
【獣医師執筆】犬にみかんはあげてもOK!メリットや注意点を詳しく解説
みかんは、犬が食べても問題ない食材です。とはいえ皮は大丈夫?量はどのくらい?など疑問はつきませんよね。そんな疑問について獣医師が詳しく解説します。
目 次
みかんは犬にあげてもOK(ただし外皮や種はNG)

みかんはビタミン豊富で、カリウム や水分も多く含まれる栄養豊かな果物です。食べる量や食べる部位にさえ気を付ければ、犬が食べても問題はありません。
ただし、皮や種には中毒性のある物質が含まれますのでNG。消化の悪い薄皮は取り除いて、果肉だけあげるようにしましょう。
子犬はみかんを食べても大丈夫?
子犬も少々なら食べて問題ないと思いますが、初めて食べるときにはほんの少量にしてアレルギーを起こさないか確認しましょう。また水分や食物繊維が多く含まれていますので嘔吐や下痢を起こす可能性があります。与える量に注意しましょう。
老犬はみかんを食べても大丈夫?
問題はありませんがより注意が必要です。老犬になると消化機能が低下し、普段食べないものを食べると下痢や嘔吐の原因になることがあります。果肉を包んでいる薄皮は消化が悪いので必ず取り除きましょう。また飲み込む力が弱くなっていますので、誤嚥に注意してください。
みかんに含まれている栄養素とメリット
みかんにはどのような栄養素が含まれていて、どのようなメリットがあるのでしょうか?
ビタミン豊富
・ビタミンC
ビタミンCには抗酸化作用があり、アンチエイジング作用や免疫力の向上などが期待できます。また、コラーゲンの生成にも関係しているので、皮膚を健康に保つ効果も期待できるでしょう。
犬はビタミンCを体内で合成できるので、必ず摂取しないといけない栄養素ではありません。しかし、消耗が激しいときは体内で合成していても不足しますので、必要に応じて食事から摂取することをお勧めします。
・ビタミンA
ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保つために必要な栄養素です。また目に必要なビタミンで、不足すると夜盲症を引き起こします。ただし脂溶性ビタミンなので、過剰摂取になると肝臓障害のリスクがあります。
・ビタミンE
ビタミンEには抗酸化作用があり、活性酸素や過酸化物から身体を守る効果があります。さらに血栓の予防、LDL(悪玉)コレステロールの減少、細胞膜を健全に保つ働きも期待できます。
・ヘスペリジン(ビタミンP)
抗酸化作用があり、活性酸素を除去します。血管の老化防止、抗アレルギー作用、肌のコンディションを整える効果があるといわれています。
カリウムの含有量が豊富、食べ過ぎ注意
生の果物には過剰になったナトリウムを排泄する働きがあるカリウムが多く含まれています。良い面もありますが、高齢になると腎臓の働きが衰えてきますので注意が必要です。
カリウムをしっかり排泄できなくなり、体内にたまり気味になることで心不全が起こる場合もあります。
そのほかの成分
・β-クリプトキサンチン
みかんの色のもとになる色素でニンジンに含まれるβ-カロテンの仲間です。必要に応じて体内でビタミンAに変換され、身体の機能維持のために働きます。抗がん作用、肝機能障害や骨粗しょう症などのリスクを低下させる効果があるといわれています。
・クエン酸
みかんには酸味成分のクエン酸が含まれています。クエン酸は疲労物質である乳酸を体内で分解して疲労回復に役立ちます。ほかにも血流促進、ミネラルの吸収を促進する、食欲増進などの効果があるといわれています。
・ペクチン(食物繊維)
食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、ペクチンは水溶性の食物繊維です。胃腸の調子を整える効果が期待できます。ペクチンは薄皮に多く含まれていますが、胃腸の負担となる可能性がありますので、多く摂取しすぎないようになるべく取り除きましょう。
犬に与えてよいみかんの量

