【獣医師執筆】猫は蕎麦(そば)を食べてもOK。量やアレルギーなどの注意点、栄養素を詳しく解説

【獣医師執筆】猫は蕎麦(そば)を食べてもOK。量やアレルギーなどの注意点、栄養素を詳しく解説

2022/11/16

蕎麦は猫が食べても問題ない食材ですが、基本的に猫は肉食動物なので与え過ぎには注意が必要です。蕎麦を食べる機会が増える年末にかけて、安全に猫と食事を楽しめるように、蕎麦の適切な与え方や注意点などを獣医師が詳しく解説します。

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猫に蕎麦は与えてもOK!適量は?

Cute cat sitting in cardboard box

猫に与えても良い量の目安は、小さじ1杯から大さじ1杯程度

猫は肉食動物であるため、穀物類の消化は得意としていません。猫に蕎麦を与える際は、小さじ1杯から大さじ1杯程度の少量にしましょう。

蕎麦に含まれる栄養素

猫と関連性の高い栄養素である、植物性タンパク質、ビタミンB1、食物繊維について説明します。

   

・ビタミンB1

ビタミンB1はエネルギーを生み出すために重要な栄養素です。猫は他の動物よりもビタミンB1の要求量が多いため不足しやすく、もし不足すると、神経症状を起こす可能性があるため注意が必要。

蕎麦にはこのビタミンB1が多く含まれており、猫にとって重要な栄養素です。

   

・食物繊維

食物繊維は猫にとって必要な栄養素ではありませんが、人間と同様に猫にも良い作用があります。

消化管運動を促進させ腸内環境を整える働きと、満腹感を助ける働きからダイエット効果も見込めるでしょう。下痢や便秘などの消化器症状を示している猫や肥満の猫に有効な栄養素です。

   

・植物性タンパク質

蕎麦には植物性タンパク質が含まれています。肉食動物の猫は、植物性タンパク質を利用することは苦手としていますので、猫には不要な栄養素です。タンパク質としては、動物性のものを与えましょう。

猫への蕎麦の与え方

Tabby kitten eating cat food.

蕎麦は猫にとって消化しにくく、アレルギー反応を起こしやすい物質を含んでいるため注意が必要です。

キャットフードのトッピングやオヤツとして少量ずつ

猫は肉食動物のため、穀物類である蕎麦の消化は苦手としています。与え過ぎるとお腹の調子を崩してしまう可能性があるため、小さじ1杯から大さじ1杯程度の少量に留めましょう。

初めて与える際は、少量を与え観察を

初めて与える際は、蕎麦アレルギーを発症する可能性も考えて、ごく少量を与えたあと注意深く観察するようにしてください。

味付けはせず、茹でた温かいものを与える

食材への味付けは過剰な塩分摂取の原因となりますのでやめましょう。塩分の取り過ぎは、猫の心臓や腎臓へ負担をかけ、病気の原因となってしまう可能性があります。

また猫は人肌程度の温かいものを好む傾向があります。生麺や乾麺を使用する際は、そのままでは消化にも悪いので、茹でたものを与えましょう。

アレルギーに注意

蕎麦粉や小麦粉アレルギーのある猫に蕎麦はNG

アレルギー反応を起こす可能性の高い成分は、蕎麦粉と小麦粉です。

症状としては、 呼吸困難や低血圧などの重篤な症状を示す「アナフィラキシーショック」と嘔吐や下痢、痒みなどを示す「食物アレルギー」の2種類があります。

アナフィラキシーショックの症状

   

主な症状

  • 血圧低下
  • 呼吸困難
  • 蕁麻疹 など

   

アレルギー物質の摂取後、数分から数時間以内に症状が現れ、急激に悪化する可能性があります。愛猫がアナフィラキシーショックを疑う症状を起こした場合は、急いで動物病院を受診しましょう。

食物アレルギーの症状

   

主な症状

  • 嘔吐
  • 軟便
  • 下痢
  • しぶり(便が出ないもしくは少ししか出ない状態で便意が続き、排便体勢をとり続ける状態)
  • 排便回数の増加などの消化器疾患
  • 皮膚炎(口周囲、目周囲、耳、脇、内股、下腹部、指間などの特徴的な部位の痒み)

   

これらの症状と似ている疾患もあるため、診断には詳しい検査が必要です。 愛猫に食物アレルギーを疑う症状がある場合は、一度動物病院で検査することをおすすめします。

   

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猫のライフステージに合わせた注意点

横たわる猫

猫の年齢やライフステージによって、体に必要な栄養素や代謝が異なります。今回は妊娠期、授乳期、離乳期、成長期(前期)、成長期(後期)、老齢期の猫と蕎麦について簡単に解説します。

妊娠期、授乳期の猫と蕎麦

この時期の猫には、低カロリー食である蕎麦を与えることは控えてください。 母猫は、体の栄養状態が胎子に大きな影響を与えるため、栄養管理が非常に重要です。通常妊娠・授乳期はエネルギー要求量が高まる時期であるため、十分な栄養を与えましょう。

