Veterinarian's interview

インタビュー

動物のことを第一に考えて飼い主と共に最善の選択ができる動物病院でありたいと考えています 動物のことを第一に考えて飼い主と共に最善の選択ができる動物病院でありたいと考えています

動物のことを第一に考えて飼い主と共に最善の選択ができる動物病院でありたいと考えています

中山獣医科病院

田中 宏院長

奈良県 奈良市

中山獣医科病院

田中 宏院長

奈良県で半世紀近くの長い歴史を持ち、小動物臨床の黎明期からその過渡の中心に身を置いていた中山獣医科病院。この病院で1990年に臨床獣医師としてのキャリアをスタートさせた田中宏先生は、2015年からは院長に就任し、足を運ぶ多くの動物たちにその辣腕を振るっている。
専門性の高い高度治療の見識・技術を有しながらも、さらなるポテンシャルを備えた病院を目指して舵を切る田中先生に、お話を伺った。

contents 目 次

まず、田中先生が獣医師を志したきっかけについてお話を聞かせてください

獣医療の道を志したのは、高校三年生の頃に交通事故に遭った犬とたまたま遭遇したことがきっかけです。

その犬の周囲には沢山の人が集まっていたにもかかわらず、近くに受け入れてくれる動物病院を見つけることができずにどうすることもできない状況でした。最終的にその犬は放置されたまま息を引き取ることになるのですが、その過程において私は大変衝撃を受けました。「このような動物をこれ以上増やしてはいけない」という使命感に似た気持ちを抱くようになり、すぐに進路を獣医師へと変更しました。当時の進路指導の先生は驚かれたのではないかと思います。

実際に獣医師として診察を行う日々の中で、やりがいを感じる時はどのようなときでしょうか

自分の担当した動物に適切な治療を施すことで、動物が元気になっていく過程を見られることにやりがいを感じますね。特に動物が元気になっていくに連れて、飼い主さまの笑顔が増えていく様子を見る度に「この仕事をやっていて良かった」と思います。

先ほどお話したように、「動物を一匹でも多く救いたい」という気持ちを持って獣医師を目指しましたので、どのような動物であっても命を救えたという事実は私にとって大きな充実感を感じさせてくれます。

田中先生は2015年より、かねてから勤務されていた中山獣医科病院の院長に就任されたと伺っています。病院の今後の展望についてお話を聞かせてください。

当院は椎間板ヘルニアの治療実績数に関しては全国有数であると自負していますが、そのまま椎間板ヘルニアに特化した動物病院にしていくのではなく、基本的にはどのような症状であっても対応できる動物病院として診察を行っていきたいと考えています。

そのためにも在籍する獣医師たちには臨床における基礎をしっかりと伝え、その上で自身の得意分野を思う存分伸ばせる環境を整えていきたいと思っています。

椎間板ヘルニアとは、具体的にはどのような病気なのでしょうか

椎間板に亀裂が生じることで中にあるクッション材が飛び出し、脳から手足に命令を伝える役割を担っている脊髄が圧迫される症状です。脊髄が圧迫されることにより、手足の激しい麻痺などが発症することがあります。この症状は犬に見られるケースが殆どで、猫が発症することは非常に少ないと言われています。また犬の中でも「軟骨異栄養性犬種」に分類されるダックスフンドやビーグル、ペキニーズなどは罹患の可能性が高いと言われています。

椎間板ヘルニアには様々な形がありますが、古くからある分類方法が「Ⅰ型ヘルニア」と「Ⅱ型ヘルニア」です。Ⅰ型ヘルニアは前述したダックスフンドやビーグル、ペキニーズなどが4歳から6歳という期間に発症することが多いヘルニアですが、Ⅱ型ヘルニアはあらゆる犬種がシニアの年齢に差しかかる段階で発症することが多いヘルニアとして認知されています。

検査やリハビリテーションで使用する機器についてお聞かせください

当院では人の医療には欠かせない存在であるCT機器を積極的に活用しています。CT機器は従来のレントゲンとは異なり立体的に体内の状況を検査できますので、病気の早期発見や適切な治療法を診断するために大変役立っています。

また、術後のリハビリテーションの際は高圧酸素カプセルやジェットバスなどの機器も積極的に導入・活用しながら、最終的には自力歩行ができるように心を込めたメニューを提供しています。

動物リハビリテーションについてお聞かせください

病気によって動物に運動機能障害が残ってしまったとしても、動物は人と違ってリハビリテーションの必要性や意味を理解できません。そのため動物のリハビリテーションには人のサポートが必要不可欠です。

そこで当院では手術の翌日から、運動機能改善を図るためのリハビリテーションを実施しており、受動運動と能動運動を上手に組み合わせながら動物自身の潜在能力を引き出すことを重視したメニューを組んでいます。

獣医療の今後の展望について、田中先生のお考えを聞かせてください

今後の獣医療がどうなっていくかを見通すことは難しいですが、症状が複雑化・細分化していくことによって、獣医師同士で横の連携が重要になってくるのではないかと考えています。もちろん一人の獣医師があらゆる症状に対して適切な治療を提供することが理想であるとは思いますが、自身の専門分野や臨床経験などの関係で対応できない症状があることも事実です。

現在では二次診療や専門病院などの難易度が高い医療を提供する医療機関は増加傾向にありますので、獣医師が治療に自信を持てない症状の場合には無理をせずにそのような医療機関を紹介することが大切になると思います。これからの獣医師はプライドに縛られることなく、本当の意味で動物や飼い主さまのことを第一に考えた診療を提供していく必要があるのではないでしょうか。

飼い主さまへ向けて、先ほど聞かせていただいた椎間板ヘルニアの予防方法などがあれば教えていただきたいです

発症に関しては遺伝的な要素も指摘されていることもあり、私たちは完全に予防することは困難であると考えています。従って、お散歩に連れ出して筋肉を付けていく、滑りやすいフローリング床にはカーペットを敷くなど、普段の飼育環境を整えることが重要です。椎間板ヘルニアは予防が困難な病気ですので、早期発見と早期治療の必要性が非常に高くなります。

前述したダックスフンドやビーグル、ペキニーズなど椎間板ヘルニアになりやすいと言われている軟骨異栄養性犬種は、少しでも元気が無ければ早めに動物病院を受診することをお勧めします。

最後に、このページをご覧になる方々へのメッセージをお願いいたします

当院では飼い主さまの要望をしっかりと踏まえた上で、その範囲内で実現可能な治療を誠実に提供することを心がけています。あらゆる飼い主さまの要望を満たすために、当院では様々な選択肢やオプションを用意した上で、飼い主さまの要望に適した選択肢を提示したいと思っています。

最終的には飼い主さまから頼られ、社会にも貢献できる動物病院を目指して一歩ずつ着実に進んでいきたいと考えていますので、動物に関わるどのようなことでも、お悩みのことがあればお気軽にご相談ください。

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