【獣医師執筆】猫が一緒に寝るのはなぜ?位置で気持ちは違う? 効果や注意点などを詳しく解説

【獣医師執筆】猫が一緒に寝るのはなぜ?位置で気持ちは違う? 効果や注意点などを詳しく解説

2023/3/8

愛猫が寝るときに寄り添って寝てくれたら…。なんだか慕われているようで嬉しいですよね。
猫は犬よりも単独行動が好きな動物なので、抱っこが苦手だったり、飼い主の思い通りには甘えてくれないものです。
そんな猫が一緒に寝るとき、どんなことを感じているのか、効果や注意点を詳しく解説します。

獣医師
【執筆医】やみぃ
獣医師

猫が一緒に寝るのはなぜ?

The gray British cat sleeps on the girl in the bed. Fluffy four-legged friend is resting. Cat lying on young girl

有名ペット雑誌の調査によると、愛猫と一緒に寝る飼い主は、約7割とのアンケート結果も!割とオーソドックスであることが分かりますね。ですが一緒に寝る時、愛猫は何を考えているのでしょうか。

1)信頼し、安心できるから

猫は警戒心が強く、リラックスする姿勢をなかなか見せません。なかでも「寝る」行為は、特に無防備になるため、安心できる場所でしか行いません。
そんな猫が一緒に寝るなら、飼い主さんのそばが安心できるのでしょう。とても信頼していると考えてよいでしょう。

2)温かいから

猫は温かい場所が大好きです。家の中でもすぐに温かい場所を見つけて、落ち着いている姿を良く見かけると思います。

そんな猫は、寝具の中や、飼い主さんの近くが温かいことを知っているのです。

3)甘えたいから

猫が飼い主にすり寄ってきて、体をこすりつけるのは愛情のサインです。なでてもらいたかったりと、甘えている場合も、飼い主さんのそばに寄ってきます。

4)守りたいから

自分のテリトリーにいる大好きな飼い主さんを守りたくて、近くに寄って眠ります。他の猫が寄って来ないか、また飼い主さんがどこかに行かないか、見張っているのです。

5)寝具が好きだから

ベッドや布団などの寝具自体が好きで、そこで寝たい場合もあります。飼い主さんのいるいないに関わらず、そこで寝てしまいます。

   

<参照>

「猫的感覚 動物行動学が教えるネコの心理」 著ジョン・ブラッドショー(早川書房)

猫と一緒に寝てもいいの?

青ふわふわに包まれている猫

猫と寝ることは、人間に嬉しい効果があるとも言われています。ただし注意は必要です。ここでは効果と注意点を解説します。

猫と一緒に寝る効果

1)人がリラックスできる、幸福感が高まる
寝る前や寝ている最中に自然と愛猫とふれあうことが、人にリラックス効果をもたらします。
例え、睡眠を邪魔されても、幸福感が生まれるという研究結果もあります。

   

2)猫との親密度があがる
夜一緒に寝た人に対して、愛猫が愛情表現を示す頻度があがる、という研究結果もあります。また、寝具に対しても愛着が沸き、昼間も使いたがる傾向が出てきます。

   

3)温かく眠れる
猫の体温は人よりも高いため、寄り添って寝るととても温かいです。一緒に寝ると温かく眠ることができます。

   

4)睡眠の質があがる
11~17歳の子供を対象とした研究で、質の良い睡眠が得られた、という研究結果もあります。
特に子供は、ペットと一緒に寝ることで、安心して眠ることができるようです。

   

<参照>

「猫と共に探求する新たな睡眠価値の創出」中橋侑里、ソンヨンア(情報処理学会インタラクション2022)

The curious incident of the dog in the nighttime: The effects of pet-human co-sleeping and bedsharing on sleep dimensions of children and adolescents

猫と一緒に寝る際の注意点

1)睡眠不足に気をつけて
猫は飼い主が寝ている最中でも、お構いなしに毛づくろいなどのスキンシップを図ることがあります。また自分の要求を伝えようと、起こしてくることもあるかもしれません。さらには「猫をつぶさないように」など気をつかうと眠りが浅くなってしまいます。
そのような日々が続いてしまうと、心は満たされていても、睡眠不足になってしまうかもしれません。

   

2)ベッドシーツの洗濯はこまめに
猫の毛や粗相でベッドシーツが汚れてしまいます。特に羽毛布団は、猫が粗相しやすいと言われていますので、やめたほうがいいでしょう。
また、外に行く猫の場合、外からの汚れも付着してしまいます。不衛生になりやすいため、洗濯はこまめにしましょう。

   

3)感染症対策は万全に
ノミダニや細菌、真菌が猫に付着していた場合、一緒に寝ると飼い主さんや寝具にまで広がってしまうことがあります。室内は暖かいため、年中ノミダニ感染の危険があります。ノミダニ予防は一年を通して行いましょう。

また、猫に目立った症状がなくても皮膚糸状菌に感染していて、一緒に寝た飼い主さんやその家族にもひろがってしまった例があります。
感染症のリスクは常に念頭においておきましょう。

   

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4)猫を押し潰す、蹴ってしまうなどのアクシデントに注意
飼い主さんの寝がえりにより、猫を押しつぶしてしまったり、ベッドから落としてしまう危険性があります。
実際、一緒に寝ていた約3割の飼い主さんがアクシデントを経験しています。おきないだろうという油断は禁物です。

   