1日にどれくらいの量までなら犬にみかんをあげてもよいのでしょうか。おやつの許容範囲は1日の摂取カロリーの10%と言われています。栄養面ではなく1日の摂取カロリーを基本として計算してみましょう。
犬の体重 | 1日に必要なカロリー(kcal) | 食べてもよいみかんのカロリー |
3㎏ | 256kcal | 25.6kcal (1/2個) |
5㎏ | 374kcal | 37.4kcal (3/4個) |
10㎏ | 630kcal | 63kcal (1個) |
15㎏ | 854kcal | 85.4kcal (1.5個) |
20㎏ | 1059kcal | 105.9kcal (2個) |
おやつとして1日に摂取してよいカロリーをもとに計算しました。あくまでも目安としていただき、適宜調節してください。
個人差がありますので、最初はアレルギーや下痢などが起こらないかを確認しながら少量あげてください。体調に異変がなければ少しずつ増量してください。
みかんで注意すること、外皮には気をつけて!
①リモネンによる中毒
みかんの果肉には中毒を引き起こすような物質は含まれないとされていますが、外皮には注意が必要です。みかんの皮をよく見るとあるツブツブ、これは油胞と言い、みかんらしいシトラス系の香り成分や虫よけ作用を持つ「リモネン」という成分が含まれています。この「リモネン」は犬に中毒を引き起こす危険があります。
症状
- 流涎(多量のよだれ)
- 皮膚炎
- 震え
- 低体温
- 運動障害
- 神経症状
犬は猫ほどひどい症状は起こらないとされていますが、油断はできません。皮を舐めたり、食べたりしないように注意しましょう。
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②食物アレルギー
犬がみかんを食べて食物アレルギーを起こすことは稀ですが、ないとはいえません。
症状
- 下痢
- 嘔吐などの消化器症状
- 皮膚の痒み
みかんを食べた後にこのような症状が起こった場合は動物病院を受診しましょう。
犬にみかんをあげるときには少量ずつ、様子を見ながらが大切です。
みかんの加工食品は、犬にあげても大丈夫?

①みかんジュース
みかんジュース200mlには糖分が22g(角砂糖が4.4個分)も含まれています。甘くておいしいからとたくさん飲みすぎると、あっという間に糖分の取りすぎになります。与えない方が良いでしょう。
②ゼリー
みかんのゼリーにも多くの糖分が含まれています。ミニカップは1個約22gです。これに含まれる糖分は、約3gです。これは小さじ1杯分にあたります。小さく見えるミニカップですが、含まれる糖分は多いので与えないようにしましょう。
③みかんの缶詰
砂糖や人工甘味料が含まれるシロップ漬けにしてありますので、お勧めできません。一般的にシロップの糖度は14%ですので、犬にとっては糖分高めです。与えないようにしましょう。
細かな疑問Q&A
子犬にみかんをあげても大丈夫でしょうか?
子犬にあげても大丈夫です。消化が悪く下痢や嘔吐の原因になることがありますので、果肉が包まれている薄皮を剥いてください。初めて食べるときには少量にして、体調に変化が起こらないかよく見てあげてください。
愛犬の腎臓や心臓に持病があるのですが、みかんをあげてもいいでしょうか?
みかんにはカリウムが多く含まれます。腎臓の機能が低下すると尿量が減ってしまい、カリウム排泄が十分できず体内にたまってしまいます。このような状態になると心臓にも負担が起こり心不全や心停止が起こることもあります。適量を守り、たくさんあげすぎないようにしましょう。
グレープフルーツは薬との見合わせが悪いですが、みかんはどうでしょうか?
すべての薬がグレープフルーツと相性が悪いわけではないですが、 薬の中にはグレープフルーツと相性が悪く、薬が分解排泄されず体内にたまり、薬の作用が強くなりすぎるといわれています。
同じ柑橘類ですがみかんには、そのような作用はありません。
犬にみかん以外のオレンジやキンカンなどの柑橘類をあげてもいいでしょうか?
犬にあげても問題はありませんが、初めてあげる場合は少量にしてください。柑橘類は種類も多く、甘みの強いものや酸味の強いものがあります。酸味が強いものは苦手な犬が多いですから、少量でも口から出す場合はやめましょう。
みかんを犬が食べた後吐いてしまったのですが、病院に行くべきでしょうか?
犬が吐いた後にぐったりしていたり、続けて吐く場合はできるだけ早く動物病院へ行ってください。吐いてもそのあと元気であったり、何かを食べても吐かない場合は様子を見てもよいでしょう。
まとめ

みかんはビタミン豊富で身体に良い効果をもたらします。犬にみかんをおやつ程度にあげるのはよいですが、水分が多く下痢の原因になることもあるので注意してください。
初めて食べるときには嘔吐や下痢などを起こす可能性がありますので、少量ずつ与えましょう。また皮にはリモネンという物質が含まれ、中毒の原因になることもあるので犬が皮に触れないように注意しましょう。
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