
犬の吠え声
犬の祖先はオオカミ

犬の祖先はオオカミだと言われています。たしかに体型も顔つきも犬とオオカミは似ています。ただひとつ大きく違うのが声です。声の質ではなく、発声の種類に差があるのです。オオカミの鳴き声は、主に三種です。
まずは怒った時などは発する「う~」といううなり声、次に寂しい時や甘えた時に出る「くぅーん」という声。そして、映画や漫画でもおなじみの岩山のてっぺんで月に向かって吠える「ワォーン」という遠吠え。主にはこの三種です。
この中で、「う~」と「くぅーん」はすぐ近くの犬にしか聞こえない声ですが、「ワォーン」という遠吠えは、数キロ先まで聞こえます。10頭から数十頭までの小さな群れをつくり、みなで顔を見渡しながら生きていたオオカミにとってはこの三つの鳴き声で十分でした。
「ワンワン」という吠え声

犬の鳴き声を観察すると、このオオカミの三種の他に「ワンワン」という吠え声があります。祖先であるオオカミが出さない「ワンワン」という声をなぜ発するようになったのでしょうか。どんな進化なのでしょうか。
このミステリーを解く鍵として、遠吠えの欠点が考えられます。遠吠えは、相当遠くまで届く素ばらしい伝達能力ですが、たったひとつの欠点は、動きを止めないとできないということなのです。映画や漫画に出てくる遠吠えをするオオカミも必ず、岩山の上でも、森の中でも、動きを止めて吠えているのです。要するにオオカミは、すぐそばにいる群れとは頻繁に意志を伝達できますが、遠くにいる仲間や家族に、移動しながら伝える能力はなかったのです。そのオオカミが人に近づき、人の暮らすことになり、やがて人と共に猟や牧畜をするようになると、遠くにいる人間に、走りながら伝達する必要が出たのではないかと思われるのです。「獲物がそっちに行ったよ」とか「こっちに追い込むよ」とかと知らせたいのです。
そう考えると、犬に「無駄吠え」はないのです。私たちが迷惑がり、叱ったりする「無駄吠え」ですが、犬から見れば決して無駄にはほえておらず、何かを必死に私たちに伝える必要があると思うのです。もちろん伝えたい内容はひと種類ではなく、「怖いよ」かもしれませんし、「あっちへ行って」かもしれません。もしかしたら反対に「遊びたいよ」かもしれません。
愛犬が激しく吠えだした時、瞬発的に「イケナイ!」と叱るのではなく、何に吠えているのか、何を私たちに伝えたいのかを探ってみるのはどうでしょう。オオカミから犬に進化したとすれば、犬は決して無駄には吠えないのです。必ず何かを私たちに伝えたくて吠えているはずだからです。
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