Veterinarian's interview

インタビュー

「何かあっても、フクナガ動物病院に連れて行けば大丈夫」と飼い主さまが安心して来てくれる動物病院を目指して 「何かあっても、フクナガ動物病院に連れて行けば大丈夫」と飼い主さまが安心して来てくれる動物病院を目指して

「何かあっても、フクナガ動物病院に連れて行けば大丈夫」と飼い主さまが安心して来てくれる動物病院を目指して

フクナガ動物病院

福永 恵太院長

フクナガ動物病院

福永 恵太院長

琵琶湖近く、県道48号線沿いに佇むレンガ調の綺麗な建物が、今回インタビューに伺ったフクナガ動物病院だ。二次診療を行う医療機関が無い滋賀県において、より高度な医療にも対応できる病院でありたいという考えの元、CTをはじめとした医療設備の充実だけでなく、スタッフそれぞれが知識・技術の向上を常に目指している。 「全ての分野で少し上の医療を提供する病院、地域の中核病院を目指しています」と語る、院長の福永 恵太先生。全国でも数十人程しかいないJAHA認定外科医の一人だ。 父であり現顧問である前院長から病院を引き継ぎ、地域の方々の頼れる獣医師として現在活躍している。 今回は、そんな福永先生に、獣医師を目指したきっかけから今後の獣医療に対する考えまで、じっくりと話を伺った。

contents 目 次

初めに、福永先生が獣医師になろうと思ったきっかけがあれば教えてください

私の父も獣医師なんです。動物病院を営む家庭に生まれて、幼い頃から動物に囲まれて育ってきましたので、動物はとても身近な存在でした。そういった環境でしたので、何となく「自分も獣医師になるのかな」と思うこともあったのですが、自ら「獣医師になろう」と強く思うようになったのは、また別のきっかけがあるんです。

ある時、友達の家の犬が病気になり、父の病院に来てくれたことがありました。治療が無事に終わって、それを喜ぶ友達の姿を見た時に、「獣医師って良い仕事だな。人に喜んでもらえる、人を幸せにできる仕事なんだな」ということに改めて気づいたんです。その時から、自分も父のような獣医師になりたいと、自ら獣医師の道を目指すようになりました。

実際に獣医師の立場になってみて、やりがいを感じる瞬間はどんな時でしょうか?

病気やケガで来院した動物達の治療が無事に済んで、元気に帰っていく姿を見ることができた時は、何度経験してもやっぱり嬉しいですね。また、飼い主さまがほっと安心した顔を見せてくれた時や、「ありがとう、先生に診てもらえてよかった」と声を掛けて頂いた時などは、獣医師としてこの子を担当することができて良かったと感じます。

2019年の5月から院長に就任されたということですが、その経緯や意気込みについてお聞かせください

大学を卒業後、研修医・勤務医を経て、2012年4月から当院の副院長として勤務していましたが、父であり現顧問である前院長から病院を引き継いだことで、より大きな社会的責任を感じています。
当院は1982年の開業以来長きに渡って、地元である近江八幡市やその近郊エリアで暮らす動物・飼い主さまにお越しいただいています。

飼い主さまの中には、開業当時から歴代のペットを連れてきてくれる方や、親子で通ってくださる方もいます。「そんな方々の思いに応えていきたい、地域の動物たちをしっかり診ていきたい」という気持ちは、前院長のころから変わらず、これからもずっと重きを置いていきたいですね。「何かあっても、フクナガ動物病院に連れて行けば大丈夫」と飼い主さまが安心して来てくれる動物病院であり続けることをこれからも目指します。

また当院は、獣医師をはじめ多くのスタッフが在籍しており、そのスタッフ一人ひとりに支えられている動物病院です。スタッフそれぞれが自分の力を存分に発揮できるよう、得意分野をさらに伸ばしていけるように環境を整えサポートすることも自分の役割だと考えています。

JAHA認定外科医をお持ちの福永先生。認定外科医は全国35名の中のお一人ですが、認定取得にいたった経緯など詳しく教えてください。

外科につきましては、獣医学生だった頃から好きでずっと興味を持っている分野で、また自分自身、得意だとも感じていました。JAHAの認定を取得するためには、セミナーの参加にはじまり、試験や面接にパスしなくてはならず、最低4年はかかります。取得にかかる時間や労力を考えると、簡単なことではありませんでしたが、外科医としての知識・技術を高めていくための一つの目標として取り組んできました。

