犬の巨大食道症について

犬の巨大食道症について

2022/9/12
獣医師
【監修医】菅野 信二
獣医師

症状・原因について

ドライフードのにおいをかいでいるシュナウザー

食道の拡張や動きの低下が特徴の症候群

巨大食道症は、別名、食道拡張症とも呼ばれ、びまん性食道拡張と低蠕動を特徴とする症候群です。
これには、先天性のものや後天性のものがあります。
症状としては食べた後数分から数時間で吐出することがあります。その頻度は、実に様々です。食道内のものを吐くのが吐出です。急性や慢性の咳も伴うことがあり、誤嚥性肺炎を併発した際には、呼吸困難や発熱が伴います。飲み込む事が困難で、食事摂取量が不十分な場合には、体重が減少してきます。食道炎の併発により、食欲不振やよだれなどの症状がみられる事もあります。

原因は、先天性の巨大食道症の場合、特発性で食道の異常によるものと考えられていますが、その詳細は不明です。
後天性の巨大食道症は原因不明(特発性)の場合と、他の病気に続発して起きる場合があります。
続発性の巨大食道症を引き起こす事のある病気としては、神経と筋の病気(全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、多発性ミオパチー、多発性筋炎、巨大細胞軸索性神経障害、皮筋炎、多発性神経根ニューロパシー、両側性迷走神経損傷、脳幹の障害または腫瘍、ボツリヌス中毒)、中毒(タリウム、鉛、抗コリンエステラーゼ薬)、その他の病気(下垂体性矮小症、甲状腺機能低下症、アジソン症、悪液質)などがあります。

犬のためにあなたができること

Smooth fox terrier dog eating from bowl on light room's floor

巨大食道症と診断できても、原因が特定できるとは限らない

胸部X線検査で閉塞を伴わないびまん性の食道の拡大がみられる時に巨大食道症と診断します。単純X線撮影ではっきりと診断がしにくい場合には、造影X線検査をおこなったり、レントゲン透視や内視鏡を用いることもあります。
原因究明には精密検査が必要な事が多くありますが、詳しく検査を行っても原因が特定できない事もあります。
治療は、原因疾患や原因が特定できている場合には、その治療を行います。
対症療法として、高い所に置いた流動食を立位で食べさせ、食後しばらくの間、動物を立位の状態に保つようにします。
そうすることによって、食べ物が重力で食道を移動するようになります。
多くの場合、食道炎も併発していることがあるので、抗生物質や粘膜保護剤を投与します。
重度の巨大食道症は難治性の場合が多く、誤嚥性肺炎の合併により死亡率が高くなります。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 食後食べ物を吐き出す
  • 呼吸困難
  • 発熱
  • 体重減少
  • 食欲不振
  • よだれ

かかりやすい犬の種類

  • ジャーマンシェパード
  • ミニチュアシュナウザー
  • ワイヤーヘヤーフォックステリア
  • アイリッシュセッター
獣医師
【監修医】菅野 信二

南が丘動物病院/兵庫県 三田市 駅前町12-9

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