僧帽弁閉鎖不全症と東洋医学【獣医師解説】
“僧帽弁閉鎖不全症”とは、心臓内の器官が変形し血液の一部が逆流する心臓疾患のこと。元気がなくなり、咳などの症状がみられることもあります。
「いのちのために。」8回目は、僧帽弁閉鎖不全症と東洋医学について、とよなが動物病院の豊永 眞弥先生にご執筆いただきました。
動物の僧帽弁閉鎖不全症とは
小型犬の飼育数増加や、犬の超高齢化が進んだことにより最も多くみられる心臓疾患の一つです。
僧帽弁が変性し血液の一部が逆流するため、心臓から送り出される血液量が減少すると共に、心臓や肺で血流が滞ります。
逆流量が多くなると心雑音が聴取され、元気がない、散歩に行きたがらなくなり寝ている時間が増える、四肢無力、咳が夜間や興奮時、飲水時に出やすくなり呼吸が速くなります。重症化すると肺水腫や腹水が発生し、重度の呼吸障害を引き起こします。
西洋医学的には、強心、利尿、血管拡張薬等が治療の柱となります。
東洋医学でできること
東洋医学的には、気血の不和によって起こる「気虚」の現れと、「気滞血瘀」(ストレスを抱えイライラして血行障害を起こす状態)を関連づけて考えます。
特に重症化してしまう前の初期~中期において、西洋薬を服用していても夜間や興奮時の咳や倦怠感などの症状をコントロールしにくい場合に、東洋医学の併用はおすすめで、体内に流通する気・血・水(津液)の疎通あるいは補充を行う漢方薬の使用や、鍼灸治療で咳を鎮める処置を行うことが有効です。
またこの疾患は慢性化しやすいため、長期の投薬とともに、定期的に西洋医学的検査をして状態を把握していくことが大切です。
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