
犬にとってのトリミングとは?サロンと自宅の違い、料金や頻度の目安
ワンちゃんを迎えたら必ず耳にする「トリミング」。この記事では、トリマー歴25年以上、TOP DOGS開業20年以上と、長年多くのワンちゃんをケアし支持されてきたベテラントリマーの吉田さんが教えてくれた、飼い主さんの知らないトリミングの役割や注意点について解説します。
目 次
犬にとってのトリミングとは?

キレイに整えること
臭いが出てきたり被毛が伸びたりしてきた際に、ブラッシング、シャンプーリンス、ドライヤー、カットで整えてあげ、さらに肛門腺の余分な分泌物と耳の汚れを取り除き、足裏の伸びた毛や爪を切って快適な生活がおくれるようにすることです。耳毛を抜くのか切るのか、爪は切るのか削るのかなど、細かなお手入れ方法の正解はワンちゃんにより様々です。
愛犬の変化をしっかり確認してあげること
上記に加え愛犬のためにとても大切なことがあります。それはキレイにする過程で、愛犬の変化をしっかり確認してあげることです。プロの現場では、ブラッシングしながら皮膚の色や傷、全身を洗う過程でダニやしこりなどの有無を確認、さらに耳の中が赤くないか口臭が強すぎないかなど細かなチェックをして、少しでも気になることがあれば飼い主さんにお伝えしています。自宅ケアの際も確認をしてください。
つまりトリミングとは「キレイに整えること」「愛犬の変化をしっかり確認してあげること」の両面で愛犬を守ることです。
愛犬はシャンプーだけでいい? カットは必要?

犬種問わずシャンプーは必須、カットはその子に合わせて
犬種によってはシャンプーだけでいいのか?カットが必要なのか?迷うこともあるでしょう。
端的にいうと、 全ての犬種にシャンプーと肛門腺絞り、爪切り、耳掃除などの基本的なお手入れは必要です。
カットに関しては、以下のカットが必要とされる代表的な犬種は行うことが一般的です。それ以外の犬種でも、目にかかってしまう毛を切る、尻尾部分を整えるなど、健康や生活しやすさを考えて全身や部分カットをされる方も多いです。
犬種によるカットの正解はなく、 その子に合わせたカットこそがベスト。 飼い主さんがワンちゃんのカットに迷うのであればトリマーさんに相談しましょう。
カットが必要とされる 代表的な犬種
• プードル
• コッカー・スパニエル
• スコティッシュ・テリア
• ミニチュア・シュナウザー
• ベトリントン・テリア
• ビション・フリーゼ
• ワイヤーヘアード・フォックス・テリア
(参考/ jkc「トリマーについて」)
上記に加え、 家庭犬として飼育する際は カットされる方が多い犬種
• シー・ズー
• マルチーズ
• ヨークシャー・テリア など
抜け毛の多い犬種は「被毛の入れ替え」サポートを
抜け毛の多い犬種は、皮膚を保護するための上毛と保温・保湿のための下毛の両方を持っていることが特徴。被毛の長さは様々ですが、共通するのは「被毛の入れ替え」です。室内犬の場合は、冷暖房の関係で被毛の生え変わるリズムが崩れて毛量が減っていることも。
不要な毛をしっかり取り除いてあげることで、気温の変化に合わせた冬毛や夏毛への移り変わりをサポートしてあげましょう。
主な抜け毛の多い犬種
• チワワ
• ポメラニアン
• ゴールデン・レトリバー
• ダックスフンド
• 柴犬
• シェパード
• ピレニーズ
• ニューファンドランド など
自宅お手入れの注意点

シャンプー
シャンプーは細かなやり方の差異はあれ、そこまで難しくはありません。下記のポイントに気をつけながら、優しく洗ってあげましょう。

- ワンちゃん用の道具を準備
- 洗う前にコーム※1、スリッカー※2で被毛をほぐす
- 水温は38℃~39℃以下で、口呼吸が増えていないかなど様子を見ながら調節
- 1回目のシャンプーで被毛を洗い、2回目で皮膚を洗う (洗い方はワンちゃんの汚れや皮脂の状態にもよるので、担当のトリマーさんに一度アドバイスをもらうことをおすすめします)
- リンスで被毛ケア(被毛をふわっとさせたい場合はすぐに、しっとりさせたい場合は1~2分おいてから流しましょう)
- シャンプーやリンスが目に入らないように注意。仕上げに必ず水で流し、掻いたりしないか観察を (基本的にはシャンプーが目を傷めることはなく、違和感で目を擦ってしまい異常が起こることがほとんど。すすいだ後にしっかり観察までしましょう)
- 流す際は耳を抑えて、音が響かないように配慮を (多くのワンちゃんが苦手なのは、シャワーのザーという大きな音が耳の近くで鳴ること。立ち耳の子もしっかりおさえてあげ、音を軽減してあげましょう)
※1 コーム:目の詰まった細かいピンが一直線に並んだ櫛のこと。人間用の櫛と見た目は似ていますが、ワンちゃん用はピン先が丸く、目に刺さらないように持ち手の部分がないなど工夫がされています。
※2 スリッカー:コームよりも細かく、先が「くの字」に曲がったピンがついたT字型のブラシ。
この他、もし暴れてしまう時はタオル掛けや水道の蛇口にリードをつけて行うなど、ご自宅でできる範囲で工夫をして行いましょう。
ブロー
乾かすだけなのですが、1番の難関。 多くの飼い主さんができていないのがブローです。
×NG タオルで拭いて、 表面だけドライヤーで乾かす
上記は絶対にNGです。特に抜け毛の多い犬種の場合は、上毛だけ乾き下毛は生乾き状態に。不快な臭いや毛玉を人工的に作ってしまうことになります。しかも上毛に隠れて気づかずに長期間たち、ドレッドのような束になり皮膚が鬱血してしまっているケースも多々。それを防止するために下記に注意してください。