5)電源コードに注意
睡眠中に携帯電話の充電をする飼い主さんも多いかと思いますが、猫が気になって噛んでしまい、漏電や感電をする危険性があります。

   
6)猫の爪のお手入れはこまめに
猫の爪が伸びていると、飼い主さんが怪我をしたり、寝具に引っかかってしまうことがあります。猫の爪は短く切っておきましょう。

一緒に寝るときの位置と猫の心理

sleeping fluffy ginger Siberian cat lying on bed lying and relaxing, concept lovely pets

猫が一緒に寝るとき、飼い主さんとの位置関係や行動で猫の心理が推測できます。ここではいくつかの例をあげて解説します。

枕元、顔付近

猫が顔の近くで寝るのは、甘えたい気分のときです。人間に腕枕をしてもらいたがる甘えんぼの猫もいるそう。警戒せずに顔の近くで寝ている猫は、飼い主さんを信頼しとても安心しているのです。

足元

猫が足元で寝るのは、ほどよい距離感でそばにいたい気分のときです。自立していて、気分によっては他の場所にいける距離感を保ちたいようです。

布団の中

猫が布団の中に潜り込んでくるのは、寒がりや甘えたい気分のときです。人がいるのに関わらず潜り込んでくるのは、信頼しているからです。

布団の上

布団の上は、暖かくて柔らかいところだと知っているのでしょう。猫があえて飼い主さんの上で寝るのは、そこが安心で暖かいと感じているからです。

布団の外や離れた場所

布団から離れた場所で寝るのは、ツンデレタイプの猫が多いようです。甘えるのが苦手だったり、控えめな性格の場合もあります。

一緒に寝ながら、猫がゴロゴロ言っている時

猫がゴロゴロと喉を鳴らすのは、人を落ち着かせる効果があることを知っているからです。
また、科学的にはきちんと証明されていませんが、相手に「じっとしてくれ」と頼んでいるときも、ゴロゴロと喉を鳴らすようです。ご飯が欲しいなどの要求を伝える方法として、喉を鳴らす猫もいます。

日中、猫が近くで寝るのも同じ気持ち?

寝るという行動は、猫にとって無防備になる時間です。その時間をあえて飼い主さんの近くで過ごすのは、安心・信頼している証拠でしょう。

猫が一緒に寝たいと思う人の特徴

ぼーっとした眠そうな目でこちらを見ている猫
ポイント

信頼できる

寝ている間は無防備になるため、信頼している人としか寝てくれません。

匂いが好き

猫は嗅覚が鋭いため、柔軟剤や香水の匂いなどを嫌う傾向が強いです。 嫌な匂いがあまりせず、大好きな匂いがすれば、居心地がよいと感じるでしょう。

Q&A

いつから猫と一緒に寝ても大丈夫?子猫だと危険?

体の小さな子猫や、体力の落ちた老猫とは一緒に寝ない方がいいでしょう。寝ている人の寝相で怪我をしたり、寝具でつぶされてしまうことがあります。子猫と一緒に寝るなら、成猫と同じサイズになってからをおすすめします。
また、お迎えしたばかりの子猫や成猫はどんな病気を持っているかわかりません。しっかりノミダニ予防や健康診断をして、病気がないことを確認してからにしましょう。

飼い主もしくは愛猫の体調が悪い時は、一緒に寝ない方がいい?

飼い主から愛猫、愛猫から飼い主にうつる病気もありますので、一緒に寝ない方がいいでしょう。
また猫の場合、具合が悪いときは、暗く狭いところでじっとしていることが多いです。

365日いつも一緒に寝てもいいの?

どちらかが体調不良の際は、一緒に寝ない方がいいでしょう。
また、猫の気分によっては一緒に寝たがらないこともありますので、決して無理強いはしないようにしましょう。

0~5歳の子供と猫が一緒に寝ても大丈夫?

子供は動物を友達と認識しているため、一緒に寝ることで安心して、質の良い睡眠が得られるという研究結果もあります。ただし、この研究は11‐17歳の子供を対象としたものですので、さらに幼い子供の場合はどのような効果があるかわかっていません。
  
また幼い子供の場合、起きていても猫への力加減がわからないことが多いですから、寝ている時はさらに危険が伴います。
寝ている時に寝がえりでつぶしてしまったり、逆に猫につぶされてしまったり、お互い怪我をする可能性があります。また猫には症状がなくても、感染症を持っていて子供にうつる可能性があります。
一緒に寝ない方がいいでしょう。

いつも一緒に寝てくれていたのに、ある日から寝てくれなくなりました。嫌われた?具合が悪いのでしょうか?

猫の具合が悪かったり、寝具を変えたり、匂いが変わったりすると一緒に寝てくれなくなります。
猫は繊細なことが多いため、少しの変化でも違和感を感じ、避けるようになってしまいます。

まとめ

Adorable pug and cute cat lying together on plaid

今回は、猫が一緒に寝るのはなぜなのかを解説しました。大好きな人と一緒に寝るのは、猫にとっても安心できるものなのですね。愛猫が一緒に寝たがるのは、飼い主さんにとっても嬉しいものです。
愛猫と一緒に寝る際は、感染症や事故にくれぐれも注意して、素敵な時間を過ごしてくださいね。

獣医師
【執筆医】やみぃ

産休、出産を経て、現在は育児をしながら勤務獣医師をしています。学生時代は寄生虫の研究をしたり、野生動物関係のボランティアをしていました。

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