Veterinarian's interview

インタビュー

元気に帰っていく動物の後姿を眺めながら、飼い主さまにお礼を言っていただける瞬間は、本当にこの仕事をしていて良かったと感じます 元気に帰っていく動物の後姿を眺めながら、飼い主さまにお礼を言っていただける瞬間は、本当にこの仕事をしていて良かったと感じます

元気に帰っていく動物の後姿を眺めながら、飼い主さまにお礼を言っていただける瞬間は、本当にこの仕事をしていて良かったと感じます

ふみもと動物病院

文本 誠一院長

ふみもと動物病院

文本 誠一院長

大阪市生野区にあるふみもと動物病院は、2007年の開業以来一貫して、地域に根付き飼い主一人一人とのコミュニケーションを疎かにしない丁寧な診察を行っている。 この病院の大黒柱として、豊富な知識と多くの経験に裏付けられた診察に取り組み絶大な信頼を得ているのが、院長を務める文本誠一先生だ。 常に新しい獣医療の知見の収集に目を向ける文本院長。ホームドクターとしてのスタンスを変えずに地域の動物医療に尽力する日々の中で思う、ご自身の提供する獣医療の在り方、今後の展望などのお話を聞かせていただいた。

contents 目 次

初めに、文本先生が獣医師を志したきっかけについてお話を聞かせてください

幼い頃から生き物が好きで、犬猫以外にも金魚や昆虫なども含めて様々な生き物を飼育してきました。そんな環境で育つ中で、人より寿命の短い生き物たちの「死」というものに触れ、漠然とではありますが獣医師という職業に興味を持ち始めました。 何かきっかけになる大きな出来事があった…という訳ではなく、徐々に獣医療の道を目指すようになりましたね。

これまでのご経験の中で、印象に残っていることはありますか?

2007年に自分の病院を開業する前、東大阪市の病院で勤務医として働いていた時のことです。 私が獣医師になって初めて担当した子が治療の甲斐なく亡くなってしまったのですが、飼い主さまが後日お礼の挨拶に来てくださいました。

とてもありがたいと思ったこと、自分の勉強不足を恥ずかしく思ったことを今でもよく覚えています。 このままではその子にも飼い主さまにも申し訳ないという気持ちもあり、もっともっと精進しようと思いました。

ご自身が院長を務めるふみもと動物病院について伺います。診察の際に心がけているのはどんなことでしょうか。

当然ですが、動物たちは自分の身体の不調を話してはくれま当然ですが、動物たちは自分の身体の不調を話してはくれません。しかし体調の変化は微細なサインとなって現れますので、細部まで目を配りそれを見逃さないようにすること。 そして、些細な情報でも聞き逃すことのないよう飼い主さまとしっかりコミュニケーションを取ることだと考えています。

当院では犬猫の他にウサギやハムスターの診察も行っていますが、このことは動物の種類や症状に関わらず、診察する上で常に心がけています。しかし体調の変化は微細なサインとなって現れますので、細部まで目を配りそれを見逃さないようにすること。 そして、些細な情報でも聞き逃すことのないよう飼い主さまとしっかりコミュニケーションを取ることだと考えています。 当院では犬猫の他にウサギやハムスターの診察も行っていますが、このことは動物の種類や症状に関わらず、診察する上で常に心がけています。

これから動物との暮らしを始める方へ、ワクチンや日頃のケアの必要性について

ワクチンは犬で3種類(5種混合、7種混合)、猫で3種類(3種混合、4種混合、白血病ワクチン)を常備しています。 ワクチンの必要性については賛否多々あると思いますが、そもそもワクチンが開発されるほどの疾患であると考えれば、感染・発症時のリスクや予防の重要性を感じることができると思います。 仔犬や子猫を新しく家族に迎えたという方には、生後1ヵ月、2ヶ月、3ヶ月時の 計3回接種を推奨しています。

また、当院ではフィラリア予防や普段の診察についても、飼い主さまのお考えとその動物自身のコンディションに合った内容の提示を心がけており、これらの予防接種の内容についても体重や発育状態により適宜その子に合ったプランを調整しています。

飼い主さまがご自宅で行える健康管理の方法や、普段気をつけておくといいことなどはありますか?

先ほどお伝えした「動物たちは自分の身体の不調を話してはくれない」という話と同様に、動物たちは自分の意思で病気の予防をすることはできません。予防医学全般に言えることですが、やはり感染、発症を未然に防ぐことが、健康な時間を長く過ごすために最も重要であると考えています。

健康な暮らしを守ってあげられるのは飼い主さまご自身であることをしっかり自覚し、責任をもって飼育してあげて欲しいです。そうすることで確実にその子と暮らせる時間は長くなります。

著しく進歩を遂げていると言われている獣医療ですが、今後の展望について、文本先生のお考えを聞かせてください

多くの飼い主さまの意識の向上や獣医療の発展の甲斐あって、人同様、動物の世界でも高齢まで生きられる子が増えてきています。もちろん喜ばしいことなのですが、その反面人の医療で言うところの成人病や心臓病、ガンといった、高齢ならではの病気の発生も増えてきています。 それらの慢性疾患に向き合うには獣医師の力だけではなく、飼い主さまやそのご家族の協力が必須となります。

そのため今後の動物病院では、正しい知識と技術の提供だけではなく、より密接なコミュニケーションが今まで以上に必要になってくると思います。

最後に、このページをご覧の飼い主さまにメッセージをお願いします

人の記憶はすごく曖昧です。大切なペットの状態変化に気づきやすくするため、古典的ではありますが当院では些細な事でも日常的にノートに書き留めていただくよう推奨しています。 また、IT全盛期の現代、簡単に撮れる動画や写真が診断の一助になることもありますので、受診の際には少しでも正確な情報提供を心がけていただければと思います。

獣医師として診察を続ける日々の中で思うことですが、病院から元気に帰っていく動物の後姿を眺めながら、飼い主さまにお礼を言っていただける瞬間は、本当にこの仕事をしていて良かったと感じます。動物との健康で楽しい時間が少しでも長く続くよう、気になることはどんな小さなことでも気軽に尋ねていただきたいです。