
猫の胃(消化器)の腫瘍について
目 次
不調を抱えた猫の症状・原因について

猫の胃に腫瘍ができることも!主な症状は嘔吐と体重減少
腫瘍には基本的に良性腫瘍と悪性腫瘍があります。猫の胃の腫瘍ではリンパ腫という悪性腫瘍が最も多くみられるとの報告があります。同時に他の器官にも発生しているケースが見受けられることがあります。腫瘍の種類ではその他の腫瘍の場合もありますが、いわゆる「胃癌」は非常に稀と言われています。
【主な症状】
主な症状は「嘔吐」ですが、グルーミングの多い猫の嘔吐は珍しいことではないので、初期症状としての嘔吐は見逃してしまうことが多いのです。
しかし、病気が進行するにつれて嘔吐の回数は増え、食後でなくても嘔吐を繰り返すようになります。それに伴い食欲が低下し、体重が減少します。また、嘔吐の際に吐物がチョコレート色であったり血が混じっていることや便の色が黒っぽくなることもあります。
<関連記事>
・猫の消化管型リンパ腫とは
猫のためにあなたができること

嘔吐を繰り返したら速やかに動物病院
胃や消化器の腫瘍に関わらず、悪性腫瘍は発見が遅れると腫瘍が拡大し、他の部位へ転移をおこす恐れや急激な全身状態の悪化につながります。病気が進行し、治療が遅れた場合には命の危険を伴うことが多いのです。そのため、早期発見と早期治療が重要になります。
日常的な猫の嘔吐と異なる点としては、「嘔吐が繰り返される」、「徐々に嘔吐の頻度が高くなる」、「食後でなくても吐くことが多い」、「嘔吐がチョコレート色や血が混じっている」といった特徴があります。これらに注目していれば発見が遅れずに済む可能性があります。このような異常が見られたら、速やかに動物病院に受診しましょう。
治療においては、来院時のコンディションや検査によって治療方針が検討されます。胃における腫瘍は単独発症の報告もありますが、腸や他の周辺臓器での併発や転移、腹膜炎などを併発しているケースも多いようです。異常な嘔吐の場合、診察検査の結果、気が付かなかった異物の誤飲によるトラブルの場合もあります。病気が腫瘍性の可能性がある場合、腫瘍には多くの型が存在するので、治療に際しては腹部超音波検査、内視鏡検査などの画像検査のほか、可能であれば生検などによる細胞診や病理検査で病気の進行の評価と合わせて「腫瘍のタイプ」等を把握することも大切になります。そのほか治療方針を立てる上で参考にするのは、「病気の進行状況」とあわせて「猫の年齢」「猫の体力」なども考慮にいれます。治療方法は「腫瘍のタイプ」によって積極的に外科治療を行うのか、抗癌剤等の内科療法を行うのか、またはそれらを組み合わせるかを決めますが、悪性腫瘍のタイプによっては、内科療法で抗癌剤などが必要になるケースがありますので様々な副作用の恐れのある治療法を選択しなければならないこともあります。その場合は副作用についても十分に相談し考慮しなければなりません。
このように病気を早期に発見できれば治療の経過も良好であることが多いのですが、発見が遅れた場合には、他の部位に転移して、治療が間に合わず死に至るケースも少なくはありません。また他の部位に腫瘍が転移している場合はそちらも治療しなければならず、猫の負担は大きくなります。そのため、日常の観察を大切にし、少しでも猫の異常に気づいたら、できるだけ早く受診することが望まれます。
病気の発症メカニズムには詳しく判明していないことが多いので、定期的なワクチン接種や健康診断を受けたり、適切な生活習慣を送らせることを心がけましょう。
猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!

- 嘔吐
- 食欲の低下
- 体重の減少
- 吐血
- 便が黒い
かかりやすい猫の種類
- 特にかかりやすい品種はありません。

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