
犬の食道狭窄について
症状・原因について

食べ物を飲み込むことが困難
食道狭窄症とは、食道腔内が狭くなり、食べ物の通過が困難になってしまう症状の事を言います。症状は、食べ物の飲み込み困難と食後すぐの吐き戻しを繰り返します。典型的な症例では活発で意識もしっかりしており体調不良もみられません。狭窄が軽度の場合、硬さや形状によって飲み込むことができる場合もありますが、重度になると固形物は飲み込めなくなり、液体しか飲み込めなくなります。
さらに、慢性化すると狭窄部位の頭側が拡張しており、吐出が採食に関連しないこともあります。また、食道炎の併発により、食欲不振やよだれなどの症状が引き起こされる事もあります。合併症状として誤嚥性肺炎を併発すると、咳や呼吸困難が現れます。
食道狭窄には、食道内部が原因で引き起される場合と、食道周囲腫瘤のような外部からの圧迫により引き起こされる場合があります。
食道内部から起こる一般的な原因は、食道の手術後や食道内異物の除去後、麻酔に関連する逆流などで、重度の食道炎が繊維芽組織の増殖を誘発して2次的に狭窄が生じます。
外部からの圧迫の原因は、頸部の腫瘍(甲状腺腫瘍など)や膿瘍、胸部の腫瘍(心基底部腫瘍、リンパ腫、原発性および転移性肺腫瘍、転移性によるリンパ節の腫大)、異常血管輪による圧迫(右大動脈弓遺残症)などがあります。
犬のためにあなたができること

他の病気を併発しやすい
食後すぐに吐き出す様なしぐさがないか、観察する事が重要です。液体状のものでも、すぐに吐き出すようであれば、かなり重症です。食道狭窄症は、他の病気も併発しやすいため注意が必要になります。
検査として、食道が外部から圧迫されている場合は、X線検査によって確認する事もあります。造影X線検査では、狭窄部や狭窄部の頭側の食道の拡張を明確にする事が出来ます。
内視鏡検査では、食道内の粘膜を観察できるため、原因となる病気の診断に有効です。
良性食道狭窄の治療には、ブジーと呼ばれているチューブやバルーンカテーテルというチューブで物理的に狭窄部位を拡張します。狭窄部位があまりにも狭く、チューブが挿入できない時や、チューブによる拡張を試しても効果が得られない場合には、手術が必要です。
食道炎の集中治療が必要でH2ブロッカー(ラニチジン、ファモチジンなど)、プロトンポンプインヒビター(オメプラゾール、ランソプラゾールなど)、細胞保護薬(スクラルファート)、運動促進剤、時には副腎皮質ホルモンが含まれます。食道拡張処置後も再発する恐れがあるので、注意が必要になります。
外部からの圧迫では原因の除去につとめます。
犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

- 食べた直後に吐き出す
- 液体の物しか飲み込めない
- 食欲不振
- 体重減少
- よだれ
- 咳
- 呼吸困難
かかりやすい犬の種類
- 頻繁な激しい嘔吐歴を持つ犬
- 食道異物停留や食道炎をおこした犬
- 2~3週間以内に麻酔歴がある犬
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