院長/杉村 肇 へのインタビュー(3/4)

どうぶつ耳科専門クリニック 院長 杉村肇先生 どうぶつ耳科専門クリニック 院長 杉村肇先生
プロフィール
杉村 肇

1981年  獣医師免許取得
1984年  ドイツ・ハノーバー大学付属動物病院 研修
1985年  オランダ・ユトレヒト大学付属動物病院 研修
1988年  杉村動物クリニック 開業
2014年  「どうぶつ耳科専門クリニック主の枝」開院

2014年に、国内で初の耳科専門の動物病院として開院した「どうぶつ耳科専門クリニック 主の枝」。ハイレベルな知識と技術が求められる専門医として日々診療を行う杉村院長に、開業に至るまでのお話や自身が考える獣医療の展望を伺った。
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日々、さまざまな症例と向き合う

広域から来院される患者さん

治療の際は、なるべく声をかけるようにしたり、怖がっている子には「怖がらなくてもいいよ」という気持ちで接するように心がけています。技術においては、出来るだけの技術を提供し、飼い主さんには、なるべく分かりやすく丁寧な説明をさせて頂きます。
当たり前のことなのですが、これらの姿勢に共感や期待を持ってくださり、近畿圏、北陸、四国、中国地方などから片道数時間かけて来院される患者さんもいらっしゃいます。また、例えば九州など、ものすごく遠方からのお問い合わせなんかもよくあるんですよ。そんな方に関しては、来院はやはり難しいのでアドバイスをさせて頂くことにとどまってしまいますが。時間をかけてでも頼ってきていただけるというのは、嬉しい反面、身の引き締まる思いがします。

記憶に残るエピソード

とあるワンちゃんは、昼も夜もずっと寝てばかりだったそうです。飼い主さんは、それもその子の特性で、おとなしい性格なだけなんだと考えていたのですが、そのうち、かなり深刻な耳の病気を持っていたことがわかって、それで来院し治療を受けられました。
回復したときには、今までの様子が嘘のように活発になりまして。今まで行こうとしなかった2階へも自ら階段を上り下りしたり、散歩中に近所の人から「元気になったね」と声を掛けられるくらい、表情自体がすごく明るくなったんです。
動物たちは、耳を患っていてもその症状を表現することはありません。しかしそんな話を聞くと、実際それだけ辛かったのだろうなということが分かりますよね。 実はワンちゃんには、耳の病気が進んだことで、外耳道と呼ばれる道がほとんどふさがってしまう事例が多々あります。ヒトの場合はそれを”耳閉塞感”といって、倦怠感のひどさから、耳鼻科に通いつめる方もかなりいらっしゃいます。
彼らの症状はきっと、頭痛やほかの痛みであったり、眩暈であったり、もしくは耳鳴りのようなものを感じているかもしれません。それらを表現することはない一方で、元気になった子がそれだけの変化をするという事は、患っていた時いかに辛かったのかというのが想像できます。
そんな苦しみに対して自分の技術が生かせるのは、とてもありがたいことだと感じています。

早く気付いてあげることが第一

ある統計では、ワンちゃんの病気別に多いのが、皮膚についで耳となっていました。それくらい耳の罹患率(りかんりつ)は高いんですが、幸いなことに適切な処置をすればほとんどの場合比較的早く治ることが多いと思います。早い段階で近所の獣医さんなどにかかってもらえれば、そこまで深刻な状態にはならないんですね。 しかし、慢性化していたり、気付かないうちに、より重症化しているケースはどうしてもありますので、そんなときは、なるべく早く当院などにお連れ頂きたいと思います。
動物たちが耳の症状に対して出しているサインにも、よく注意をしてあげてください。頭をよく振るとか、耳をかゆがるとか、もしくは顔を近づけてみると耳が臭うとか。
意外と中耳炎が慢性化している子って多いんですよね。当院に来る患者さんも、もっと早く気付いてあげられていればここまで深刻にならなかったのに、という子が多いです。
放っておくと、どんどん進行してしまうので、少しの変化も見逃さず、気になることがあったら受診することをお薦めします。
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