猫の膀胱結石について

猫の膀胱結石について

2022/9/13
獣医師
【監修医】青木 大
獣医師

不調を抱えた猫の症状・原因について

不調を抱えた猫の症状・原因について

尿をためておく臓器に結石ができる病気

尿は腎臓から尿管を通って膀胱にためられます。この膀胱にたまった尿が尿道を通って排出されるのです。
「膀胱結石」は膀胱の中に結石ができることを言います。他の尿路系結石などと同じように下部尿路疾患の1つになりますが、下部尿路疾患の中でも「膀胱結石」は比較的多くみられます。猫でよくみられる膀胱結石の種類は主に2種類あります。

シュウ酸カルシウムストルバイトで、体質、食事、細菌感染などの様々な要因によってできる結石に違いが出てきます。尿がアルカリ寄りになっている場合はストルトバイト結石ができやすく、尿が酸性寄りになっている場合はシュウ酸カルシウムの結石ができやすいです。 猫の場合、ストルバイトの結石が多いです。

症状としては、うまく排尿ができない状態になり、ひどくなると血尿が出るようになります。
食欲や元気もなくなり、更に悪化することで尿毒症などの症状も出てくるようになります。
倒れて痙攣を起こすようになったり、うなり声を上げて苦しそうにするといった症状も出ます。

原因と一つとして多いのが食事のバランスです。食べ物によって尿のpHに違いが出てきます。
他には膀胱炎も原因のひとつとして考えられています。
炎症によってはがれた細胞が核になり、雪だるまのように段々と結石がつきながら成長するケースもあるので、食事だけが原因とは限りません。


<関連記事>
・猫の尿石症(尿路結石症)について
・猫の下部尿路症候群について
・猫の膀胱炎について

猫のためにあなたができること

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うまく排尿ができていないようなら病院へ

「膀胱結石」の場合、様子を見ることで自然に症状が改善されていくということはありません。時間が経てばたつほど、症状も重くなっていきますし、放置することで死の危険性も出てきます。
うまく排尿できないという仕草が確認できた時点で早めに病院でみてもらうようにしましょう。

診察では膀胱をレントゲン検査や超音波検査で診ていきます。同時に尿検査などを行って膀胱結石を疑うような結晶が出ていないかを調べます。
膀胱結石の状況にもよりますが、多くの場合、まず食事内容の改善を指示されます。

食べたものによって尿のphにも違いが出てきますので、phを酸性に傾くことができる療法食を出してもらうことが多いです。
尿の成分を調整することで徐々に結石が改善されていきます。

暫く続けたことによって、結石がなくなっていたという例もあるので、食事の改善は重要といえます。

他には抗生物質を使って治療を行なったり、元になる疾患を抱えているようであればその治療を行ないます。
また、超音波検査などで結石が大きい、もしくは内科治療で結石溶解が難しいと判断した場合は手術という選択肢もあります。

外科手術を行うことでリスクもいくつか出てきますので、手術に関する説明をしっかりと受けてから判断するようにしましょう。また治療が終わった後も、再発性の高い結石もありますので、定期的な検診は必要です。

猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 多飲多尿
  • 尿の色が濃い、血尿
  • トイレに何回も行こうとするけど排尿できない
  • 元気がない

かかりやすい猫の種類

  • シャム
  • スコティッシュフォールド
  • トンキニーズ
  • ヒマラヤン
  • ペルシャ

また、以下の状況の猫もかかりやすいです。

  • 食事バランスが偏っている
  • 膀胱炎を患っている
獣医師
【監修医】青木 大

あおき動物病院/神奈川県 厚木市 長谷32-2 ◇所属学会:獣医麻酔外科学会 、日本獣医腎泌尿器学会 ◇学会発表・論文:1997年より学会での多数の口頭発表と学術論文の発表

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