピラが入っているものの方が副作用が強く出る場合がありますので、ワクチンアレルギーを起こす体質の場合は避けたほうが安心でしょう。 ワクチン自体、使用されている病原体が生きているか、死んでいるかで生ワクチンと不活化ワクチンに大きく2つに分けられます。弱毒化した生きた病原体を使うのが生ワクチン、死んだ病原体を使うのが不活化ワクチンです。生ワクチンは効果は長いが個体の体調によっては感染する恐れがあります。不活化ワクチンは感染することはありませんが、予防効果は1年ほどと短いです。犬用ワクチンでは生ワクチンと不活化ワクチンを混ぜて使用することもあります。

  • 犬種によって接種するワクチンに違いはありますか?

    Mダックスフンドはレプトスピラの入った7種以上のワクチンで強い副作用を起こすことが多いので、レプトスピラの感染が低い環境で生活しているのであれば、避けたほうが良いと私は考えています。

  • ワクチン接種に適した季節はありますか?

    季節については特に奨励される時期はないと認識しています。ただ、狂犬病ワクチンのお知らせが各自治体から届くのが春のため、春~夏にかけて接種することが一般的です。"

  • あかちゃんでも接種しないといけないですか?

    免疫機能が弱いあかちゃんだからこそ、ワクチン接種による伝染病の感染予防は有効です。混合ワクチンで予防できる病気に感染して死亡する多くが、子犬である事実は現在も変わりません。また1回の接種では十分な効果は期待できません。1回だけではワクチンによる免疫反応が弱く、数回接種することで伝染病予防に必要な抗体が作られます。そのため4週間前後あけて2回~3回連続で接種をするのが一般的です。回数、接種のタイミングがワクチン免疫をあかちゃんにつけてあげるのに重要になってきますので、獣医師と相談して、ワクチン接種を行ってあげるとよいと考えてます。

  • ワクチン接種は1年に一回か3年に一回かどちらがいいですか?

    子犬のワクチンプログラムが終了後は1年に一回の追加接種が奨励されるのが一般的です。しかし、最近では3年に一回で良いという情報もインターネット中心に見受けられます。結論から言うと私自身は1年に一回の追加接種をおすすめしています。ワクチンとはあらかじめ感染から身を守るために、体に免疫をつけるものです。病原体から身体を守る抗体を作ることでその効果は発揮され、感染予防のためにはある一定量の抗体(抗体価)が必要です。抗体価は血液検査で測定することができ、ワクチンの効果が現時点で身体に十分あるのかが判断することが可能です。抗体価検査を毎年受けながら、ワクチン接種を行っている子もおり、ワクチン接種後1年後、2年後の検査では十分な抗体価がある子が多いと言われています。また海外で、コアワクチン3種については接種後3年は抗体価が保たれているというデータも出ており、ワクチンの追加接種3年説を裏付けています。しかし、ワクチン接種後の免疫反応は個々異なるので、必ずしもその子にワクチンの効果が長期に出るとも限りません。抗体価検査をせず、安易に3年に一回で良いと考えるのは私は危険かなと感じています。情報を見て3年でいいと書いてあるからと、安易に打たなくて良いのだと思っている方が多いのも事実だと普段診察室で実感してます。結果的に感染して、苦しみ、命の危険にさらされるのは大切な家族。混合ワクチンは任意接種です。獣医師と相談しながら、ご家族で決められるのが良いかと私は考えています。

  • ワクチンの効果はいつまで続きますか?

    ワクチンを接種すると、病原体から身を守るための抗体が作られます。その抗体は作られた後、少しずつ体の中から減り、感染防御に必要な量が保たれている間はワクチンの効果を期待できます。どのくらい作られ、そのくらいで感染防御に必要な抗体価を下回るかは個体差によります。体質によってはワクチン接種をしても十分な抗体価を得られない子もいますし、半年、1年、5年以上持つ子もいるようです。このように大きな個体差があるものですが、一般的には1年以上と考えられ、そのため1年に1回の追加接種を行い、感染に必要な抗体価を維持させるのがワクチン接種の目的です。ワクチンの効果があるのかが知りたいときは血液検査で抗体価検査を行ってください。病原体ごとの抗体価がわかり、感染防御ができる状態(ワクチンの効果がつづいてる)なのか、確認が可能です。

  • 前回接種してから、5年ほどたちましたが再度ワクチンを接種したほうがいいですか?

