犬の歯周病(歯槽膿漏)について

犬の歯周病(歯槽膿漏)について

2022/9/13
獣医師
【監修医】町田 健吾
獣医師

歯周病とは

Checking the teeth. Close up of vet checking the teeth of cute little dog in veterinary clinic

歯周病とは、(プラーク)中の歯周病菌がハグキに炎症を起こし、徐々に周りの組織を破壊していく細菌感染症です。

  
歯とハグキの境目に歯垢が溜まることによってハグキが赤く腫れます。この状況を歯肉炎と言い、歯周病の始まりとなります。適切なブラッシングによって歯垢を除去できれば炎症は落ち着きますが、除去せず歯垢が溜まった状態が続くと炎症はさらに強くなり、深部の歯を支える骨にまで到達し歯周組織の破壊が起こり始めます。この状況を歯周炎と呼びます。

一旦歯周病が歯周炎まで進行してしまうと、治療により歯周病の進行は止める事が出来ますが、歯周組織は元に戻る事はありません。
つまり少しでも早く歯周病を発見し治療を開始する、もしくは歯周病にならないように予防することが大切になります。

   
さらに、歯周病の原因である歯周病菌は、心筋症、心内膜炎、慢性気管支炎、肺線維症、、など全身の臓器に悪影響を与える事もわかっています。


診断は歯周ポケットの深さを計測し、歯科用レントゲンを撮影することで歯周組織の状態を評価します。歯周病は歯の根っこの方に向かって歯周ポケットを形成し、進行していきますので決して見た目では歯周病の重症度は評価できません。つまり42本ある歯を一本一本しっかり診断・治療を行うためには全身麻酔が必要となります。

治療は歯垢・歯石を除去するスケーリングやルートプレーニングと言われる一般的な治療だけではなく歯ぐきを切開する歯周外科治療や歯周組織再生療法、抜歯などが行われます。

犬のためにあなたができること

歯周病は痛みなどの自覚症状が出にくいためサイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)と呼ばれています。つまり、犬がご飯を普通に食べているし、痛がっている様子もないから大丈夫という事はありません。普段から口の中を見てハグキの色が悪い、口臭がある、出血しているなどの異常が認められたら動物病院を受診するようにしましょう。
3歳以上の犬猫の80%以上が歯周病になっていることが報告されていますので、愛犬の健康管理にはお口のケアがとても重要であると言えます。犬では歯垢が歯石になるのは人に比べとても早く3日~5日と言われています。一旦歯石になってしまうと歯ブラシでは除去できなくなってしまいます。いくら丁寧に磨いても磨き残しがでると考えられますので、ブラッシングは1日1回するといいでしょう。
食べる事が好きな愛犬にいつまでもおいしくご飯を食べさせてあげられるように歯周病になっていない子は歯磨きを、歯周病になってしまっている子は歯周病治療をしてあげましょう。

獣医師
【監修医】町田 健吾

荻窪ツイン動物病院/東京都 杉並区 上荻1-23-18
◇所属学会等:獣医麻酔外科学会、日本獣医がん学会、小動物歯科研究会

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