犬の股関節脱臼について

犬の股関節脱臼について

2022/9/12
獣医師
【監修医】大川 雄一郎
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

2頭でたわむれるサモエド

激しい足の痛みがある脱臼

股関節脱臼は、文字通り股関節部分の脱臼(骨が関節から外れてしまった状態)を指します。
症状としては、足に痛みが伴うために、足を引きずるような歩行障害が顕著に現れます。激しい痛みを伴うために、我慢強い犬でも、表情や仕草に現れるほどです。
股関節の脱臼の原因として、股関節に外からの強い衝撃を受けた場合がまず先に考えられます。交通事故や高いところからの落下、何かに激しく衝突したりすると脱臼は起きます。
つまり、何らかの理由で靭帯が切断されてしまうと、大腿骨が元あった場所からはずれてしまい、脱臼という流れを引き起こします。
犬が体を動かす場合、もっとも負荷がかかる部位が股関節です。過剰な動きは、直接股関節へ影響します。
もうひとつの発症原因が、先天的な遺伝による脱臼です。関節が生まれながらにして形成異常を起こしており、脱臼しやすくなっている可能性もあります。

犬のためにあなたができること

夕日を背景にした大型犬

股関節に負担がかからないように注意

普段から愛犬の歩行状態を観察しておくことと、散歩中に強い衝撃を受けないよう心がけることが大事です。他には、肥満で体重が増加してしまうと体に余計な負荷がかかってしまうため、体重の管理は、脱臼予防につながります。獣医さんの指示に従い、食習慣の改善に努めましょう。
無理な運動は極力避け、室内で飼っている場合でも、股関節(足周辺部位)になるべく負担がかからないよう注意しましょう。
検査方法ですが、まずは獣医さんの触診を受け、次にレントゲン検査(またはX線検査)により骨の状態を確認し、骨折の有無を調べます。
治療法は、損傷後4~5日以内であれば、全身麻酔後に脱臼部分を元に戻して治療していきます。
整復後は包帯法により10~14日間固定します。包帯法による固定の成功率は50%前後です。
再脱臼した場合は、なるべく早く外科手術を行ったほうが、成功率は高いです。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 歩行障害
  • 激しい痛みを伴う
  • びっこを引く
  • 足を地面につけずに歩行する

などが特徴的な症状です。

かかりやすい犬の種類

  • 好発犬種はありませんが、大型犬から超大型犬によく見られる病気です。レトリーバーなどの体の大きな犬は成長期に体の成長が成長速度に追いつかず、股関節形成不全などを起こしてしまうことがあるのですが、それが原因となって脱臼する恐れもありますので、大型犬種を飼っている方は注意が必要です。
獣医師
【監修医】大川 雄一郎

さがみ総合どうぶつ医療センター/神奈川県 相模原市南区 相模大野2-8-1
所属学会:獣医麻酔外科学会、日本獣医がん学会、日本動物病院福祉協会、日本レーザー獣医学研究会

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