院長/幅田 功 へのインタビュー(3/4)

センターヴィル動物病院 院長 幅田 功 センターヴィル動物病院 院長 幅田 功
プロフィール
幅田 功

昭和45年 日本大学農獣医学部 卒業
昭和48年 カリフォルニア州サンカルロスペットホスピタル研修
昭和52年 東京都目黒区自由が丘にてセンターヴィル動物病院開設
平成4年  日本小動物歯科研究会設立 初代会長
日本獣医臨床病理学会 前副会長 日本大学生物資源科学部非常勤講師
著 書
(共書)イヌの病気百科(研究社)(共書)イヌの病気(講談社)
翻 訳
小動物臨床歯科ハンドブック(チクサン出版) 獣医歯科学(学窓社) THE VETERINARY CLINICS
所属学会
日本獣医腎泌尿器学会 日本獣医臨床眼科研究会 日本獣医麻酔外科学会 日本獣医循環器学会 日本獣医皮膚科学会

自由が丘駅前の喧騒から少し外れた住宅街に佇むセンターヴィル動物病院は、昭和の時代から長い間、この地域の獣医療を支えてきた。病院の大黒柱として敏腕を振るう幅田先生に、自身の考える獣医療についてお話を伺った。
  3/4ページ  

獣医療研究のため渡米したころのお話(2)

人と動物との関わりと共に発達していく獣医療

アメリカの病院に勉強に行った際に、眼科や整形外科、鼻、口、耳、頚椎、胸椎、手足等、体のいたるところ、当時日本でやっていない部位、分野の治療を沢山やっていました。現在は日本もだいぶ追いついていますけどね。1973年と言うとずいぶん昔のように聞こえますが、ついこの間の事ですよ(笑)
これは昔から変わらない事ですが、医療の発達の仕方は人と動物とのかかわりにも関係していて、例えば日本と比べると、アメリカの人口は3倍近くありますよね、だけど犬のいない家はほとんど無いんです。特に地方なんかに行くと必ず一家に一頭は飼育しています。つまり、単純に診療対象が私たちの何十倍も多いわけです。
また、気候の違いから、動物が長生きしやすい地域等もあります。例えば北部に行くと蚊がほとんど見当たりませんので、フィラリアという病気が非常に少ない。気候、風土、国情の違いというのは、政治経済だけでなくあらゆる面で影響してくるんですよね。

捨て犬や捨て猫がいない、アメリカの文化

これは文化というか動物愛護の面の話ですが、アメリカでは捨て犬や捨て猫がいないんですよ。全くいない。
そういうことをさせないようにするSPCA(動物愛護協会)という組織があるんです。職員がピストルや警棒、手錠なんかを持ってパトロールしてるんですよ。家の中に住まわしていないワンちゃん等がいると、飼い主さんが捕まってしまうわけです。
また、むこうではペットショップではなく、牧場のようなところで、州から指導を受けたブリーダーの方から動物を譲り受けることが多いです。イギリスでは犬を買うのに面接が必要なくらいです。日本ですと、いまだに動物の店頭販売をやっていますからね。ウインドウで見て動物を買うというのは、恐らく先進国では日本だけだと思います。欧米の人が見たらびっくりしますよ。

無償で運んでくれる動物の救急車

先程、日本の獣医療がだいぶ欧米のそれに追いついたと申し上げましたが、やはりまだ至っていない部分も多くあり、例えば動物の救急車等がそれにあたります。交通事故等で動けない、すぐに病院に運べない状態の動物を無償で運んでくれるんですよ。
国内でも、そこまでおおがかりな治療器具がなかった頃ですと患者さんの家まで往診に行くというパターンはありましたけどね。なにしろ検査や治療用の器具が少なかった為、我々獣医師は飼い主様のお話を聞いて、動物の顔色を診ることで病状を把握する訓練を積んでいました。
今でも電話で飼い主さんの話を聞けば恐らくどういう状態か、というのは判断できます。と言っても、現在ではそういった診療法方だけでは宜しくないので、色々な医療器具でその診断の裏づけをとって飼い主様に見せて差し上げる事が必要ですよね。
  3/4ページ