犬の鞭虫症について

犬の鞭虫症について

2022/9/9
獣医師
【監修医】豊田 昌太郎
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

笑顔でスカーフを巻いた中型犬

大腸、特に盲腸に寄生する犬鞭虫が起こす病気

鞭虫症(べんちゅうしょう)は、鞭虫という寄生虫によって引き起こされる病気です。犬の鞭虫症の場合は、特に盲腸部分に寄生することが多く、さまざまな弊害を引き起こします。頭部が鞭のように見えることから鞭虫と呼ばれるようになりました。
状態が悪化してしまうと、盲腸から大腸や小腸に症状がひろがることもあります。こうなると、かなり末期の段階なので、そうなるまえに、早期発見早期治療を行なうことが大切です。顕微鏡で糞を検査すれば、便中独特の虫卵が検出でき診断できます。

【主な症状】
初期段階ではこれといった症状があらわれないことも多く、感染しているかどうかわからない場合があります。寄生する鞭虫の数が多いと、下痢や粘りのある血便、腸炎、栄養不良、貧血、脱水症状などの症状があらわれます。栄養不良が原因で毛のつやが悪くなることもあります。

【主な原因】
原因は、既に鞭虫症に感染している犬の便を食べたり、接触を持つことで感染します。
鞭虫症の症状のひとつにある貧血は、鞭虫が吸血性の寄生虫であることから、吸血され起こります。

犬のためにあなたができること

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スキンシップで早期発見、定期検診で確実な予防を

鞭虫症の初期症状はわかりにくいので、普段から出来る限り犬とスキンシップをはかり、上記の症状が出ていないか、妙なものを口にしていないか確認してあげましょう。定期的に動物病院を受診し、健康管理を行なうことでも予防出来ます。
検査方法は、検便による顕微鏡の検査で詳しく診断していきます。
治療法は、駆虫薬投与の薬物療法で回復します。下痢は輸液療法で対応し、ひどい貧血の場合は輸血療法で治療することもあります。
しかし、犬の輸血は拒絶反応が起きやすく、逆に悪化するケースもあるので、しっかりと獣医さんと相談して輸血の判断を行ないましょう。鞭虫の卵は生命力が非常に強いので、犬の体外に出た後、外界でも生き続けます。
再発の可能性も考慮し、定期的に動物病院を受診し、早期治療を心がけましょう。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 下痢
  • 粘りのある血便
  • 貧血
  • 腸炎
  • 毛艶が悪くなる
  • 栄養不良
  • 脱水症状

かかりやすい犬の種類

  • 特にかかりやすい犬種というのはありませんが、成犬以降に発症しやすい病気です。年齢で発症するというよりも、外出頻度に比例して発症しているようです。
獣医師
【監修医】豊田 昌太郎

けいこくの森動物病院/東京都 世田谷区 等々力1-34-18
◇所属学会:獣医麻酔外科学会、獣医アトピーアレルギー免疫学会、日本小動物歯科研究会、免疫学会、ASC登録医(皮膚) ◇所属獣医師会:東京都獣医師会世田谷支部

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