    感染予防を考えるのであれば、打った方が良いと思います。しかし、1年に一回の追加接種が奨励される中、5年間未接種の状況ですから、何か打たない理由もあるのだと推測されます。ワクチンは体質、状況によっては著しく体調を崩したり、アラフィラキシーショックを起こせば命を落とす子がいる子も事実です。獣医師と相談した上、今後のワクチンプログラムを検討することをお勧めします。"

  • 副作用はあるかワクチンに副作用はありますか?

    薬にはどんなものでも主作用と副作用があります。ワクチンの主作用は抗体を作り病原体の感染を防ぐこと。副作用はワクチンアレルギーなど、様々な症状が報告されています。私も日常的にワクチン接種を行いますが、副作用を見るケースは少なくありません。接種直後(15分以内)に出るアナフィラキシーショックでは死亡することもあります。そのほか、数時間以内に顔面浮腫(ムーンフェイス)・発赤・痒み・元気消失・食欲低下などその他さまざまな症状があります。副作用は体質によるので、ワクチン後体調に変化のある子は要注意です。また、接種を続けていくと症状がきつくなっていく場合もありますので、ワクチン接種後副作用と思われる、体調不良を起こす子は注意が必要です。副作用を軽減させる薬をワクチン接種前に投与したり、症状によっては接種をしない場合がいいときもあります。接種後体調が悪くなったことが過去にある場合は、獣医師に伝えてから接種するようにしてください。また、致死的な副作用が出るのは接種後15分以内がほとんどです、その間院内か、病院の近くにいることをお勧めしています。体調変化が出たときのことを考えて、午前中遅くとも午後1番に接種し、自宅で様子を見れる日を選ぶことをおすすめしてます。

  • 年齢によってワクチンの種類は変わりますか?

    混合ワクチンはレプトスピラが入っているかどうかで6種以下と7種以上に大きく2つに分かれます。レプトスピラが入っているものの方が副作用が強く出る場合があります。そこを踏まえた上でどのワクチンを接種するかを選択し、年齢による明確な違いはありません。私は、ワクチンの副作用が出る、飼育環境にもよりますが生後6か月以下、高齢、基礎疾患がある、闘病中などの場合は副作用が出たときの体調を考慮し、6種以下のワクチンを選択することが多いです。

  • ワクチン接種後、すぐにシャンプーしても大丈夫ですか?

    ワクチンをうった後は安静を指示し、シャンプーや激しい運動は避けてもらいます。接種後は身体の中で免疫反応が起きたり、生ワクチンを接種した場合はストレスや体調を崩したりしますと、発症してしまう心配もありますので、接種後1週間ほどはいつもと変わったことは避けてください。

  • 子犬はワクチンを何本接種したら散歩にいけますか?

    お散歩デビューのタイミングは子犬のワクチンプログラムが終了したら、が一般的です。子犬のワクチンプログラムは諸説ありますが、母犬からの移行抗体(お母さんからもらう免疫)がなくなる生後45日以降から4週間前後あけて2~3回連続で接種することで感染防御に十分なワクチン免疫を獲得できると言われています。1回目の接種の時期、その後の追加接種の時期により何本と明言しづらいですが、3回目のワクチンが終わったらお散歩デビューする子が多いです。ワクチン接種で期待できることは、例えば6種混合ワクチンであれば、6種類の病原体に対する予防ということになります。ワクチンが打ててないから、外に出られない。と考えてる方が多いですが、子犬の社会化のためにも早い時期からたくさんの経験を積ませてあげたいと私は考えています。犬から犬へ感染する病気だけを考えれば、犬のいない環境であれば、感染の心配はありません。(空気感染含めて、間接的に感染するものもありますので、可能性はゼロではない)抱っこで散歩をする、犬のいないお宅へ遊びに行く、病気でない健康な犬と合わせる(同居犬がいるケースはこれに当たる)など感染の可能性が低い状況であれば、どんどんお外に出してあげても良いと私は考えています。ただし、体調が万全な時に限りますし、長時間へとへとになるまで遊ばせて疲れさせる、というのが厳禁です。本人が疲れない程度にお外の世界を教えてあげてください。こういうところに連れて行ってもいいかな?と迷ったときはワクチン接種をしてもらっている動物病院に相談するのが良いでしょう。

  • ワクチン接種後に気をつけることはありますか?

