院長 / 菅野 信二 へのインタビュー(2/3)

院長 / 菅野 信二 院長 / 菅野 信二
プロフィール
菅野 信二 

◇所属 / 役職:南が丘動物病院 / 院長
◇出身地:大阪府大阪市
◇趣味:読書、ゴルフ

◇ご経歴
1984年 日本大学大学院修了
岸上獣医科病院、山尾獣医科病院での勤務を経た後
1988年8月に南が丘動物病院を開設

◇所属学会
兵庫県開業獣医師会学術委員
日本獣医再生医療学会理事
日本動物病院協会外科認定医
日本獣医麻酔外科学会
日本獣医がん学会

兵庫県三田市において、多くの獣医師と最新の設備を擁し、日々の治療に取り組む南が丘動物病院。それを束ねる院長の菅野先生は、心から動物を愛する温厚な紳士である。「環境に恵まれた」「人に恵まれた」としきりにおっしゃる謙虚な姿勢こそが、成功の秘密なのだとお見受けした。
ご自身が国内で初めて学会発表された手術例についても淡々と語られ、自慢するような素振りは微塵も感じさせず、「好きで始めた仕事」「自分で選んだ仕事」だから何事も苦にならないと穏やかにほほえむ姿が印象的だった。そんな菅野先生の歩まれた道のりと現在の病院の様子などについて、じっくりと語っていただいた。
  2/3ページ  

動物たちの健やかな生活を支えるために

現在菅野先生が取締役の一人として参加しておられる葉月会について、お話を聞かせてください

多くの小動物開業獣医師はそうとうな激務をこなしています。昼間の診療以外にも個人で夜間救急に対応される先生方も多く、若くして体調を崩してしまう獣医師の友人を多く見てきました。開業者個々の負担を軽減するためネオベッツが日本ではじめて夜間救急病院を作りましたが、大阪の北部にも夜間救急病院をつくりたいとのことで趣旨に賛同する獣医師たちで出資し1998年に北摂夜間救急動物病院ができました。その後、葉月会を株式会社としてたちあげ、現在200以上の会員病院を擁しております。夜間救急病院だけでなくセミナー、勉強会を開催、高度医療、手術、専門診療の提供をしています。夜中の勉強会には若い人を中心に常時70人から120人が集まっており獣医師の卒後教育を通じてのレベルの底上げと獣医師同士の横のつながりに貢献しています。

2013年8月には北摂ベッツセンターを新たに立ち上げ、夜間救急だけではなく日中の医療機関の連絡調整などもより綿密にスムーズに行えるよう進化してきています。

CTなどの高度医療機器が検査・治療に対してもたらす効果についてお聞かせください

細部にわたり小さな病変も見つけることができる。腫瘍を摘出するときに切除範囲がわかる。血管や組織などの解剖が正確に把握できるので手術が的確になる。メリットは言い尽くせないほどあります。
また、手術することは大切ですが、手術をすべきかそうでないかも十分検討しなければなりません。犬や猫に悪性腫瘍が見つかったとします。病巣部を手術によって摘出すれば、再発せずに完治する例も多いのは人間と同様です。しかし、発見時にすでに他の臓器などに転移していたとしたらどうでしょうか。この場合は残念ながら手後れです。手術は余計に寿命を縮めることにつながりますから、手術はせずに苦痛の緩和を主眼とした治療で余生のQOL向上を図ることになるでしょう。このときCTがあれば転移しているかどうかの診断がつくのに、わからなかったために切ってみた、転移していたためにすぐ死んでしまったでは動物を無為に苦しめることになります。私は、動物たちをそんな目に遭わせたくはありませんでした。
飼い主さまにとって、生活をともにされている動物は家族と同じです。家族の身を安心してあずけられる動物病院でありたいと考えたのです。

不必要な手術を避ける一方で、難しい手術にも果敢に挑んでいらっしゃいますね

誤解のないように言っておきますが、必要がある場合は手術を積極的に行うことは大切なことです。手術すべきなのに高齢を理由に手術ができないと思っている方々がけっこう多いことに驚きます。もちろん無謀な手術はするべきではありませんが。 猫の甲状腺機能亢進症の手術はまだまだ行っている病院が少ないですね。当院で甲状腺の手術をおこなうようになったのは20年以上前に、自分の飼い猫を手術したのがきっかけです。
当時日本ではまだまだ症例も少なく、甲状腺機能亢進症によって心臓や腎臓にダメージをうけた老齢猫は手術には耐えられないという意見、また片側はよいが両側摘出は不可とする意見が多く、飲み薬でコントロールを試みるのが一般的な治療法でした。内服させると甲状腺の数値は良くなるのですが全身症状がすべて良くよくなるわけではありません。このまま内科治療をしていても弱っていくだけだと、猫が16歳の時に日本では初めての報告になる両側摘出手術に踏み切り、結果的に元気に回復しました。
それ以来、老齢猫の手術も両側摘出手術も適応症例であればためらわずに対応しています。もちろん飼い主さまへのインフォームド・コンセントが大切なことは言うまでもありません。
  2/3ページ