犬の低血糖症について

犬の低血糖症について

2022/9/6
獣医師
【監修医】大村 知之
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

Studio shot of an adorable Golden retriever sitting and looking up curiously - isolated on white background.

年代別に異なる低血糖症の原因

低血糖症は、血中の糖分が減り、細胞へ栄養を正しく送れなくなることで起きる病気です。

   

【主な症状】
症状としては、「突然意識を失う」「けいれんを起こす」「下半身を動かさなくなり不自然な動きをする」「だるそうにしている」などが主に見られます。
血糖値の異常は、脳への影響を与えてしまうことが原因で、倦怠感に苛まれたり、全身が重くだるく感じたりします。

   

【主な原因】
原因は年齢によって異なりますが、どの年代にも言えるのが、既に糖尿病を患っている ことです。糖尿病の治療中にインスリンの投与量が適量でないと、低血糖症を引き起こす可能性があります。

また、年代別の原因について詳しく説明すると、生後3ヶ月までの子犬の場合、空腹や冷え性、また、内臓になんらかのダメージがあると、栄養が正しく補給されずに低血糖症を発症する可能性があります。嘔吐などを繰り返す場合も注意が必要です。

このほか、メンタル面にも左右される病気なので、神経質で細かい事が気になる子犬はかかりやすいと言われています。産まれてすぐは、精神的に不安定な状態になることも少なくないので、元の性格とは無関係に神経質にならざるをえない時もあります。

   

一般的な成犬で低血糖はほとんど見られません。低血糖を認められるのは、「猟犬の低血糖」(糖利用の過剰)や次にあげる状況によって起こります。

  • 敗血症
  • 肝不全
  • 飢餓
  • 副腎皮質機能低下症
  • 稀に腫瘍や妊娠など

   

老犬の場合(主に7歳以上)は、膵臓に腫瘍ができてしまうことで、インスリンが過剰分泌され低血糖症になってしまう場合が多いです。
新生子や6ヶ月齢以下のトイ種で見られる低血糖は、成長に伴い認められなくなり「完全な健康状態」になります。それ以外のものは原因治療が難しいため、愛犬が少しでも楽に生活出来るような環境を作ってあげると負担が少なくなります。完治を目指すのではなく、なるべく快適に暮らせるよう心がけましょう。

   

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血糖値を正常に戻すことが鍵

検査は、血液検査がメインとなります。血糖値70mg/dl以下だと低血糖症だと診断されます。
治療は、愛犬の年齢でも異なりますが、子犬ならブドウ糖溶液を投与します。成犬なら食事で血糖値を時間かけて戻します。どちらも間違いを起こしてはいけないので、病院にて正しい指示を受けてから行なってください。
膵臓腫瘍の場合は、腫瘍を取り除く手術からとなりますが、膵臓の腫瘍は見つけにくく、治療が大幅におくれる場合もあります。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 意識喪失
  • 虚脱状態になる(元気がなくなる)
  • けいれんをする起こす
  • 下半身を動かさなくなる

かかりやすい犬の種類

以下の犬種が低血糖症にかかりやすい傾向があります。

  • ゴールデンレトリバー
  • アイリッシュセッター
  • ジャーマンシェパード
  • ボクサー
  • スタンダードプードル
    など

上記の犬種は、膵臓に発生し過剰なインスリン分泌を起こすインズリノーマ(β細胞癌)の多い犬種で、 新生子は比較的どの犬種でも見られ、6ヶ月齢以下のトイ種に認められ、敗血症、飢餓はどの犬種にも起こる可能性があります。
成犬では比較的、大型犬が発症しやすいといわれていますが、小型犬でもかかることはありますので、普段から体調の微妙な変化に気づけるように観察しておきましょう。

獣医師
【監修医】大村 知之

おおむら動物病院/東京都 武蔵野市 吉祥寺本町2-30-9

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