Veterinarian's interview

インタビュー

問診と身体検査を重要視し、丁寧な診察を行っています 問診と身体検査を重要視し、丁寧な診察を行っています

問診と身体検査を重要視し、丁寧な診察を行っています

こいずみ動物病院

小泉 秀彦院長

こいずみ動物病院

小泉 秀彦院長

2015年春、埼玉県川口市の産業道路沿いに開設されたこいずみ動物病院。一般診療はもちろん、眼科診療や夜間の救急治療など多くの経験を積んだ後、新規病院を開設した院長の小泉秀彦先生にお話を伺った。

contents 目 次

犬と猫の分離体制

当院は2015年4月に開院したばかりなんです。この病院を作るにあたって拘ったポイントが幾つかあるのですが、基本的に間口を広げて患者さんが入ってきやすい病院にしたかったので、天井が高く、開放感のある造りの物件を選びました。

待っている間もゆったり寛いでいただければと思っています。待合室や診察室だけでなく、手術室や入院室なども含めて、この空間にいる人が窮屈にならないよう心がけています。患者さんは来院しやすく、スタッフは働きやすい病院を考えていました。

内部の設備に関しては、当院ではワンちゃんとネコちゃんで入院室を分けています。あとは、入ったところに大きな柱があるのですが、この柱を利用してワンちゃんとネコちゃんで待合室も分けています。ネコちゃんは基本的に、ワンちゃんの鳴き声であったり臭いなどを怖がってしまいますので、こうして空間を分けることでお互いに極力ストレスを感じずにいられると嬉しいですね。

私は地元は東京都なのですが、埼玉には友人も多くいて比較的縁がある場所だったんです。そのこともあり、東京か埼玉で場所を探していたところちょうど良い物件に巡り合うことができ、この場所での開業を決心しました。

夜間診療で得た経験について

以前勤めていた病院が三交代制で24時間診療している病院だったんです。そのため、夜間診療も経験しましたし、その病院では眼科や外科診療の症例を任せていただくことも多く、自分としても大変勉強になりましたし、その時の経験は自信に繋がっていますね。

千葉県や東京都には夜間診療をやっている病院が非常に少ないので、緊急の患者さんが遠方からいらっしゃることもありました。他の病院様から紹介していただいてのご来院も、もちろんありましたがアレルギーで顔が腫れてしまったりだとか、皮膚が痒くて眠れないとか、咳が酷いといった症状の症例や、重症患者のケースですと、子宮蓄膿症や臓器の破裂、大型犬の胃捻転など緊急手術が必要な症例もありました。非常に多種多様な症例を目にしましたね。

その病院では夜は獣医師一人、看護師一人の体制でしたから、そういった外科手術も基本的には二名体制で行っていました。そしてどういうわけか、そういった大怪我をした子は夜に来院されるんですよね。

力を入れている眼科治療の原点について

眼科に関しては、私が社会人になって病院に勤務し始めてから、自分の得意とする科目というか、そういう武器になる科目がほしいなと考えていて、一般的な診察の合間を縫って勉強しました。

眼の病気は、例えば眼球の表面ですと角膜潰瘍、内部ですと白内障、緑内障という病気が聞き慣れているところだと思います。これらは人間の眼にもある病気ですよね。さらに目の奥ですと網膜はく離などがありますね。これらの病気は失明の恐れのある病気ですので、飼い主の方には異変を感じたらすぐに相談していただきたいですね。

室内飼いでも、決して油断できない目の傷病

少し前のことで、眼科を専門に診察してらっしゃる先生の講義に伺って聞いた話なのですが、治療はきちんと行っているはずなのに治しても治しても目を怪我して一向に治らないという子がいたらしくよくよく話を聞いてみると、最近よくある水を飲むためのスポイドのような給水器に目をぶつけて傷をつけていたということだったんですね。そのように、日常の生活環境の中のちょっとしたものでも、眼を傷つけてしまったり、眼の病気を引き起こす要因となる可能性があるということなんです。

実際に眼球の内部の手術が治療として必要な症状に関しては、二次診療施設をご紹介しています。そこまで踏み込んだ治療となると、一次診療の領域を超えているように思います。理想として、自分でできれば、と思うところはあるのですが、それに関しては専門の先生をご紹介した方がその子のためにも良いと思っています。当院でできる限りの治療はさせていただき、そこから更に高度な医療や施設が必要な場合には紹介する。これは眼科に限らずどの診療に関しても言えることです。

また、今でもとある動物病院の眼科の専門医の先生の講義を定期的に受けに行っています。まだ獣医師二年目や三年目の頃は実習を受けに行くこともありました。専門医の先生は何と言っても治療した症例が多いですし、その中には珍しい症例があったりもします。自分が治療に対して悩んだ際は相談にも伺ったりと、力を貸していただくことはあります。実習に伺った病院は、当時色々と面倒を見ていただいた先生のところで、治療に関してご相談したり治療を拝見させていただいたりしていました。

