
猫の脂肪肝(肝リピドーシス)とは
目 次
不調を抱えた猫の症状・原因について

肝臓に脂肪が貯まる病気で、メカニズムはまだ十分にわかっていない
猫の脂肪肝(肝リピドーシス)は、肝臓に過剰な脂肪が蓄積することで肝機能障害を起こす病気です。猫が十分に栄養を取れなくなると体の中の脂肪が分解され、肝臓に急激に蓄積するために起こると考えられています。
主な症状としては数日間の食欲低下や元気の喪失などがあります。さらに、嘔吐、下痢などの胃腸障害や体重の減少や脱水症状、黄疸(白目や皮膚、粘膜が黄色くなる)などの症状が現れ、肝臓機能の低下が進行すると痙攣や意識障害などの神経障害が起こる可能性があります。
原因として、旅行や引越しによって急激に生活環境が変化することなどのストレスにより、食欲不振になることもあります。しかしながら、原因が胃腸や膵臓などにある場合は、嘔吐や下痢などの消化器症状が先に見られることも少なくありません。
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猫のためにあなたができること

兆候があればすぐに病院へ
脂肪肝の原因は多岐にわたるため、脂肪肝の原因を特定することは難しいこともあります。その場合でも肝リピドーシスは直ちに治療を開始することが一般的です。治療しないと死に至ることが多いと言われていますが、治療後の嘔吐などの合併症を乗り切った場合、改善が見込めることも多い病気ですので自宅での看護も含めて根気よく治療することが望まれます。
肝リピドーシスに限らず、肝臓の病気は特徴的な症状がほとんど見られないことがあるので、早期の発見が困難です。定期的に病院で検査を受けることで早期の発見に繋げることができます。
治療法は栄養療法が中心で、食欲のない猫に栄養補給をすることが重要です。強制的に口の中にフードを入れることが困難な場合は、鼻、食道などを経由する栄養チューブを設置し、流動食を与える治療がよく行われます。近年、チューブでの栄養補給に適した各種の流動食が開発されています。
治療開始後、絶食期間が長いと体が食べ物を受け付けずに嘔吐や流涎が悪化することがあります。これも近年、効果的な制吐剤(吐き気止め)が開発されており、症状を緩和しながら治療を継続していきます。自ら食事を取り、治療終了までに一ヶ月以上かかることもあるので、自宅での看護が必要になることがあります。これらのことから、飼い主様の理解と協力が不可欠な病気であると思います。
猫にこんな症状・しぐさが出たら注意!

- 食欲の低下
- 体重の減少
- 元気がなくなる
- 流涎(よだれが多くなる)
- 痙攣
- 黄疸(白目や皮膚、粘膜が黄色い)
- 意識障害
かかりやすい猫の種類
品種、雌雄を問わず発生します。
中年齢で肥満体質の猫が多いと言われていますが、普通の体型の猫でも発病することがあります。

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