犬のアジソン病について

犬のアジソン病について

2022/9/13
獣医師
【監修医】長谷川 承
獣医師

不調を抱えた犬の症状・原因について

飼い主さんの手に前足をかけるワンちゃん

多飲多尿の症状が現れたら注意

犬のアジソン病とは、副腎皮質ホルモンの不足により発症する病気で、別名「副腎皮質機能低下症」
とも呼ばれます。また、アジソン病が進行した状態を「副腎クリーゼ(或いはアジソンクリーゼ)」と呼びます。
症状はホテルやトリミング、旅行などのイベント後に必ず起きる、元気消失、体の震え、下痢・嘔吐となります。そして、病状の進行により、食欲低下、体重の減少、多飲・多尿が見られるようになります。
さらに顕著な運動失調が起きるので、散歩に連れて行こうとしても嫌がります。

アジソン病はとても珍しい病気で、その症状も特徴的ではないために、副腎クリーゼまで重篤な症状となって初めて発見されることが多く見られます。副腎クリーゼの特徴的な症状として、突発性の脱力状態や微熱、呼吸困難、腎不全、意識の消失といった症状となり、迅速な対応が必要となります。
アジソン病は自己免疫疾患の一つと言われています。副腎皮質ホルモンは糖質(グルココルチコイド)と鉱質(ミネラルコルチコイド)の2つに大きく分けられ、前者は抗ストレスホルモン、後者は泌尿に関係するホルモンとなります。ですから、前述のように過剰にストレスがかかると症状が見られるようになります。

犬のためにあなたができること

Beagle dog tired sleeps on a cozy sofa, couch, blanket

ストレスのある生活環境の改善

対策は、ストレスのある生活環境の改善が、副腎クリーゼの予防につながります。そのために、動物病院にて獣医さんからの食事指導や体調管理方法を教わり、免疫力(抵抗力)のある強い体をつくってあげましょう。
検査は、血液検査、超音波検査、そしてACTH刺激試験(副腎がコルチゾールの分泌する能力を調査する検査で、診断の難しいアジソン病の診断の中ではもっとも有効とされている検査方法です)により診断を行います。
治療は、不足している副腎皮質ホルモンを内科的に生涯補填することになります。これには飲み薬(フロリネフ)が多く使用されますが、注射薬(DOCP)による治療法もあります。なお、副腎クリーゼが発症した場合は、緊急入院が必要となります。

犬にこんな症状・しぐさが出たら注意!

  • 元気消失
  • 食欲不振
  • 体の震え
  • 下痢・嘔吐
  • 多飲・多尿
  • 筋力低下
  • 脱水症状
  • 体重の著しい減少
  • 運動失調

かかりやすい犬の種類

  • グレートデン
  • ロットワイラー
  • ポーチュギーズウォータードッグ
  • スタンダードプードル
  • ウェストハイランドホワイトテリア
  • ソフトコーテドウィートンテリア

上記の好発犬種のうち、発症年齢の7割以上は4歳~7歳と、7歳~8歳のメス犬に見られると言われていますが、当院ではそのほとんどがトイプードルで1~2歳の若齢発症が多く見られます。

獣医師
【監修医】長谷川 承

アルマ動物病院/東京都 世田谷区 中町4-24-18

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