取得後の変化としては、認定医になったことで、今まで以上に多くの患者さんを紹介していただけるようになり、色々な症例を複数経験できるようになったのが大きいですね。やはり「認定医」となったことで、地域の動物病院の先生方も安心して紹介できると思ってくれているのでしょう。ただ、私としては「外科専門の先生」ではなく、「外科の専門的な治療もできる先生」でありたいと思っています。

動物たちが抱える様々な不調にできるだけ広く深く対応していける獣医師でありたい、そんな思いがあるからこそ、認定総合臨床医の取得にも取り組んだんです。

1次、1.5次、2次診療の必要性について、どのようにお考えですか

当院のある滋賀県には、2次診療を行う医療機関がありません。動物により高度な治療を受けさせたいけれど、大阪や京都の大学病院まで連れていくのは難しい、そんな飼い主さまの思いに応えるためにも、より高度な医療に対応する1.5次診療を担当する病院は必要不可欠だと思います。

当院は外科・整形外科・循環器科における高度医療のご提供を積極的に行っていますが、私自身としては1.5次病院というより、1.2次病院であり続けたいと考えています。なぜかと言うと、1.5次病院は1次と2次の真ん中でありながらも、高度な手術や特殊な症例に対応することが多いと感じるからです。

当院のスタンスは、あくまでも「地域の動物のための病院」です。地域に暮らす方々がいつでも安心して来院できる病院でありながら、高度な医療にも対応している病院でありたいのです。だからこそ、高度医療にも対応できる医療設備を整えること、知識や技術の向上に務めることで、全ての分野で少し上の医療を提供する病院、地域の中核病院を目指しています。もちろん、当院での対応が難しい場合には、より高度な対応が可能な2次診療機関をご紹介し、動物と飼い主さまが適切な医療を受けられるようサポートするのも役割の一つだと思います。

CT検査など高度画像診断の必要性と役割について、教えてください

結論から申しますと、CT検査は現在の獣医学において、必要不可欠です。その理由は、従来のエコーやレントゲンでは「わからなかったことがわかる」「見つけられなかったものが見つかる」からです。例えば、体調不良の原因をきちんと見つけることができなければ、正確な診断を行うことはできません。診断ができなければ、適切な治療を行うこともできないのです。

CT検査により「わからなかったものがわかる」ようになることは、正確な診断・適切な治療へと繋がっていくのです。手術を行う際においても、事前にCT検査で体の中の状態を把握しておくことは重要です。あらかじめ把握できることで事前準備が捗り、スムーズな手術計画が立てられ、その結果手術時間の短縮はもちろん、動物への負担軽減にも繋がります。

CT検査が有効な症例としては、腹部や頭部、肺や心臓といった循環器などの腫瘍、椎間板ヘルニアなどです。手術による治療を行う際にお勧めしています。しかしながらCT検査には従来と比べ高額な検査費用がかかり、飼い主さまにとっては負担増となります。「治療に有効だから」と無理に勧めるのではなく、飼い主さまの意向を尊重することも地域の病院として大切なことだと考えています。

今後の獣医療について、先生の思いを教えてください

獣医療の進歩、飼い主さまの意識の向上などにより、近年では動物達も長生きできる時代となりました。しかし、長生きするようになったからこそ、増加傾向にある病気も出てきています。
特に腫瘍や循環器疾患に対するより高度な、より積極的な治療への需要はさらに高まってくるのではないでしょうか。

今後はそのような飼い主さまのご意向を理解して、より質の高いチーム医療を提供していきたいと考えています。医療設備の充実だけでなく、獣医師はもちろんスタッフそれぞれが知識・技術の向上を目指せる環境を整えていきたいですね。

日常から飼い主さまに気をつけてほしいことはありますか

一緒に暮らす家族の一員である動物のことを、日頃から気にかけてあげてほしいですね。例えば顔色や表情、仕草などをスキンシップしながら見てあげましょう。その子のいつもの様子がわかっていれば、何か異変が起こった際に気がつきやすいです。

「特に、何か目立った症状があるわけじゃないけれど、なんとなくいつもと違う」と感じることができるのは、いつも動物の傍にいる飼い主さまだからこそです。そのため、何か異変を感じた時には、早めに動物病院を受診ください。できるだけ早く見つけて、適切な対応をしていくことこそが、動物の健康を守ることに繋がっていくのです。些細なことであっても、お気軽にご相談いただければと思っています。