犬の骨肉腫について

犬の骨肉腫について

2022/9/9
獣医師
【監修医】秋吉 亮人
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

Dog waiting for walk with his owner. Labrador retriever standing with leash in mouth against door of house.

死亡率の高い大変危険な悪性腫瘍

骨肉腫は、犬の骨に発症する悪性の腫瘍で、死亡するケースも高い大変危険な病気です。

   

【主な症状】
症状は、日を追うごとに足の痛みが大きくなっていきます。患部に触れると、辛抱強い犬であっても飛び上がるほど痛がります。骨肉腫が発症すると、すぐに肺へと転移してしまうケースが多く、最後には呼吸不全に陥り死亡するという流れをたどります。

   

【主な原因】
原因は未だはっきりとはわかっておりませんが、骨折経験のある犬が、かなり経ってから発症したケースがあります。あくまで可能性であるために断定することは出来ませんが、骨折から7年~8年経ってから発症するため、飼い主も犬も原因がわからず、大変驚くことが多いです。
その他にも、足に負担をかけやすい肥満の犬、大型の犬種が発症しやすいと言われおり、発症率は中・小型犬のおよそ8倍以上にもなります。

  

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激しい痛みを軽減させるための手術

検査は、レントゲン検査と病理検査の2つがメインとなります。
治療法ですが、前足に発症した場合は、肩甲骨・肩すべてを切り取る断脚手術を行ないます。後ろ足の場合は、股関節とその周辺が切除対象となります。骨肉腫は気を失うほどの痛みが伴いますので、患部を切り取ることで、痛みを軽減させるのが目的です。
手足がなくなるのは見た目的には非常に痛々しく、手術をのぞまない飼い主も多いのですが、骨肉腫とはそれほど激しい痛みを伴います。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 足を引きずる
  • 患部を触れると飛び上がるほど痛みを訴える
  • 呼吸不全(重篤状態)

かかりやすい犬の種類

大型犬に発症しやすい腫瘍です。発症倍率は中・小型犬のおよそ8倍以上にもなります。
また、太り過ぎの犬や、運動失調気味の犬にも起きる可能性はあります。

   

犬の骨肉腫について

骨に原発して(転移ではない)できるがんでは一番多く、中~高年齢(平均7歳)に発生し、また、6か月~2歳くらいまでの若い犬でもみられる腫瘍です。

特に大型犬、超大型犬に多く発生し、好発犬種はセント・バーナード、グレート・デン、アイリッシュ・セッター、ドーベルマン、ロットワイラー、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバーなどが挙げられます。

   

骨肉腫のほとんどは四肢に見られ、特に前足に多く発生します。
原因はわかっていませんが、大型犬などでは急速に成長するため、体重がかかる骨の軟骨に負荷がかかり、遺伝子の突然変異が起こりやすいことや、遺伝的な要因もあるのではと考えられています。

骨肉腫は局所浸潤性が高く、骨が溶けてしまったり増生して太くなったりします。
そのため、足が腫れたり、痛みで歩けなくなったり、腫瘍が原因で骨折してしまうことがあります。

転移してしまうのも早く、多くは肺に転移します。
治療方法は、断脚手術などが行われることが多く、抗がん剤や放射線療法を組み合わせることもあります。しかし、手術のみで骨肉腫が治ることはほとんどなく、手術の大きな目的は痛みを取ってあげることです。抗がん剤を併用することにより、生存期間が延びるようですが予後は厳しく平均して1年くらいとされています。

獣医師
【監修医】秋吉 亮人

アキヨシアニマルクリニック/神奈川県 大和市 中央林間西5-4-26

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