- タオルでしっかり水分を吸いとる
- 被毛の根元にスリッカーやコームを入れて、皮膚に近い根元からドライヤーで乾かす(毛がまとまったままではNG。根元からバラすように1本1本乾かすことが大切です。 ただし、足先などの骨が出っぱっている部分は注意。赤くなってしまいやすいので、力を入れず優しく行いましょう)
- 長時間温風を当て続けず、ワンちゃんの様子を見ながら実施
ポイントは「根元から乾かすこと」。上毛と下毛をもつ抜け毛の多い犬種の場合は、かなりの技術が必要です。表面だけ見たらキレイでも、皮膚は真っ赤というケースは少なくありませんので、できればトリミングサロンに任せることをおすすめします。
トリミングで良く聞く毛玉とは

毛玉と聞くと、冬用セーターの裾につくような小さくて丸い玉をイメージされるかもしれません。確かに脇の下などよく動かす箇所にはそのような小さな毛玉がありますが、トリミングを実施する上での毛玉とは、皮膚に近い根元部分にあるフェルト状の塊 です。
ほぐすためには、刃先がナイフのようになった専用器具を毛玉部分に刺して割くようにする必要があります。ほぐす際に皮膚をどうしても引っ張ってしまうため大きな負担がかかり、ワンちゃんが悲痛な鳴き方をすることも。負担を考え、丸刈りを選択せざるをえなくなることもあります。 毛玉は愛犬にとっても、飼い主さんにとっても、トリマーさんにとってもよくないもの。毛玉を作らないお手入れがとても大切です。
トリミングの適切な頻度と気になる料金

シャンプーだけのワンちゃん
シャンプーをしすぎると皮膚の脂がなくなり乾燥肌になる可能性が高いため、短いペースで洗う場合、2週間に1回が目安です。長めのペースで洗う場合、2ヶ月に1回はワンちゃんを洗ってあげましょう。
2ヶ月といっても臭いや肛門腺、爪などの問題もあるので状態を見てあげてください。 皮膚治療などの兼ね合いでこまめにシャンプーをする場合は、かかりつけ獣医師さんの判断を聞き適宜行いましょう。
カットもするワンちゃん
2週間~1ヶ月でシャンプー、あわせて目の周りなどの気になる被毛を整えてあげて、その1ヶ月後にシャンプーと全身カットをするのがおすすめです。
シャンプーは毎月、全身カットは2ヵ月ごとに行うことで、快適でかわいいスタイルを維持できます。
吉田さんが代表を務めるTOPDOGSにいらっしゃる方の平均は「年間で8回」ほど。全ての方が毎回カットをするわけではなく、シャンプーだけのお手入れも挟みつつ通われています。
値段は犬種によりますがシャンプーが平均5,000円、シャンプー&カットで6,000円~9,000円ほど。体格と犬種により差が出ますので目安として考えてください。
トリミングサロンに行く理由

飼い主さんとトリマーさんの双方で 愛犬の健康を守る
洗って乾かして、細かな部分を整えてあげることは、技術を学べば誰にでもできます。極端に言ってしまえば、毎日ご自身の髪を洗い乾かしていると思いますのでそれと同じこと。 ただそこにプロの技術、知識、目線が加わることで大きく変わることがあります。

小さな異変に気付いてもらえる
経験や知識を積んだトリマーさんだからこそ、飼い主さんが気づかない点に、シャンプー前のブラッシングやお手入れで気づき、病気の予兆などを早めに見つけて伝えることができます。 例えば皮膚が赤くなっているから皮膚病かもしれない、耳が赤ければ耳の病気かもしれない、といった情報まで伝え、早期発見・対応の一助になるケースも多いです。
その時の愛犬にあったお手入れをしてもらえる
皮膚や被毛に合わせたシャンプーや洗う回数の調整などはもちろん、抜け毛が多い犬種の被毛入れ替え補助(コーミング)といった専門のお手入れもあります。また役割があり、切らない方がいい被毛への配慮とアドバイスといった細かな点も魅力です。
普段のお手入れなどへのアドバイスがもらえる
例えばフードが合わないと、脂が出過ぎたり逆に少なくなり乾燥したりすることも。そのような変化をプロの目線で確認し「フードを変える」「余分な脂を防ぐためにまずフードを洗う」「乾燥を防ぐために油分を足す」「シャンプーやリンスを変える(ティアレスシャンプーといった低刺激なもの)」などの細かなアドバイスをしてくれます。 皮膚や被毛の状態からみた、フードや普段のお手入れに関するアドバイスも心強い点でしょう。
子犬の社会化にも
サロンでのお手入れを通して、子犬のうちから飼い主さん以外の第三者と触れることは、シャンプー、カットに慣れるなどの社会性を育てることにもつながります。
上記のような自宅ケアだけでは比べるものがなくて分からない、飼い主さんだけの目線では気づけない点に気付いてアドバイスしてもらえることこそが、トリマーさんにトリミングをお願いする大きな利点です。
主にご自宅でお手入れをされる方も、年に数回はサロンに連れていき「シャンプーがあっている か、お手入れができているか」などを確認してもらう、といった活用もおすすめです。
TOPDOGS本店(東京都世田谷区深沢1-1-1)/TOPDOGS田園調布店(東京都世田谷区東玉川2-14-8)/来夢TOPDOGS 山梨店(山梨県山梨市下石森1000-3)

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