猫のトリミング(美容)とは?うちの愛猫には必要?料金や頻度の目安
ネコちゃんは毛繕いもするし爪研ぎも自分できる、だからこそワンちゃんのようなトリミングは不要と思い込んでいませんか?気になるネコちゃんのトリミング(美容)について、キャットグルーマー協会の代表理事であり、講習やYouTubeでのお手入れ動画も大人気の土屋みほ子先生に詳しく伺いました。
※トリミング(美容)という表記について
インタビュー中、専門家の土屋先生は「猫の美容」という表現が適切とのことでしたが、本記事内ではトリミング(美容)という表記をさせていただいております。
目 次
猫にトリミング(美容)は必要?
快適にすごすには、トリミング(美容)は必要
トリミングとは、カットをメインとしたシャンプーや爪切りなどのお手入れのこと。キレイ好きなイメージのあるネコちゃんは、毛繕いもするし肛門線も自分で舐めとることができるため臭いがすることも少なく、特別なケアは不要と思われています。ですが、快適に過ごすという意味ではセルフケアだけでは不十分なことがほとんどです。
ネコちゃんを一日観察してみると、毛繕いをするタイミングはご飯を食べた直後や気持ちを落ち着かせたい時など、リラグゼーション的なタイミングが多く、汚れや皮脂が出たときに熱心にお手入れをしているというわけではありません。また舌のギザギザは本来、骨から肉を削ぎ取るなどの食事の役割を持つものでブラシ代わりではないため、表面の毛を撫でるだけで皮膚までは舐められていないのです。
そのため、室内で暮らすネコちゃんには足りていない部分を人間の手でケアしてあげることが必要です。
病気と思っていたけど、ただのお手入れ不足というケースも
ネコちゃんの顎が真っ黒になりびっくりして動物病院へ。処方された軟膏などで炎症を引かせたもののしばらくするとまた…。こんな経験がある方もいらっしゃるはず。顎ニキビだった場合、過剰な皮脂分泌が原因のため、軟膏は根本解決にならないことがあり、顎ニキビが繰り返してしまうことがあります。
この場合は保湿もできるクレンジングクリームを使って洗浄し、皮脂の分泌を抑制してあげることが大切です。
必要なケアの目安
とはいえ全てのネコちゃんにシャンプーやカットまで必要というわけではありません。どこまでのお手入れが必要かは、ネコちゃんの特徴や飼い主さんの感じ方により変わりますので、下記を参考にしてみてください。
▼爪切り、ブラッシングなどの基本的なケアのみでOKな子
- 短毛(短毛のシングルコートの場合は、シャンプーはそう必要ない子が多いです)
- シングルコート※1
- 抜け毛が少ない
- 皮脂が少ない
- 飼い主さんが生活するにあたって問題ないと感じている
※1シングルコートとは
被毛の種類のひとつ。皮膚を保護するための上毛もしくは保温・保湿のための下毛のどちらかしか生えない子たちをさします。
例えば
・シンガプーラ ・ベンガル ・シャム など
シングルコートでもシャンプーが必要な例
・ブリティッシュショートヘア…非常に密なコートなのでシャンプーが必要
・メインクーン…シャギーなコートは胸〜腹部がとても長いのでシャンプーが必要 など
ネコちゃんの被毛は伸び続けることはなく一定の長さを保ちながら、抜けたり生え変わったりを繰り返しています。ですので、毎日しっかりブラッシングして定期的にシャンプーしていれば、カットはしなくても大丈夫。ただできれば、脇や内腿(うちもも)など毛玉になりやすい部分や、フローリングで滑りやすい肉球の間、汚れやすい肛門周りなどをカットしてあげることで、普段のお手入れもしやすく、皮膚への負荷も少なくできます。
季節によっては、カットしたら寒くないか気になるかもしれませんが、ネコちゃんはワンちゃんと違い部屋の中で暖かく居心地の良い場所に上下にも移動できますし、基本的に人間が室内で上着なしでいられる温度であれば問題ありません。
自宅でするべき猫のお手入れ
最低限、ブラッシングと爪切りを
快適な日々のために、できるだけ下記のお手入れをご自宅でやってあげましょう。
①毎日のブラッシング
短毛で抜け毛の多い子、長毛の子は毎日やってあげましょう。顎下や脇などの毛玉になりやすい箇所は入念に。シャンプーしないと、長毛の子だと2〜3日ブラッシングしないだけで毛玉ができてしまうことがあります。
またエキゾチックなどのお鼻の短いネコちゃんは、毎日お顔を拭く習慣もつけてあげましょう。
②2〜3週間ごとに爪切り
爪は伸びすぎると収納できなくなり、はみ出すとフローリングなどに当たった際に音がします。それがネコちゃんによってはストレスに。また切らずにいると肉球に刺さったり、爪と一緒に伸びてしまった血管と神経も切らなければいけなくなり、痛い思いをさせて大きなトラウマを植え付けてしまうことも…。爪はこまめにお手入れしてあげましょう。
③1〜4ヶ月ごとにシャンプー
ポイントは「怖がらせない、痛くない、スピーディー」であることです。例えば、汚れや皮脂が強く2回シャンプーをしなくてはいけない場合は、1回目と2回目の中間のすすぎは泡を落とす程度など、時短を心がけましょう。
音の反響に注意
一般的なご自宅のお風呂場は音が反響しやすいです。ちょっとした音でびっくりして暴れてしまうこともあるので、シャワーやカランのお湯を勢いよく出さない、棚から物が落ちてこないようにするなど音を立てないように行いましょう。
シャンプーが入ったお湯にしっかり浸けて洗う
