顔面神経麻痺と東洋医学【獣医師解説】
発症が急で、明確な原因特定も難しいと言われる動物の顔面神経麻痺。突然瞬きができない、口の片側が動かない…そうなってしまったら、どうしたらいいのでしょうか。
「いのちのために。」7回目は、顔面神経麻痺と東洋医学について、とよなが動物病院の豊永 眞弥先生にご執筆いただきました。
動物の顔面神経麻痺とは
意識障害や半身不随は起こりませんが、発症が急で、顔面部筋肉の麻痺が片側に起こります。
原因は、中耳炎や内耳炎の感染性、外傷性、腫瘍性、免疫介在性、甲状腺機能低下症、ライム病など様々。
血液検査、X-ray検査、CT、MRI等の検査で確定診断が必要になりますが、身体的、神経学的な異常がなく原因の検出に至らない特発性のものも多く、治療法が見出せない場合もあります。
東洋医学でできること
口や眼を閉じることが出来ないことから、東洋医学では「口眼喎斜」と呼ばれています。
「風寒」(顔面部が冷えることによる発症)や「風熱」(感冒による発熱など)による影響、「気血両虚」(筋の弛緩や声が出にくいなど)、「風痰阻絡」(しびれや舌のこわばりなど)、「肝気鬱血」(ストレスによる影響など)等の証を捉え、鍼灸治療を軸とし、あわせて体質改善を目的とした漢方薬を用いて治療していきます。
鍼治療においては、動物の性格や疼痛などの症状により顔面部に鍼を打てない場合は無理をせず、経脈上(体内で気血の流れる道筋)の遠隔部のツボ、例えば合谷(第1、第2中手骨の間)や曲池(肘のひだの外側のへこみ)などを選択します。
また眼球周囲、頬部、口周囲などを適度な力で引き上げるように飼い主さんの出来る範囲内でマッサージを実施してもらうことで、更に治療効果を上げることが可能です。
麻痺時と改善時の比較動画
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