contents 目 次
- 院内の雰囲気について
- 地元 杉並区で開業した理由
- 獣医師を志したきっかけ
- 特に歯科診療に注力している理由
- 歯科に関するお悩みを抱えている飼い主さまや罹患率の現状について
- 日頃のお手入れや定期的な検査の重要性について
- 自宅で簡単に行える代表的な歯のケア方法
- 歯の治療後のアフターケアについて
- 実際に行う頻度の高い歯科治療について
- 人と動物の歯科医療における共通点
- ご家庭での歯のケアを行う際に気を付けるべきポイント
- 歯科の分野に関する将来的な展望
- 特に印象に残っている経験
- 獣医療への興味深さ
- 今後の目標について
本日はよろしくお願いします。こちらの病院は2018年のご開業と伺っています。すごく和やかで親しみやすそうな雰囲気の院内ですね。
ありがとうございます。私の場合はご家族との距離感を近くもっていられるような気軽さや身近さを一番大切にしていて、そういう意味で地域に密着した存在でありたいと思っているので、そう感じてもらえたら嬉しいです。
先生は杉並区のご出身と伺っています。やはり、開業するならご地元でというお考えがあったのでしょうか。
この近辺で生まれ育ったことももちろんですが、父が40年近く営んでいる「井荻歯科医院」があり、開業するならその近くで頑張ろうと思っていたこともきっかけの一つです。また、兄も医者なのですがやはりこの近辺で2021年に「井荻内科医院」開業いたしました。
歯医者、医者、獣医師でこの地域で暮らす方々の健康な暮らしを支えることで、地域に貢献していきたいと思っています。ちなみに、姉2人も人の医療に関わっています。
医療系のご一家なんですね!先生が医療を志したのもその環境があったからでしょうか。
そうですね。私の場合は医療の中でも獣医療に目が向いていて、幼い頃から自然と獣医師を志すようになっていました。
現在では全科で様々なご相談を受け付けておられると思いますが、その中でも特に歯科診療に注力しておられると伺っています
それについても父からの影響は大きいと思います。最近では歯を健康に保つことに対しての意識が一般的に普及しつつあり、特にワンちゃんの場合は歯をキレイに保つことは寿命の向上に繋がることがわかっています。
当院では治療に加え、予防という観点からも適したご案内を行うよう努めています。
歯科に関して、実際の罹患率やお悩みの飼い主さまは多くおられるのでしょうか
最近特にご相談いただくことが多いと思います。ワンちゃんについては2歳以上で8割の仔が歯周病を患っていると言われていますので、悪くなる前に検査をさせていただき、状態に応じて普段からのケアの仕方をお伝えしています。
歯科治療は「元の状態に近づける」ということを目的にするケースが多いため処置そのものと同じくらいその状態を保つことも重要で、適切なお手入れをしっかりやっていくことで初めて意味が生まれるんです。
日頃のお手入れや定期的な検査が大切ということでしょうか
その通りです。今は歯科の話でしたが、アフターフォローの大切さというのは全科に共通した内容です。そういった意味でも先ほどお話したようなご相談いただきやすい雰囲気を大切にしており、当院では登録していただければLINEでもご相談にお応えしています。
ご自宅で簡単に行える代表的なケア方法などはありますか。ワンちゃんの性格によっては、飼い主さまがお手入れを行うのが難しいケースもあるかと思うのですが…。
最近はデンタルケアに関する様々な製品があり、中にはかじるだけ・塗るだけといったものもあるので、そういったものも適宜取り入れていくことですね。
しかし、それはあくまで補助としてのポジションであり、それ自体が治療になるわけではありません。本来であれば、やはり人と同じように歯ブラシを使った物理的な除去というのが一番のお手入れになるので、難しい場合はまず口に触れるところから、だんだん慣れていくトレーニングをご案内しています。
なるほど。そういったケアについては飼い主さまにも積極的にご協力いただきたいところですね。