離乳期の猫と蕎麦

まだ消化機能が未熟のため、蕎麦を与えることはやめましょう。 離乳は3〜4週齢からはじまり、6〜9週齢までには完了します。この時期は子猫にとって環境の変化などのストレスや免疫の低下から健康状態を注意深く観察する必要があります。

成長期(前期:生後4週〜4ヶ月齢)の猫と蕎麦

体重を効率よく増やすために、低カロリー食である蕎麦は不適切です。 体重が4、5倍に急激に増える時期でもあり、多くのエネルギーを必要とします。体が小さく一度に多くの食事を食べられないため、高エネルギーの食材を少量頻回に与える必要があります。

成長期(後期:生後4〜12ヶ月齢)の猫と蕎麦

植物性タンパク質である蕎麦は不適切です。 この時期は筋肉の成長に合わせてタンパク質を十分に摂取し、脂肪やエネルギーを控えめにする必要があります。

蕎麦はこの時期に! 生後30週齢過ぎから生猫以降

蕎麦を与えてもいい時期です。体重は成猫の約8割に達し、成長率はさらに緩やかとなり、40週齢では成猫の体重に達します。

また去勢や避妊手術後はエネルギー要求量が変化し、太りやすい体質に変わります。この時期から肥満を予防するため、低カロリー食に移行するケースもあるでしょう。

老齢期の猫と蕎麦

消化に負担のかかるタンパク質を控えたいため、蕎麦を与えることは避けましょう。

15歳以上の老齢期は食事量や消化吸収能の低下から体重が減少する傾向にあります。またビタミンやミネラルも不足しやすいことから適切な食事の選択が必要です。ビタミンを豊富に含む蕎麦ですが、12歳以上の猫でタンパク質の消化機能低下が報告されていることから、避けた方がいいでしょう。

持病のある猫にも蕎麦をあげてもいいの?

茹でている蕎麦

病気のある愛猫とも一緒に食事を楽しめたら嬉しいですね。人間では健康に様々な良い効果を示す蕎麦ですが、猫にとっては好ましくない場合もあります。ではどのような場合に蕎麦を猫に与えることを控えた方が良いのか、蕎麦が影響を与える可能性のある病気について解説します。

慢性腎臓病の猫に蕎麦はNG

「猫は腎臓から歳をとる」とも言われており、慢性腎臓病は老猫に多い病気です。この病気は腎機能の低下により、タンパク質の代謝産物を排出することができず、体内に毒素を貯めてしまう病気です。蕎麦は高タンパク質な食材となるため、慢性腎臓病の可能性のある猫に与えることは避けましょう。

アレルギー症状のある猫に蕎麦はNG

蕎麦にはアレルギー物質として蕎麦粉と小麦粉が含まれています。今までに動物病院でこれらの物質にアレルギーがあると診断が出ている場合は、猫に蕎麦を与えてはいけません。初めて猫に蕎麦を与える際には、アレルギー反応が出ないか十分注意してください。

猫の食性(食物に関する性質)

猫は肉食動物である

   

猫は肉食動物であるため

  • 一部の必要な栄養素を動物性の食物から摂取する必要がある
  • 他の動物よりもタンパク質の要求量が高い
  • 糖代謝は炭水化物に依存せず、タンパク質からできるアミノ酸で十分維持することができる

   

という特徴があります。 このため、猫の食事は「豊富な動物性タンパク質と控えめな炭水化物が良い」とされています。

猫は新しいものを好む(ネオフィリア)である

猫は、食べ慣れた食事より新しいものを好む「ネオフィリア」の性質があります。

ネオフィリアは野生下では様々な動物を獲物としてきた肉食動物でよくみられる性質です。 ただ一方で、慣れない環境やストレスのある状態では反対の新しいものを避ける「ネオフォビア」になりやすいとされています。病気の猫や環境の変化があった場合には、新しい食材を与えるのは避けましょう。

蕎麦以外に愛猫と一緒に楽しめる他の麺類は?

   

猫に与えても良い蕎麦以外の乾麺

  • うどん
  • そうめん
  • パスタ
  • ラーメン

   

いずれも、主成分は小麦粉であるため、小麦粉アレルギーのない猫では与えても問題はありません。ただし、猫は基本的に肉食動物であるため炭水化物の消化は得意としていません。 これらの麺類を与える際には少量に留めましょう。

まとめ

   
蕎麦は猫に与えても問題ない食材ですが、肉食動物という特性から上手に消化できず、与えすぎには注意が必要です。
蕎麦を猫に与える際は、味付けはせず茹でたものを、いつものフードにトッピングやオヤツとして少量ずつ与えることが理想です。
注意点としては、慢性腎臓病やアレルギーのある猫に蕎麦を与えることは避けてください。
愛猫と楽しく食事ができるように、ライフステージや健康状態に合った食べ方で、蕎麦を楽しみましょう。
   

獣医師
【執筆医】littlestar0218

一次動物病院にて飼い主さまに寄り添った医療を、二次動物病院にて最先端の医療、そして希少症例や様々な疾病を学んできました。 鳥類臨床研究会に所属するなど、犬猫に関わらず動物全般に深い見識を深めています。

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