眼科専門の設備のしっかりした病院でしたし、なかなか眼科の手術を見れる機会は実習に行かないとないですからね。早送りをしているようなスピードで執刀されていて、本当に驚いた記憶がありますね(笑)。圧倒的に速いし正確なんです。これは眼科だけでなく、どんな手術にも言えることですが、やはり手術を行う際にスピードは大事で、出血が少なく、他の臓器に影響を及ぼさないよう、短時間で行うのが理想だと思います。とにかく、実習、研修時代はそういった風に勉強させていただいていました。

獣医師を志したきっかけ

理由としては単純で、医療への興味と動物への興味ですね。獣医学に限定していたわけでなく医学そのものに興味がありまして、これは歯科医師である両親からの影響もあるのかもしれません。何故か歯科に興味は向きませんでしたね(笑)。

獣医師になって改めて認識しましたが、実際にどれだけ治療しても救われないというケースもありますし、あまりにも動物が好きすぎるとそういったことに耐え切れなくて獣医を辞めてしまった友人もいます。そのバランスは難しいところだと思いますね。

治療に対する理念や信条、心がけていること

心がけていることは幾つかあって、先ず、動物は一頭ごとに同じ病気でも全く別の症状を抱えていることがありますし、飼い主様が治療に対してどこまで望んでいるかという意向もあります。例えば手術をすれば痛みを伴いますしリスクもありますので、そうするより家で一緒に暮らす時間を長く作りたいということを望まれることもあります。病気を治すにあたって、治療法方に色々な選択肢がある場合には、動物にも飼い主さまにもなるべく負担にならない方法を考えています。

次に、問診の重要性です。動物は当然言葉を喋りませんので、飼い主さまの言葉の中から、どんな小さなことでも治療のヒントが無いかどうか注意して伺っています。実は問診の最後に言いかけたちょっとした話が、病気に直接繋がるヒントになることもあります。近年は飼い主の方の意識も高い場合が多いですし、ペットを我が子のように可愛がっていらっしゃる方も多いです。そのため、ちょっと具合が悪いということで早めに病院に連れて来ていただけますので、それによって病気の早期発見に繋がっていますよね。

また、当院では画像診断や血液検査機器などのご用意もありますが、まずは見て、触って、聞いてといった、五感を使った身体検査を重要視しています。医療設備は必要な物ですし、当院も今後もっと設備を強化して、色々な症例に対応できるようになろうとしていますが、先程申し上げたような身体検査の重要性は今後も忘れないようにしていきたいと考えています。

あとは、飼い主さまがお話しやすい環境、雰囲気を作っていくことを心がけていますね。飼い主様に正しい知識を身につけていただくことは大切なことですし、最近ですと積極的に治療に関して質問していただく機会も多いですが、中には質問したいけど声を掛けにくいと感じている方がいらっしゃるかも知れません。そういった方が気軽に質問していただけるような環境作りも大切にしています。

こいずみ動物病院は犬猫以外の動物の診療も行っています

当院はフェレットやうさぎなどに関しても診療を行っていますよ。比較的飼っている方が多い動物ですし、以前勤めていた病院でも日常的に診察していましたから。フェレットに多い病気、うさぎに多い病気など、種類が違う動物を勉強して治療することは大変ですが、とてもやりがいも感じてます。獣医師として小動物臨床を行っているのであれば、犬猫だけでなく、出来る限り多くの動物を救いたいですからね。

以前、夜間に飼い主さまがフェレットを家で誤って踏んでしまい、脾臓が破裂してしまった症例の緊急手術をしたこともあります。無事救えましたが、一刻も早く行わなければいけない手術を看護師一人と獣医師二人で行ったので、術後の手術室は荒れ放題でした(笑)。

体の構造はもちろん違いますが、身体検査や血液検査、画像検査などを組み合わせて診断していく点ではワンちゃんやネコちゃんと同じです。診断をつければ治療法は見つかりますし、手遅れになるリスクも回避できます。何か異常に気づいたら早めにご相談してほしいですね。

飼い主さまへのメッセージ

動物にも、飼い主さんにとっても一番の治療を考え、丁寧な説明と診療をすることを心がけています。それは治療を施すことだけが全てではなく、例えば末期の場合、治療をしないことも一つの選択肢であり、何が最善かを飼い主さんと一緒に考えていけるような、信頼してもらえるホームドクターになりたいと思っています。

また、年に一回は健康診断を受けていただきたいという想いがあります。例え病気が見つかったとしても、症状が出ていないうちに対応できれば、治療法にも色々な選択肢が残されています。早期発見はとても大事です。

当院での健康診断は、血液検査、尿検査、便検査を基本とし、画像検査をプラスしたものと、高齢であれば甲状腺ホルモン検査をプラスしたものの、三つのプランをご用意しております。どうぞお気軽に何でもご相談ください。