最近の保護犬事情
いつもは、愛犬との日々の暮らしのために有効な情報や方法を書いていますが、今回だけはちょっと離れて、日本における最近の保護犬情報をお伝えします。愛犬との暮らしには直接、関係はないものの愛犬家であればついつい気になってしまう事柄でもありますので、お読み頂ければ幸いです。
処分はどんどんなくなる方向へ

つい10数年前までは、飼い主のいない犬や不要とされた犬は、日本中の『愛護センター』と呼ばれる施設や『抑留施設』で、殺処分されていました。
遺棄された犬は当然ですが、町中で保護されたり、野山で捕獲された犬も、施設で飼い主さんからの連絡を待つ期間は、1週間から長くて1~2ヶ月でした。飼い主さんが名乗り出なかったり、いなかった場合には、数日間で処分となっていたのでした。
しかし、ここ数年、法律の改正もあり、また多くのメディアが現状を取り上げたこと、著名人をはじめ多くの影響力のある方達のアピール、保護活動を専門に行う数多くの団体の創設により、処分はどんどんなくなる方向へ急激に進んでいます。
ほんの数年前に週刊誌が処分ゼロを達成したと取材・報道して有名になった熊本市の例なども大きな効果を生んだと思われます。現在では、ほとんどの自治体が犬の処分をなくす方向に動いており、ここ数十年の動きを見てもこれほど急激に改善されつつあるのは異例なほどのスピードです。
保護犬から犬を迎えることを、もっと当たり前に

国内の自治体の犬の処分数も数年前の十数万頭から、今は1万5千頭を切るほどになりました。確かに処分は減ったのですが、その犬たちすべてに新しい飼い主さんが決まったというわけでもありません。処分という悲惨な運命は避けられたものの、保護団体のシェルター等で長期間にわたり飼育されている犬たちも多いのです。
ある新聞社の調査では。保護犬に対するイメージとして『健康に問題があるのではないか』『性格的に悪いのではないか』と答えた人が50%近くいたとの答えも出ています。そんなことから里親さんと呼ばれる引き取り手の数が増えない問題もあるようです。
これからはそれらの誤解をとき、犬と暮らしたいと考えた人がペットショップに行って購入する以外に、保護犬の中から探すという手法もごく普通になる時代が来ればと願うばかりです。
ただ保護された犬の処分をなくし、命を助けることだけが目標ではありません。目標はあくまで、それらの犬に新しい飼い主さんが見つかり、それぞれの家庭で優しく、安心できる生活を手にすることが目標です。長い歴史の中では、犬は人間の道具として位置づけられてきた時代もありましたが、今では私たち人間の家族や友として、立派に心を繋ぎ合って生きていける動物となりました。
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