犬の肺水腫について

犬の肺水腫について

2022/9/20
獣医師
【監修医】御厨 純
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

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突然死の可能性もある危険な病気

肺水腫は、肺の中に水が溜まってしまい、肺胞や気管支などに機能不全が起きる病気の事を言います。肺胞の水分が二酸化炭素と酸素の交換を妨害し、呼吸がおこなえず、呼吸困難に陥ります。
突発的且つ重度の場合は、死に至る危険性もありますので、肺気腫を含む呼吸器系の病気には特に注意する必要があります。
   

【主な症状】
症状は、意気消沈、目がうつろになる、呼吸困難、咳(感情が高ぶると咳が出たりする)、よだれを垂らす、血液のようなピンク色の液体の吐き戻し、開口したまま息をするなどが挙げられます。
他には、おろおろと歩き回ったり、呼吸しやすいように前足を突っ張った姿勢をとることが多くなります。また、食欲もなくなりますし、しんどいために入眠がうまく行なえず体力が衰弱します。
   

【主な原因】
肺水腫が発症する原因はいくつもありますが、代表的な原因は心不全とそれ以外の原因の大きく2つに分けられます。
まず、心臓の機能不全から肺水腫を併発する可能性が考えられ、多くの肺水腫はこれが原因で発症します。

   

  • 心不全
  • 僧帽弁閉鎖不全症(小型犬はかかりやすい病気)

が原因で、周辺の水分が圧迫され肺水腫を発症します。 それ以外の原因としては、毒物の吸引・感電・重度な感染症や炎症反応、腫瘍など多くのものが肺水腫につながります。そのため原因を調べるために詳しい検査が必要になることがあります。

   

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併発で起きやすい肺水腫

肺水腫は併発で起きるのがほとんどなので、肺水腫だけを予防する方法は現状存在しません。
稀なケースになりますが、熱射病などでも発症する事があるので、病院へ搬送するような場合も、あまり日差しの強いところは回避しましょう。
検査方法は、心音の雑音を拾い症状を分析する聴診や、肺水腫以外の病気の可能性をさぐるX線検査が挙げられます。他には、心電図の記録や血液検査が必要となる場合もあります。
治療法は、急性の突発的な肺水腫に関しては、酸素吸入で延命し、その場をしのぎます。強心剤や利尿薬で肺にたまった水を除去する事で、状態は緩和されます。気管支拡張剤で呼吸を楽にしてあげる事も出来ます。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 呼吸困難
  • 不眠
  • 食欲減退
  • 興奮状態で起きる咳
  • よだれを垂らす
  • 口を開けたまま息をする
  • 不安気に歩き回る
  • 前足を突っ張る
  • 元気がなくなる

などの顕著な症状が出ます。日頃から健康状態をしっかりと把握しておき、重度になる前に対応することで治療出来る病気です。

かかりやすい犬の種類

  • 特にかかりやすい犬種というのはありませんが、全体的に見ると小型犬に多く見られる病気です。心臓病などの心臓疾患や、肺炎・気管支炎などを持っている犬が併発しやすいのがこの肺水腫です。
獣医師
【監修医】御厨 純

とよだペットクリニック/東京都 日野市 豊田3-42-4ヴェールクレール101

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