
猫の多発性嚢胞腎(多発性腎嚢胞)とは
目 次
不調を抱えた猫の症状・原因について

腎臓に嚢胞が出来る先天性の病気
多発性嚢胞腎は、一度発症すると治らない不治の病です。人間でも同じ疾患がありますが難病指定されています。他にも多くの動物で発症が確認されていますが、猫の場合、1000匹中1匹の割合で発症していると言われています。
多発性嚢胞腎は年月の経過と共に、段々と腎臓にのう胞ができていくのが特徴です。進行は比較的ゆっくりとしているという点、そして症状自体もあまり出ない猫もいますので気がつきにくいです。別の症状で受診をしているときに腎臓にのう胞が出来ているのが見つかり、多発性腎嚢胞の診断を受けることもあります。
嚢胞は少しずつ形成され、腎臓の組織と置き換わり、腎機能を低下させていきます。そして、5~7歳ぐらいになって腎機能の大部分が失われ、慢性腎不全によって亡くなるケースが多いです。この段階になるとのう胞が出来た腎臓は肥大化し、腎臓の機能自体もかなり下がっています。
また、のう胞は他の臓器(肝臓など)にも出来る例もあります。
多発性嚢胞腎の症状としては、食欲がなくなったり、体重が減っていきます。 水を飲む量が増えて尿の量が増えてきます。
原因は常染色体優性遺伝によるものです。 親猫の腎臓のタンパク質を作る遺伝子に問題があると、生まれてきた子猫は多発性嚢胞腎が遺伝しやすいです。遺伝の確率としては5割強程と言われており、比較的高い方だと言えます。
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猫のためにあなたができること

腎不全と似ているので、詳しく調べて延命治療を
普段、現れる症状などは腎不全と似ています。多飲、多尿が目立つ時点で腎臓に何らかの異常が出ていることは間違いないので、早めに動物病院へ連れて行ってどの疾患が原因なのかを調べるようにした方が良いでしょう。
診察ではまず触診で腎臓の大きさを確認します。他にX線検査や超音波検査を行い、腎臓の詳しい大きさ、構造などの状況を確認していきます。
大抵は10ヶ月以降の猫であれば超音波検査で多発性嚢胞腎の診断が出来ます。
治療としては、完治させることが出来ない疾患ですので、進行を遅らせる延命を目的とする治療になります。
まず食事内容についての指導が出ることが多いです。タンパク質やリンの量を減らした食事をして腎臓への負担を減らす食事にします。他に症状などが出ている際には対処療法を行ないます。
吐き気などがひどい場合は吐き気止めの処方、血圧が高い場合は血圧降下剤を使い、場合によってはリンを吸着するリン吸着剤を使用したり、輸液を行なうこともあります。
定期的に動物病院を受診し、現状を正確に把握するように心がけましょう。
猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!!

- 水をたくさん飲む
- 尿の量が多い
- 食欲があまりない
- よく吐く
- 痩せてきている
かかりやすい猫の種類

- アメリカンショートヘアー
- スコティッシュフォールド
- ヒマラヤン
- ペルシャ
また、以下の状況の猫もかかりやすいです。

- 親猫が多発性嚢胞腎だった
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