ネコちゃんの皮脂はとても厄介。特にダブルコートで長毛の子などは、シャワーをかけるだけでは水が皮膚まで行かずに十分お肌まで洗えないことも。気づかずに表面だけ洗って、根元は皮脂でギトギトなままですと乾きにくくなり皮膚トラブルに繋がることもあります。 まずたらいなどにシャンプーを入れたお湯をはり、ネコちゃんを入れ優しく体にかけてあげ、皮膚までお湯が行き渡るようにしましょう。
ドライヤーは強風にせず固定で(本体を振ったら×)
ネコちゃんはドライヤーの大きな音と、本体を振ることにより動く風がとても苦手。ですので、ドライヤーを固定し、ネコちゃんを膝に乗せて動かすかそっとドライヤーの角度を変えて乾かすようにしましょう。
実はお手入れ不足かも?!今すぐチェック
【隠れ毛玉】
表面を見ただけでは分かりにくい毛玉。ネコちゃんの全身に触れ、手触りで確認しましょう。
問題のない被毛は、サラサラですぐにネコちゃんの皮膚に触れます。骨やお肉の触感がわかる場合はお手入れができている証拠です。反対にできていない箇所は、フワフワであったとしても少しゴワついており、皮膚に触れにくいもしくは触れない状態になっています。
そのような箇所は、毛玉になっているか毛玉になりかけている箇所なので、手で毛玉部分を優しく割いて、ブラッシングしてあげましょう。
もし石のように硬い毛玉になってしまっていたら、ハサミなどで切り取ろうとするのは大変危険ですので、プロに任せることをおすすめします。
【しっぽの黒ずみ】
過剰に皮脂が分泌されることによりしっぽが黒ずんだり、フケやベタつきが出ることも。スタッドテイルと呼ばれる猫の肌トラブルの一種で、放っておくと炎症に繋がることも。
これも表面では全くわからないので、毛をかき分けて肌の部分まで確認してあげてください。
下記の写真は全て同じネコちゃんのものです。限られた一部分だけ汚れていることもありますので、細やかにみてあげることも大切です。
▼かき分ける前のしっぽ
▼黒ずみのあるしっぽ
▼健康的な青白い肌
【異常に掻いている】
ひどい時は血が出るまで掻くことも。そこまでじゃなくとも、耳や顎など同じところを執拗に掻いているなど異変を感じた場合は、その箇所を再確認しお手入れを見直すようにしましょう。
トリミング(美容)の適切な頻度と費用
シャンプー、カットは2〜3ヶ月に1回
お手入れの大事さはわかったけど、自分では難しい…、そんな時はプロに頼りましょう。トリミングサロンでは耳掃除、爪切り、毛玉取り、シャンプー、ブローなど必要なお手入れをしてくれます。基本的には自宅でのお手入れ頻度と変わらず2〜3ヶ月に1回を目安に、ネコちゃんに合わせてグルーマーさんと相談しましょう。
シャンプー、カットの費用について
ネコちゃんのトリミング費用は、専門性の高さもありワンちゃんと比較して高めなことが多いです。群れで生活し、比較的人の言うことを聞きやすいワンちゃんに対して、ネコちゃんは元来単独動物のため、飼い主さん以外の言うことをなかなか聞いてくれません。もし暴れてしまう場合は、鎮静剤を使用しない代わりに2名体制で行うことも。また猫専門サロンや慣れたスタッフさんは、ネコちゃんの苦手な部分(お湯が苦手、音が特に嫌い、臭いに敏感など)をなるべく早い段階で察知して、怖がらせない工夫をしてくれることもあります。
参考として、猫専門サロンはシャンプーは11,000円〜、シャンプー&カットは17,000円〜です。年に3〜4回程ですので、そこまで大きな負担にはならないと思います。
トリミングサロンの選び方
まずはサロンさんに確認
WEBサイトなどに「猫対応」と記載がない場合は、直接サロンさんに確認してみましょう。その上で対応していた場合は、抜け毛やもつれといった悩み、ネコちゃんの性格などを伝え予約をとって、一度連れて行くことをおすすめしています。ただし連れて行った際に「キャリーを開けるまでもなく怒る」など危険を感じた場合は、無理はせず施術をやめ、別日に再度伺うようにしましょう。
ネコちゃんに詳しいサロンさんの場合は「他のネコちゃんやワンちゃんの臭いが苦手だった」など原因を考え、次はその日の1番に予約を取ってくれるなどの工夫をしてくれることも。何も気づかずに「このネコちゃんは気性が荒いので受けられません」と言われてしまった場合は、別のサロンを探しましょう。根気よく連れて行くことがやはり大切です。
快適にもっと長生きへ
快適の常識を少しずつ変えよう
従来の猫のトリミングといえば
「毛玉や汚れでやむにやまれなくなったネコちゃんを、動物病院で麻酔をかけて、丸刈りのライオンカット(お顔、尻尾、足先だけ残した丸刈りスタイル)にする」
というイメージだったかもしれません。でもこれは昔の話で、猫の飼育頭数が増え純血種も増えてきた現代では、ワンちゃんと同じようにトリミングができるサロンも増えています。
ネコちゃんはセルフグルーミングしますが、それはあくまで最低限です。
フローリングで滑り関節を傷めていたかもしれない…。毛玉で肌が引き攣れて痛い思いをしていたかもしれない…。体内に取り込む毛の量が多く、苦しい思いをして何度も吐いていたかもしれない…。
そんな思いをさせないためにも、お手入れをしてあげることで体への負担を減らし、愛猫の健康寿命を伸ばしましょう。
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