猫の膿胸(胸の中にうみがたまる)
不調を抱えた猫の症状・原因について
胸の中に膿が溜まる病気
膿胸は、何らかの原因によって細菌が胸膜に感染し、胸腔内に膿が溜まる病気です。胸腔内に膿が溜まることで肺の伸縮を阻害し、それによって呼吸に障害が発生します。
【主な原因】
胸膜が細菌に感染する主な原因は、他の猫との喧嘩や交通事故、高いところからの落下による胸部の外傷です。また、何か鋭く尖ったものを誤って飲み込んでしまった時に食道に穴があいてしまう(食道穿孔)や化膿性の肺炎なども、膿胸の原因となる可能性があります。
また、別の部位が感染症に冒されている際に、その原因となる細菌が血液などを介して胸腔に到達して細菌感染する場合もあります。
【初期症状】
膿胸の初期症状は、発熱や食欲の低下といった目立たない症状です。そのため、飼い主は猫の異常に気づきにくいようです。咳をしたり、脱水症状やチアノーゼが見られることもあります。
症状の進行、つまり胸腔内の膿の量が増えてくると、次第に息が荒くなり、重度になれば呼吸困難に陥ります。また、痛みを伴うので、飼い主に胸を触られることを嫌がります。さらに、同様の理由で胸部を圧迫しないように横向きに寝なくなります。
また、胸腔内に溜まっているのが膿ではなく、血液や乳びの場合もあり、それぞれ「血胸」「乳び胸」という名称で呼ばれ、これらを総称して「胸水」といいます。それぞれ原因となっている液体により細かな症状は異なりますが、共通して、呼吸の異常や胸の痛みなどの症状が見られます。
猫のためにあなたができること
可能な限り早期の発見を
膿胸単体でも呼吸困難などの危険な症状が現れる可能性もありますが、原因となっている細菌が別の場所にまで広がり、複数の病気を患うこともあるので、猫が胸を痛がっているように感じたら速やかに動物病院へ連れていきましょう。
治療においては、針で胸腔内に穴を開けてそこから膿を吸引したり、呼吸に異常があれば酸素吸入等で呼吸を整えてからチューブで胸腔内の膿を排出、同時に胸腔内の洗浄も行います。また、膿胸の原因となっている細菌に対する抗生物質を投与し、脱水症状などの症状が現れていればその治療も行います。
肺炎や気管支炎を患っている場合は、早期に治療しないと症状が長引いてしまう可能性があります。発熱などの初期症状をなるべく見逃さず、胸に痛みを感じていないかを注意深く観察しましょう。
猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!
- 元気がない
- 発熱
- 食欲の低下
- 咳をする
- 脱水症状
- チアノーゼ
- 息が荒い
- 呼吸困難
かかりやすい猫の種類
- 完全室内飼いではない猫(事故を起こしやすいため)
- 血の気の多い猫(他の猫と喧嘩するため)
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