犬の緑内障について

犬の緑内障について

2022/9/9
獣医師
【監修医】福島 潮
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

何かを見つめるマルチーズ

症状が悪化すると失明の可能性も

緑内障とは、眼圧のコントロールが乱れ、上昇してしまうために、網膜や視神経が影響を受け、その結果視力の低下を引き起こしてしまう病気です。
眼圧が高くなる原因は、「房水」の循環悪化です。
房水とは、眼の中を流れる体液で、眼の中の角膜など血管が存在しない部分に栄養を与える役割を持っています。

【主な症状】

緑内障には「急性緑内障」と「慢性緑内障」の2つがあり、
急性の場合は、眼圧の乱れが一気に起こり、著しい眼の充血、瞳孔が閉じない、眼が浮腫を起こす、まぶたの痙攣、激痛、涙がとまらなくなる、触れるのを嫌がる、嘔吐、食欲不振、意気消沈などの症状が見られます。
慢性の場合は、初期段階では自覚症状が出ないことがほとんどです。症状が出始めたときは既に病気がかなり進行している状態といえます。
【主な原因】

原因は、何らかの病気によって引き起こされているか、または遺伝が考えられます。緑内障を引き起こしやすい病気には、前房出血などが考えられます。

犬のためにあなたができること

A veterinary ophthalmologist makes a medical procedure, examines the eyes of a dog with an injured eye and an assisent helps her to hold her head. A veterinarian makes biomicroscopy using a slit lamp.

定期的な眼の検査を

緑内障の初期は症状が出にくいので、眼の病気がないか定期的に動物病院で眼科検診を行うことが重要となります。
検査は、視診をしてから、眼圧計で眼圧の変異を測定します。必要に応じて超音波検査を行なう場合もあります。

治療法は、病状により異なります。
他の病気が緑内障を引き起こしている場合は、まずその病気の治療を行います。
他の病気が特に見つからない場合は、症状を現状よりも悪化させないために眼圧を正常に抑える薬の投与を行ないます。また、病気が見つからない場合も予防として投薬を行うこともあります。
投薬による治療で改善が見込まれない場合は、レーザーや注射針を使った処置、手術により房水を結膜下に出すためにチューブで通路を作成する外科手術が施行されます。症状が進行し、失明かつ痛みがある場合には眼を残す義眼手術や眼球摘出手術が行なわれる場合もあります。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 眼の充血
  • 瞳孔が閉じない
  • 眼がはれる
  • まぶたが痙攣する
  • 涙がとまらなくなる
  • 触れるのを嫌がる
  • 嘔吐
  • 食欲不振
  • 元気がなくなる
  • 角膜炎や結膜炎の症状が見られる

かかりやすい犬の種類

好発犬種は以下の犬種になります。

  • シーズー
  • マルチーズ
  • ビーグル
  • 柴犬
  • 秋田犬
  • ボストンテリア
  • ケアーンテリア
  • ウェストハイランドホワイトテリア
  • マンチェスターテリア
獣医師
【監修医】福島 潮

鎌倉山動物病院/神奈川県 鎌倉市 鎌倉山1-9-2
◇所属学会:比較眼科学会、獣医麻酔外科学会、日本超音波医学会、獣医画像診断学会、日本獣医学会、動物臨床医学会

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