    接種後15分以内には重い副作用(アナフィラキシーショック)が出る場合がありますので、院内、あるいは病院の近くにいてください。その後は寄り道せず、自宅に帰りゆっくりと休ませるのが良いでしょう。安静を指示されると思いますが、とはいえ、子犬。じっと、大人しくはしてはくれませんので、多少室内で走り回ってる分には問題ありませんが、長時間になったり、興奮するようであれば、人が声かけをして、落ち着かせてください。人から遊びに誘うのはワクチンをうった日はやめましょう。ワクチンをうった日は、家に帰った後、元気がなくなったり、ごはんを食べなかったりするかもしれません。よほど具合が悪くなれば一晩寝れば治るものですが、明らかに具合が悪い、あるいは翌朝になっても具合が悪いようであれば、動物病院で診てもらったください。

  • 狂犬病ワクチンと一緒に接種しても大丈夫ですか?

    基本的にはワクチン接種をする場合は2週間~1ヶ月ほど間隔をあけた方が望ましいです。私の場合は混合ワクチンの場合は4週間、狂犬病ワクチンのあとは2週間あけた方が良いとお伝えしています。しかし、期待できる効果は一緒にうっても同じなので、同日にできないわけではありません。間隔をあけた方が良い理由はいくつかあります。ワクチンは身体の中で免疫反応を起こして、病原体に対する抵抗性を体に付けますので、接種後はいつもとは違う身体の反応があるということです。そのため、複数のワクチンを同時接種すると、その分身体の負担は大きくなります。また、万が一、副作用含め、体調を崩した場合、どちらのワクチンが原因で具合が悪くなったのかわからず1年後(あるいは子犬の場合は1か月後)追加接種のタイミングでどのワクチンで具合が悪くなるのかわからず対応に困ります。時間がないなどの特殊な状況を除いては、余裕を持ったワクチン接種の計画を立てられると良いと思います。

  • 接種したらすぐ効果がありますか?

    すぐ効果はありません。ワクチンの薬液自体が、効果を持つものではなく、ワクチンをうった後、身体の中で免疫反応が起き、個々の病原体に対する抗体が産生されることで効果が出ますので、効果が出るまでには2週間ほどかかります。ペットホテル、サロンに預ける、旅行に一緒に連れて行くのに、ホテル、サロンでワクチン証明書の提示を求められるからと直前にワクチンをうちに来院される方が少なくありませんが、確かにホテル側が求める1年以内のワクチン証明書の条件は満たしますが、愛犬を感染症から守る。という観点からみれば、お出かけの直前にうっても全く意味がありません。

  • 接種前後に食べていけないものはありますか?

    特にないと私は考えています。しかし、ワクチン接種後は体調を崩す可能性がありますので、食べなれないものは前後数日は避けておいた方が無難です。ステロイド剤などの免疫抑制効果のあるお薬、その他お薬を飲んでるときにワクチン接種をする時期が来た時はかかりつけ医とよく相談してください。ワクチン含めた予防処置は体調が万全であることが絶対条件になります。持病、慢性疾患含め、体調に不安がある場合はかかりつけ医と相談してください。

監修医のご紹介

  • 箱崎加奈子
  • 獣医師/トリマー/ドッグトレーナー

    箱崎 加奈子

    kanako Hakozaki

  • アニマルクリニックまりも病院長。病気から日常のケアまで飼い主さんと二人三脚でケア治療を行う、ペットのためのトータルケアサロンを東京世田谷、杉並で開業。健康で快適なペットとの生活を提案しています。

住所
東京都 杉並区 堀ノ内1-7-37君田ビル1F
アクセス
東京メトロ 丸の内線方南町駅から徒歩約3分
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