
犬の前庭疾患
不調を抱えた犬の症状・原因について

頭が傾いたままになっている(捻転斜頸)
犬の頭は、頸部の上にいつもバランスよく保たれています。
これは、特に前庭系と呼ばれる受容器で頭部の動きや位置を正しく認識し、脳などへ情報を伝えているからです。
その前庭系は、主に「内耳」にある末梢前庭(半規管、耳石器、前庭神経)と「小脳」や「脳幹」にある中枢前庭に分けることができます。
犬が頭を傾けたまま(片方の耳が、もう片方より低い位置になっている)であるならば、前庭疾患が疑われます。
そして、末梢前庭の問題か、中枢前庭の問題かを鑑別することが重要です。
一般論として、末梢前庭に限局した問題なら、予後は良いのですが、中枢前庭の問題であれば、予後はあまり良くありません。特に後者には、「肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)」という大変深刻で致死的な病気もみられます。
捻転斜頸は、患側を下にするのが特長です。
目が細く動いている(眼振)
捻転斜頸の他に、前庭疾患によくみられる症状として「眼振」があります。
やはり、末梢前庭か、中枢前庭の問題として眼振がみられるのかを鑑別することは重要です。
末梢前庭に限った問題であれば、患者の頭の位置を変えても、眼振の方向(通常、水平)が変わりません。
中枢前庭障害であれば、眼の動きはタテになり、また他の脳神経の問題も併せて出やすいのが特長です。
水平に眼球が動く際、急速に動くのは「健側」になります。
より正確に診断するには…

捻転斜頸も眼振も、神経学的検査として詳しく診てもらいます。
また、末梢前庭障害を疑い、オトスコープという内視鏡で患側に中耳炎が認められますと、外耳炎、中耳炎から波及した内耳炎を疑います。
さらに、MRIやCTなどの画像診断は、より確かな診断につながります。
犬にこんな症状・しぐさが見られたら注意!

- 片方の耳を低くして、頭を傾ける
- 眼が、細く揺れるように動いている
- まっすぐ歩けない
- 以前に比べ、音に対する反応が良くない
- 声をかけても、違う方向を向く
かかりやすい犬の種類
- あらゆる犬種(老犬にみられやすい)
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