
【獣医師執筆】犬が一緒に寝たがるのはなぜ?犬と一緒に寝てもいい?獣医師が詳しく解説
愛犬の寝顔や安心している姿を見ることは、飼い主にとっては幸せを感じる時間ですが、その一方で「犬と一緒に寝るのはおすすめしない」という意見もあります。
この記事では、犬が一緒に寝たがる気持ちや犬と一緒に寝るメリット・デメリットを解説し、そもそも犬と一緒に寝ていいの?という疑問にお答えします。是非参考になさって下さい。
目 次
犬が一緒に寝たがるのはなぜ?

犬はなぜ飼い主と寝たがるのでしょうか?単に飼い主のお布団がフカフカで気持ちがいいから、という理由だけではなさそうですね。
犬が一緒に寝たがる理由
犬は、本来は外敵が来てもすぐに対応できるように眠りが浅い動物です。また群れで生活するオオカミがルーツだと考えられています。
犬が飼い主と一緒に寝たがるのは、人間のお布団が快適であるという理由もありますが、集団生活をする犬の習性と飼い主と一緒にいて安心したいという気持ちからではないでしょうか。
特に甘えるのが好きな犬は、一度でも飼い主と一緒に寝る経験をすると、常に一緒に寝たがる傾向があります。
犬に選ばれたい!どうしたらいい?
犬も人間と同じように、安心して過ごせて居心地がいいと思う状態を好みます。
具体的には

一緒にいて安心できる(飼い主の寝相の良い悪いも含め)
居心地のいい寝具や犬にとって狭すぎず広すぎない場所
静かでうるさくない
の3つです。
中でも「一緒にいて安心できる」というのは重要なポイントです。愛犬に選ばれる秘訣は、普段から愛犬とコミュニケーションをとって、信頼関係を築くことかもしれませんね。
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犬と一緒に寝るのはよくないの?

しつけの専門家には「一緒に寝ると上下関係が曖昧になり犬がわがままになるので良くない」と言われます。しかし、実際には愛犬と一緒に寝ている方は多いのではないでしょうか?
ここでは、犬と一緒に寝るメリットとデメリットについて解説します。
犬と一緒に寝るメリット
- 飼い主が癒される
- 愛犬が安心する
- 夜間の愛犬の異常に気付ける
の3つです。
<飼い主が癒される>
獣医師やしつけの専門家の意見では「一緒に寝るのはおすすめしない」はずなのに、やはり愛犬と一緒に寝たい…、私自身も犬を飼っているのでその気持ちは共感します。
ぐっすり寝ている可愛い愛犬の姿を見る、フワフワした毛並みを撫でながら一緒に寝ることは、飼い主にとっては癒しや幸福感に繋がります。
<愛犬が安心する>
犬は、前述のとおり本来眠りが浅い動物です。しかし、室内の安心できる環境ではぐっすりと熟睡している犬が多く見られます。特に怖がりの犬の場合は、飼い主と一緒に心地よい寝具で寝ることで強い安心感が得られます。
<夜間の愛犬の異常に気付ける>
夜中に突然嘔吐する、痙攣をおこすなど寝ている間に愛犬に何かあった場合に、すぐに気づくことができます。
犬と一緒に寝るデメリット
- しつけ上好ましくない
- ベッドからの落下、飼い主に下敷きにされるなど犬がケガをする可能性がある
- 衛生上の問題が起こる可能性がある
の3つです。
<しつけ上好ましくない>
飼い主と常に一緒にいないと不安になってしまう分離不安、飼い主と一緒に寝ることで上下関係が曖昧になる、飼い主が寝返りを打った際に驚いて噛みつくなど、しつけ上好ましくない問題が起こる可能性があります。
<犬がケガをする可能性がある>
特に超小型犬の場合は飼い主が寝返りを打った際に下敷きになる、ベッドからの落下で骨折するなどの事故が起きることがあります。
また、愛犬をつぶさない様に注意することで飼い主の睡眠の質が下がる可能性があります。
<衛生上の問題>
犬の抜け毛や粗相による寝具の汚れ、ノミなどの寄生虫に刺されるなど衛生上の問題が起きる可能性があります。
パスツレラ症などの人畜共通伝染病などの感染の原因になることも否めません。
こんな時は犬と一緒に寝ていいの?

犬と一緒に寝る場合、色々な状況が考えられますが、想定される状況と注意点についてお伝えします。
子犬のうちから一緒に寝てもいい?
子犬のうちから一緒に寝るのはおすすめしません。
子犬は、今まで過ごしていた環境とは異なる環境で家庭生活を始めます。犬を飼育する際には最低限のしつけをする必要があり、特に「サークルやクレートの中で大人しく待つ」「ひとりでも不安なく過ごせる」というトレーニングは子犬にとって必要なしつけです。
このしつけが出来ていないうちに飼い主と一緒に寝ると、子犬が分離不安になる可能性が高い上に、子犬は身体が小さくケガや事故の原因になるので絶対にやめましょう。
飼い主もしくは愛犬の体調が悪い時は?
一緒に寝ることでお互いに安心し、リラックスできる反面、睡眠の質が下がる可能性は常にあります。飼い主自身の体調が悪い時は、一緒に寝るべきではありません。
愛犬の体調が悪い時は、飼い主がそばにいることで、お互いが安心できるというメリットがあります。その際は一緒に寝るのではなく、飼い主のベッドや布団のそばに愛犬の寝床を置く等工夫してみましょう。
高齢な犬と一緒に寝てもいいの?
無理やりではなく、犬が自発的に飼い主と一緒に寝る分には問題ないでしょう。先にあげたように、夜間の異変にすぐ気がつけるメリットもあります。
ただし、踏んでしまう、ベットから落ちてしまうなどの事故リスクは高まりますので、寝具の高さと広さにはより気をつけましょう。
またいつでも移動できるよう、近くに愛犬の寝床を作っておくなど、愛犬が適したところを選べるようにしてあげるのもおすすめです。
365日いつも一緒に寝てもいいの?
365日いつも一緒に寝ることはおすすめしません。
飼い主の仕事や入院など何らかの理由で、愛犬がある日突然ひとりで寝なくてはいけなくなる場合も考えられます。
その際の愛犬のストレスを考え、「愛犬がひとりで寝る」という日を作りましょう。
0から5歳の子供と犬が一緒に寝ても大丈夫?
赤ちゃんや子供の動きは、犬にとっては恐怖や好奇心を煽る可能性があります。
大人しい犬でも、赤ちゃんや子供の急な動きや大声にびっくりして、ケガをさせてしまうかもしれません。5歳以下の子供と犬を一緒の寝具で寝かせるのは避けるべきです。
犬が一緒に寝るときの位置と姿勢による心理