そうですね。実際に、治療が済んだあとすぐ歯磨きで日常的なケアを行えるように、時間的な余裕がある場合はまず歯磨きのトレーニングをすることもあるなど、状態に合わせた治療計画を立てるようにしています。
実際に行う頻度の高い治療はどんなものでしょうか。外科的な方法を行うことが多いものと思っているのですが…。
抗生剤や消炎剤といった内科的な方法でもアプローチは行えますが、歯周病に関して言うとそれらは根本的な治療とは言えません。麻酔に関して問題がなく、飼い主さまからの了承が得られれば必要に応じて根治を目的とした全身麻酔下での歯科治療をお勧めしています。
当院では麻酔での歯科治療行う機会も多く、必要な設備を揃えてできるだけ短時間で負担の少ない処置を行うよう努めています。
技術・知識面での向上にあたって、人の歯科医療との連携も行っておられると伺っています。学術的な意味で、獣医療と共通する部分は多いのでしょうか。
健康な歯を多く残すという目的や、症状が進行することで他の臓器の疾患に繋がるということは同様で、父の病院(井荻歯科医院)と連携して吸収できる情報を取り入れています。
ただ、獣医療の場合は症状が現れてから診察に入るケースも多いので、飼い主さまにはできるだけ普段からワンちゃん・ネコちゃんのお口の状態をチェックしていただきたいところです。
飼い主さまがご家庭でチェックを行う際、気を付けて欲しいポイントはどんなところでしょうか
口の中が臭う、赤みがある、というところです。症状が進行するとご飯が食べられなくなり、そこまで行くと治療として抜歯が必要になってきます。健康な歯を残して噛む喜びをずっと感じてもらえるように、おかしいと感じたら早くにご相談いただきたいです。
先生の思う、歯科の分野に関する将来的な展望などはありますか
専門性はどんどん高くなり、専門医の先生や専門治療を行う病院も増えると思いますし、当院としても必要に応じた連携を取っていきたいと思っています。
ただ、歯科は他の臓器に関する内容やその後のアフターケアなど、総合的な診断能力が問われる分野だと思っていますので、個人的には総合診療を行う中での専門的な歯科診療を大切にしていきたいです。
話を変えて、先生のこれまでのご経験についてのお話を伺います。これまでの経験の中で特に印象に残っていることはありますか。
特にということは無いですが、多くのワンちゃん、ネコちゃんと出会う中で、病気の子では治療がうまくいき、ご家族が喜んで下さる姿は日々励みになります。また、懸命に治療を行っても、時に命を落としてしまい、ご家族が悲しむ姿は目に焼き付き、心が痛いです。それでも、また新たにご家族を迎え入れた際に、当院に来てくださるとまたそれが励みとなります。
獣医療に携わる中で感じる興味深さについてはいかがでしょうか
獣医療の興味深さは、その難しさにあります。獣医療では、治療対象が人のようにどこが悪いか、どのくらい悪いかなどを教えてくれません。そのため、私たち獣医師は、問診を通してご家族から情報をもらい、身体検査を通じてその子の病気を推測し、そこからいかに必要な検査、治療を行うかが重要となります。そこに辿り着くためには、診療の中でご家族にお話をしてもらいやすいように心がけつつ、ワンちゃんネコちゃんにもリラックスしてもらえるように接しています。
当院では、キャットフレンドリークリニックやフェアフリーなどの認定を取り、ワンちゃん・ネコちゃんができる限り動物病院を怖がらせないための工夫を凝らし、より良い治療に繋げています。
ありがとうございます。最後に、高橋先生の今後の目標を教えてください。
より多くのご家族に、ワンちゃん・ネコちゃんと一緒に居られる幸せを長く感じていただけるように、一人の獣医師として力を尽くしていきたいです。
また、当院では病気の背景にあるその子の暮らしや、ご家族の気持ちを大切にして、総合的なサポートを行っていきたいと考えています。そのため、お話を伺う中では距離感が近いと思われることもあるかもしれないのですが…(笑)。とにかく、お話をしっかり伺い、治療そのものについてもその他の要素についても、信頼してお任せいただけるように努めていきます。