
猫がよく咳をし、呼吸も苦しそうです。風邪をひいたのでしょうか。
目 次
不調を抱えた猫のしぐさや症状について

いつもと違う呼吸音が聞こえる
猫が呼吸をしにくそうな状態になった時には、いつもより元気がなくなり、いつもとは違う様子で呼吸をしたり呼吸回数が増えている事が多く、呼吸の時に普段は聞くことの無い音が聞こえる場合もあります。
ウィルス性や細菌性の鼻炎で鼻が詰まっているだけでも呼吸が苦しそうに見えるときもありますが、状態が良くない場合は上を向いて口を開いて呼吸することが多くなります。 発熱を伴う場合もありますので、体温もチェックするようにしましょう。
咳をすることも
またおかしな呼吸に加えて咳をする場合もあります。 咳の場合、吐く時のしぐさと似ているので、吐いていると勘違いしてしまう事もあります。 特に吐く事も無く、何事も無いようにおさまった場合、咳をしている可能性が有るので注意して猫を観察するようにしましょう。 他にも苦しそうに咳き込むパターンもあるので、咳の種類は複数あると覚えておきましょう。
呼吸の様子や咳の様子を言葉で獣医さんに伝えるのは難しいので、動画が撮影できる人は動画を撮影しておくと説明がしやすくなるかもしれません。
他にも呼吸回数の測定は呼吸のおかしな動物の診察において大きな意義がありますが、診察室では怖がったりしてなかなか本当の呼吸数が測定できないことがよくあります。自宅で1分間に何回呼吸をしているか数えていくのもよいかもしれません。呼吸の状態の悪い動物は大抵呼吸回数が多くなっています。
考えられる猫の不調の原因は?

病気
猫の呼吸に異常がある場合、色々な原因が考えられます。
〇心臓に異常がある場合、一般身体検査の他にレントゲンや心臓エコー検査のような画像検査や血液検査、心電図などを基に診断することになります。
心筋症などの疑いがあった場合は、レントゲンや心臓エコー検査で心臓の形態を見たり、血液検査でNTproBNPや高感度心筋トロポニンのような心臓バイオマーカーの数値を見て診断する事になります。
エコー検査などにより体のどこかに液体がたまったり(胸水・腹水)、膿がたまったりしていないかを確認することもあります。
〇また胸水の症状が有る時、伝染性腹膜炎を患っている可能性もあります。
この病気にかかってしまうと死亡率が高いといわれているので注意が必要です。伝染性腹膜炎は腹水や黄疸の確認のような全身状態の把握に加え、血液検査によるγグロブリンやα1-酸性糖蛋白質(α1-AGP)、血清アミロイドA(SAA)の測定、FCoV抗体検査により推定されますが、確定診断は困難です。腹水や脳脊髄液のPCR検査でFCoV遺伝子が確認されれば猫伝染性腹膜炎の確定診断となります。
〇その他にも、フィラリアなどが疑われる場合は抗原検査を行ったり、トキソプラズマの疑いがある場合には血液検査やPCR検査を行う事で診断します。他にも腫瘍や胸膜炎などでも胸水が貯留することがあります。
怪我
外に出ている猫の場合、事故による骨折や横隔膜ヘルニアなどが原因で呼吸の異常が出る場合もあります。これらの症状は触診やレントゲン検査でわかることが多いです。
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猫のためにあなたができること

人間と同じだと考えない
例えば、人間の場合、咳などの症状があっても様子見をして放置する方もいらっしゃいますが、人間と同じ感覚では考えないようにしましょう。
特に猫の呼吸がおかしい場合、命の危険がすぐそこに迫っていることがあります。出来るだけ早く動物病院に連れて行ってあげてください。
獣医さんに猫の症状を伝えるポイント

- 食欲はあるか
- 吐いていないか
- 熱は無いか
- 呼吸がおかしい、お腹だけで呼吸をしていないかなど、呼吸の変化
- 咳、くしゃみをしているか
- たんなどは出たか(血が混じっているか)
- よだれなどは垂らしていなかったか
- 舌や足裏の色がいつもの色と違わないか
その他、気になることがあったら合わせて伝えましょう。
特に「お腹だけで呼吸をしている場合」は非常に危険な状態ですので、すぐに病院へ連れて行きましょう。
考えられる病気名
- アレルギー性気管支炎(猫の喘息)
- 肺炎
- 気管支炎
- 骨折
- 猫風邪(猫カリシウィルス感染症)
- 心筋症
- 胸水
- 猫伝染性腹膜炎
- 貧血
- フィラリア症
- トキソプラズマ症
- 膿胸
- 肥満
- がん
- 細菌感染

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