Veterinarian's interview

インタビュー

動物たちの暮らしを少しでも穏やかなものにするための選択肢の一つとして、統合医療を積極的に実施しています 動物たちの暮らしを少しでも穏やかなものにするための選択肢の一つとして、統合医療を積極的に実施しています

動物たちの暮らしを少しでも穏やかなものにするための選択肢の一つとして、統合医療を積極的に実施しています

エム動物クリニック

三浦 春水院長

愛知県 名古屋市

エム動物クリニック

三浦 春水院長

病院で行う治療と聞くと、どんな内容のものが思い浮かぶだろう。
注射、内服、手術、近代的なCT、MRIなど、多くは西洋医学に当てはまるのではないだろうか。しかし、漢方・鍼灸を始めとした東洋医学の歴史も計り知れないほどに深い。
1991年9月の開院から地域のホームドクターとして長きに亘り地域の動物たちの健康な暮らしを支えるエム動物クリニック。院長を務める三浦春水先生は慢性的な症状で悩む動物たちに、東洋医学を用いた「統合医療」の提案を積極的に行っている。
同時に、治療内容の見学も含めた医療の透明化に注力する三浦先生に、これまでの歩みと、その中で見つけた自身の考える獣医療の在り方について語っていただいた。

contents 目 次

まず初めに、三浦先生が獣医師を志したきっかけについてお話を聞かせてください

家で飼っていた秋田犬2匹、コリ―、スピッツたちと兄弟のように一緒に育った少年時代から、医療に関する道に進みたいという思いを持っていましたが、当時目指していたのは人間に関する医療の道でした。そんな私が獣医師を意識したきっかけは、医学部を目指して浪人していた頃に偶然訪れた「伊奴神社」です。

たまたま名古屋市西区にあるのを知り、ふと足を運んでみると、昔うちで飼っていた黒い秋田犬そっくりの銅像があったんです。その時、医学部以外考えていなかった私が初めて「動物のお医者さん」という道があるということに気づきました。これまで全く選択肢になかった獣医療への道を意識したんです。もしかしたら、昔飼っていた秋田犬が導いてくれたのかもしれません。

実際に獣医療を学んでいく中で感じたのは、どんなことだったでしょうか

私は昭和37年生まれなのですが、私が獣医学部へ進学した頃は日本の獣医療の転換期だったように思います。例えば今は6年制の獣医学部も当時はまだ4年制であり、ようやく医学部・歯学部と同じように6年一貫教育にしようと動き出した頃でした。

私自身は4年制の大学を卒業し、大学院を受験してもう2年勉強したんです。その頃から海外の獣医学の情報や技術もどんどん入ってきて、日本の獣医界も大きく成長している時代でした。私よりも1世代前の先輩の時代の獣医療は、まだまだ治療の選択の幅が限られていましたが、レントゲンやエコーなどの検査機器も一般的になり、ようやく人の医療に近づいてきた時期でしたね。本当に凄い時期を経験できたと思います。

医学界の経験を真似る治療ではなく、獣医界でのエビデンスに基づいた治療を行えるようになったことや、最先端の医療機器を使えたことは、まさに先駆者の先生たちが開いてくれた道です。日々情報がどんどん変わっていき、まさに日本の獣医界の成長期を体感できたことは貴重で楽しい経験でしたね。

三浦先生が院長を務めるエム動物クリニックの特徴である統合医療について、お話を聞かせてください

人間の医療と同じように、動物においても西洋医学の臓器や器官を中心とした考え方では十分に対応することができない領域があります。それらの部分を従来の西洋医学だけにとらわれずに、東洋医学やホリスティック医学などの治療法も取り入れることで、体全体を治していくのが、当クリニックで行っている「統合医療」の考え方です。西洋医学だけではうまく対応しきれない慢性疾患の治療などに対して、漢方をはじめ、鍼灸、ホメオパシー、オモトキシコロジーなどを積極的に取り入れた治療を行っています。

例えば、難治性の下痢や、ネコの慢性腎臓病、慢性肝臓病をはじめ、西洋薬の強い副作用が気になる時、また手術後の体力の回復サポートなどに用いています。特に治療法が確立されていない疾患やスタンダートな治療法で効果を得られなかった場合にもう一つの治療法として、統合医療の実施をお勧めしています。

実施できる場面は多くある治療ではないでしょうか

もちろん、飼い主さまのご希望に合わせた治療を提供いたしますので、統合医療を中心とした治療をご希望される時には、漢方・鍼灸・ホメオパシー・オモトキシコロジーなどを組み合わせながら、治療を行います。例えば、悪性腫瘍の治療に、手術や抗がん剤をご希望されず、統合医療で対応することもありますので、お気軽にご相談ください。統合医療の中には、エビデンスがなく、ゴールが見えにくい治療もあります。それでも、少しでも動物たちが楽になるように、一日でも長生きできるようにするための選択肢の一つとしてお伝えしていきたいですね。

治療内容の透明化と手術見学を取り入れられていると伺っています

動物病院に行くと、中で何をしているのかわからないと感じている飼い主さまも少なくないように思います。動物の医療費は人のように健康保険制度がないため治療費の協定がなく、病院の設備や治療に使用する薬剤、処置の内容によって差が出てしまうのです。だからこそ、当クリニックでは、飼い主さまに心から納得していただいた上で治療を行えるように、治療内容の透明化に力を入れています。

まずは、インフォームドコンセントの徹底、わかりやすい表現で丁寧にご説明しています。お薬の処方に関しては、薬の種類や容量、飲み方、使い方を明記した処方箋を発行し、外科手術を行う際にはどんな手術がどのように行われているのか、手術の様子を待合室のモニターでリアルタイムに見学していただけます。手術や治療内容をできる限り透明化することで、治療内容を理解いただけるように努めています。どんな治療においても、飼い主さまに心からご納得いただいた上で、安心してお任せいただける獣医師でありたいですね。

これまでのご経験の中で特に印象に残っている出来事はありますか?

獣医師として日々様々な動物・飼い主さまと向き合っていますが、そんな中で強く印象に残るのは、助けてあげられなかった子たちのことです。辛い思いの方が強く残るんです。だからこそ、次に同じような病気や症状を抱える子が来院された時には、できる限りの対応をしたいと思います。

とはいえ、町のホームドクターの一人である私だけの力ではどうしようもないこともあり中にはまだ治療方法が確立されていない病気もあります。だからこそ、獣医療が今よりもっと発展していくことで、まだまだ助けることができる命があるはずです。

私たちホームドクターはそれらを正しく受取り、様々な選択肢の中から、飼い主さまのご意向に合わせて、その子にとって最適な医療の提供を行うことが大切だと思っています。

最後に、このページをご覧になる飼い主さまへメッセージをお願いいたします。

気になることや分からないことがあれば、どんな些細なことでも聞いていただきたいと思っています。わからないこと、納得できないことをそのままにしないで、飼い主さまが気軽に何でもお話しできる雰囲気づくりを心がけています。

病気に限らず、動物を飼う時どのような種類の犬や猫が合っているか、しつけやごはん、お家でのケアなどについても、獣医師やスタッフが親身になってお応えいたします。

hospital information 施設情報