Veterinarian's interview

インタビュー

来院される全ての動物たちに対して、自分の家族と同じ気持ちで接し、治療にあたりたいと思っています 来院される全ての動物たちに対して、自分の家族と同じ気持ちで接し、治療にあたりたいと思っています

来院される全ての動物たちに対して、自分の家族と同じ気持ちで接し、治療にあたりたいと思っています

メイプル動物病院

森 勇雄院長

京都府 京都市

メイプル動物病院

森 勇雄院長

大学卒業後、大阪や滋賀の動物病院で獣医師としての研鑽を積み、2003年にメイプル動物病院を開業した森院長。
全科の診察を行う傍ら、特に整形外科分野の治療に注力し難易度の高い治療を数多く行っている。現在でも様々なセミナー・講習に積極的に参加し、さらに見識を深めている。

contents 目 次

初めに、森先生が獣医師を志したきっかけについてお話を聞かせてください

私は幼少の頃から犬(ペキニーズ)を飼っていました。あるときその仔に血尿の症状が表れたのですが、数軒の動物病院に通っても原因がわからず、最終的にはある病院で腎結石を診断され、腎不全で亡くなってしまいました。

診断された病院では腎結石に対する手術の提案はなく、処方食の提案で結石を溶かせるかもしれない…という治療内容でした。当時は学術書も少ない小動物の黎明期であり、獣医師が個々に勉強して試行錯誤していた時代だったのかもしれません。

愛犬を失った悲しみから、地元で一番の獣医師になろうと決心し獣医学の道を志すようになりました。

獣医師としての日々の中でやりがいを感じるのはどんなときでしょうか

全ての獣医師の方が思っていることだと思いますが、動物たちの苦しみ、ご家族の方の心配を取り除けた時ですね。治療の結果動物たちが元気を取り戻し、飼い主さまが笑顔を見せてくれる瞬間が一番のやりがいですね。

これまでのご経験の中で、特に印象に残っている出来事はありますか?

例えば苦労したお話で言うと、やはり開業時にはちょっとした苦労がありましたね。(笑)

また、ご家族と一緒になって病気と立ち向かう日々の中で、印象に残っていることは多くあります。当院を開業した頃は仔犬・仔猫で、健康診断やワクチンのために来院してくれていた動物たちが、少しずつ大きくなり、お付き合いを続けていく中で高齢期に入り、慢性疾患などに対する外科・内科処置を行う…。そのように長いお付き合いをさせていただくケースも多く、家族同然に感じていた動物たちのことは印象深く覚えています。

森先生が診察を行う際の獣医師としてのポリシーを教えてください

来院される全ての動物たちに対して、自分の家族と同じ気持ちで接し、治療にあたりたいと思っています。

また学会やセミナー、海外でのラボなどに積極的に参加して最新の情報を集め、それに併せた高度医療を実施していくことで、日々進歩する獣医療の技術、最新の情報を皆さまに提供できるよう心がけています。加えて、近年の老年化や、猫の飼育頭数の増加に合わせ、健康診断の実施を充実させて病気の早期発見に努めています。

森先生は整形外科分野の治療について、深い見識をお持ちと伺っています

私が大学を出て最初に身を置いたのは整形外科治療を得意とする小動物臨床の草分け的な存在であり、院長先生は手術器具やインプラントを発明・自作されるようなすごい先生でした。当時は治療成果を上げていましたが、治療後の合併症の発生などを視野に入れ、世界標準で行われている治療はどんなものなのかを考えるようになったのです。

世界基準の治療とは、具体的にはどのようなものでしょうか?

AO(Arbeitsgemeinschaft für Osteosynthesefragen)という研究機関があります。

これは13名の外科医によって1958年にスイスで創設された骨折治療に関する研究グループのことです。この機関は国際的、外科的、そして、科学的な研究財団(Foundation)へと発展し、世界各国12,000人以上の整形外科医・外傷医、手術室看護師、獣医師が所属する世界有数の学術的組織となり、外傷及び骨接合法における”Global Standard”と呼ばれる程になりました。そのAOの方法を基礎とし、当院では現在主にAOから派生したKYON社のシステムを使って骨折や膝蓋骨脱臼、前十字靭帯断裂、股関節や膝関節に人工関節置換を行っています。

また、日本では小型犬の飼育頭数が多いためおそらくどの動物病院でも前足の骨折や膝の脱臼、膝の靭帯である前十字靭帯断裂への対処が多いのではないかと思います。当院ではそれらの症状それぞれに有効な方法で疾患に対応できるようにしています。骨折手術一つにしても新たな知見、技術、設備の導入により、日本の小型犬主流の骨折に有利で合併症の少ないものを使用しています。

骨折が頻繁に起こる部位や、普段の生活の中で飼い主さまが注意するべきポイントなどを教えてください

小型犬の前足(橈骨・尺骨の骨折)が多いです。街中で開業している当院には「イスから落ちた」「抱っこしていて落とした」あるいは猫ではマンションのベランダから落ちたという原因を耳にすることが多いように思います。最近は体重2kg以下の超小型犬の骨折も頻発していますが、小さな体重でも対応できるシステムを用いて対処しています。

飼い主さまには高所からの落下や、リードの固定不足による逃走はもちろん、骨折に限らず日頃から動物たちの様子を十分に観察して、おかしいと感じることがあれば早めに相談をしていただきたいですね。

メイプル動物病院では様々な最新の獣医療を実施しておられると伺っています。その内容についてお聞かせください。

まず新しいところでは、2017年から股関節全置換術という人工の股関節へ置き換えを行う手術設備を本格的に導入いたしました。この手術を京都・滋賀地域で実施している病院はなかなか珍しいのではないでしょうか。

また、骨折手術に対してはALPSというシステムを用いて、超小型犬から大型犬まで迅速かつ合併症の少ない手術が可能となっています。前十字靭帯断裂には小型犬には人工靭帯を使ったスーチャーアンカー法やTPLOを、中型・大型犬にはTTAといった方法を使って成績の良い手術も可能です。

関節鏡という内視鏡のユニットは、関節の中、耳の中、中型以上の雌犬の場合は尿道・膀胱の中も検査・処置することができます。内視鏡で覗いて検査・処置を行うことで、動物への負担の少ない手術も可能となっています。

今後の獣医療の展望について、森先生のお考えを聞かせてください

飼い主さまのニーズがある限り、獣医療はさらに高度化・発展していくものと思います。しかし、その期待に応じようと器械や検査機器の開発が高額になり、結果的に検査・治療費もさらに上昇していくのかもしれません。

当院では飼い主さまに合わせて治療方針を提案させていただいており、その一環として動物保険への加入のご検討や、健康診断による病気の早期発見を勧めています。

最後に、このページをご覧になる飼い主さまにメッセージをお願いいたします

当院は京都の街中にあり見た目は大きくありませんが、内容の濃い治療を行っています。また、動物病院を選ぶ際はどういったことができてどれだけ先生と自分たちが合うかをチェックしていただければと思います。

当院は一般診療として幅広い分野の治療に対応しながら、骨折や脱臼などの整形外科分野では深く専門的な治療を行う1.5次診療を行っていますので、足の痛みが治らない、または治療されても改善が見られない場合はお気軽に相談していただければと思います。

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