犬が飼い主と一緒に寝る場合、寝ている位置や姿勢によって犬がどんな心理なのかある程度わかると言われています。
犬が寝る時の位置の違いによる心理
●飼い主の顔の横や、腕枕など顔より上の位置で寝ている場合
「自分と同じ」または「自分より飼い主が下」だと思っている可能性があります。
●お腹のあたり、足元などで寝ている場合
足に近い位置であればあるほど、「飼い主を自分より上」だと認識していると言われています。
犬の姿勢の違いによる心理
犬は、基本的にドーナツの様に丸まって寝ます。この状態は体温が下がりにくくなるとともに一番弱い自分のお腹を守る姿勢だと言われています。
最もリラックスしている姿勢はいわゆる「へそ天」で、自分が一番守るべきお腹を上に向けて寝ている姿勢で、安心しきっている時にする姿勢です。
横向きで四肢を伸ばして寝ている姿勢もリラックスしている姿勢です。この姿勢で寝ていて、夢をみて寝言を言っている愛犬の姿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
逆に、すぐ動けるうつ伏せの姿勢は緊張があり、熟睡出来ていない可能性があります。
犬と一緒に寝るときに気をつけるポイント

愛犬と一緒に寝るデメリットをなるべく少なくすることが大切です。
愛犬が「ひとりでも寝る」「お留守番ができる」「人の手や足を噛まない」というしつけが出来ていることを前提として、

- 広めのベッドや高さのない寝具で寝る、同じ布団ではなく隣にサークルやケージを置いて寝るなどケガなどの事故を防ぐ対策をしましょう。
- ノミやダニなどの予防を行い愛犬の身体を清潔に保つと同時に、寝具もこまめに洗いきれいな環境でお互いがストレスなく過ごす工夫も必要です。
- 寝具への粗相を防ぐためには、寝る前に排泄を促す、愛犬のトイレを寝室のそばに用意しておくなどの対策を考えてみましょう。
- アロマオイルの使用は犬猫に安全性が確認されているもの以外はお勧めできません。 寝室でアロマオイルを焚く場合は、要注意です。
Q&A
いつも一緒に寝てくれていたのに、ある日から寝てくれなくなりました。嫌われてしまったのでしょうか?
一緒に寝ている時に何か物音がして怖かった、ただ単に暑くて居心地が悪かった、腰が痛いなどの何らかの理由があったことが予想されます。愛情を持って接していれば、犬は飼い主を嫌いになることはありませんのでご安心下さい。
犬と一緒に寝るなら、やはりベッドより布団の方がいいでしょうか?
小型犬の場合は、落下する可能性があるのでベッドより布団の方が安心です。
犬が日替わりで寝る人を変えるのはなぜでしょうか?
詳細は不明ですが、犬の性格や寝具の寝心地、一緒に寝る人の寝相など様々な理由があると言われています。
犬が一緒に寝てくれるのですが、いつも数分でどこかに行ってしまいます。どうしたら長くいてくれるでしょうか?
朝までずっと一緒にいるのが好きな犬や、一緒に寝ることを好まない犬など犬の性格は様々です。
犬の好みの問題なので無理強いはおすすめできませんが、長く一緒に寝るための工夫としては愛犬の居心地を良くすることが一番です。
いつも一緒に寝るのに、今日は別室で寝ています。ストレスや体調不良でしょうか?
腹痛や吐き気など体調不良がある場合と、特に理由がない場合の両方が考えられます。
まとめ

愛犬と一緒に寝ることにはメリットとデメリットがあります。
しつけの状況や愛犬の性格など各ご家庭によって状況が異なるため、どちらをおすすめするかは何とも言えないのが正直なところです。
一緒に寝る場合は愛犬が「飼い主が不在でもひとりでも寝る」「お留守番ができる」というしつけが出来ていることが大切です。
わたしの勤務先でも「実はうちの子と一緒に寝ています」という方は相当数いらっしゃいます。
その方たちの愛犬を病院でお預かりして、ワンちゃんがひとりになった時、ケージに大人しく入って待てる場合もありますが、ずっと吠え続けてお返しする頃には疲れ果ててしまうという場合もあります。
愛犬と一緒に寝るかどうかは、上記の様に飼い主さまと一緒にいられない状況やしつけの状況、愛犬の性格を踏まえて決めることをおすすめします。
<参考>
犬と猫の行動学 (株)インターズー
わが家の犬はここで寝る!500人に聞いたもっとも多い睡眠場所とは…?
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