【獣医師執筆】猫の寒さ対策どうしたらいい?留守番、夜間の対策グッズや注意点などを詳しく解説

【獣医師執筆】猫の寒さ対策どうしたらいい?留守番、夜間の対策グッズや注意点などを詳しく解説

2022/12/28

猫の寒さ対策は愛猫の体調管理においてとても大切です。猫はもともと寒さにストレスを感じる動物であり、気温の下がる秋冬には体調を崩すことが多いのです。

この記事では猫が寒いと感じる温度の目安や、適温、そして寒さ対策についても詳しく解説します。
冬に増える猫風邪や膀胱炎などを予防できるようにしましょう。

獣医師
【執筆医】山田 あさか
獣医師

猫が寒いと感じる温度は?

Beautiful red cat wrapped in scarf on snow background
  • 猫は20度以下では寒いと感じることが多い
  • 子猫は25度前後必要
  • 猫の特性や年齢によって異なる

一つの目安であり、年齢や持病の有無によっても異なります

もし子猫であれば、25度前後は必要ですし、老猫や持病のある猫、被毛の少ない猫も寒がりであることが多いです。

逆に、若くて元気な猫でダブルコート※の温かい被毛を持っていれば、20度以下でも寒く感じていないこともあります。また多頭飼育の猫では、寄り添って寝ていれば互いに温めあうので寒さを感じにくいでしょう。

このように、それぞれの猫の特性や行動、環境によって寒さを感じる温度には差があると知っておいてくださいね。

※ダブルコートとは:体表に現れている上毛と皮膚近くにある下毛という、種類の違う2種類の被毛を持つ猫のこと。アメリカンショートヘア、ロシアンブルー、ノルウェージャンフォレストキャット、ペルシャなど。換毛期があり、抜け毛が多いのが特徴です。

猫は何度まで耐えられるの?

  • 野生の猫は一桁の低温でも生きている(複数の猫で身を寄せ合っているなどが考えられる)
  • しかし低温にしていると寿命が短い
  • 子猫と老猫は単独では低温に耐えられない

猫が低い温度で何度まで耐えられるのかも、猫の体格や年齢、持病の有無で変化します。
野生の猫は一桁の低温であっても生き残っているので、若くて健康で、他の猫と一緒に温めあっていれば冬の温度を超えられることも多いようです。

しかし、10度以下の低温で耐えられるからと言って、体に負担がないわけではありません。
温度環境が厳しい外の猫は寿命が短い傾向にあるのはこのためです。
愛猫に長生きをしてもらうためには、なるべく温度が年間を通して一定な方が良いでしょう

人間と同じ室温で大丈夫?

  • 基本的には人と同じ室温で猫も快適
  • 人が着こむのであれば、猫は寒い
  • 1日の中で寒暖差が大きくならないように

基本的には人が心地よいと感じる温度20‐25度であれば猫も快適に過ごせます。
ふわふわの毛皮を常にまとっている状態の猫は、人よりも寒さに強い体と言えるでしょう。しかし猫の体格は人の10分の1ほどなので、外気温には左右されやすい生き物です。人が防寒用に1枚着こむのであれば、猫のために防寒対策をする必要があると考えてくださいね。


また人は衣服の調節である程度の温度変化に対応していますが、猫は毛皮を脱いだり着たりは出来ないので、1日の中で温度変化が大きいと体調を崩しやすいです。朝晩の気温変化などにも気を配ってあげましょう。

猫にとって快適な温度と湿度とは?

オイルヒーターの上で寝ている2頭の猫
  • 温度は20-25度
  • 湿度は40-60%
  • 部屋全体ではなく、猫のいるところの温度と湿度をチェックしてあげましょう

若く健康な猫が快適に過ごせる温度は20-25度が目安で、湿度は40-60%と言われています。
冬は暖房器具の使用によって、乾燥しがちになるので注意しましょう。温度と湿度の適温は、だいたい人と同じくらいですね。

大切なのは猫のよくいる場所の温度が適温になっているかどうか。だいたいの猫は高いところにいるので、犬に比べれば温かい環境にいるでしょう。もしケージ内で夜を過ごしているのであれば、ケージ内の温度をチェックするようにしてください。

老猫、子猫に快適な温度、湿度

  • 生後10日前後では32~34度
  • 生後14日-21日では28度前後
  • 生後1カ月前後では25度前後

子猫はとても温度が重要で命を左右しますし、日齢によって大きく適温が異なります。
複数で集まっていれば体温を維持できますが、一匹では体温がどんどん低下してしまいます。母親のお腹の下で兄弟猫とぬくぬくしている状態が理想なので想像してみてくださいね。

生後2カ月齢以降の子猫でも、やはり1匹では寒いので猫のいる環境は23度ほどになるようにしましょう。

  • 老猫は20度を下回らないように

老猫は持病を持っていることが多く、若いときよりも体温を維持するのが難しいことも。そのため最低気温が20度を下回らないように維持することが大切です。
さらに関節炎によって高い所に上がれなくなっている老猫は多いので、低い位置でも暖をとれるようなペットヒーターなどの工夫が必須です。

猫が寒がっているサイン

A street tricolor cat sits on a bench in the winter, in the park near the river. A miserable look of an homeless animal  animal in city.

以下のような行動が見られたら、猫が寒いと感じているサインなので見逃さないでくださいね。

  • 小さく丸まって動かない
  • あまり水を飲まない
  • トイレの回数が減った
  • 鼻水が増える
  • 細かく震えている

少し寒さを感じている程度であれば、丸くなって体温を保持しようとします。寒くて動きたくない、冷たい水を飲みたくない、というのも寒さのサインでしょう。

寒さが健康を害しているほどになると、猫風邪にかかりくしゃみや鼻水が出ることも。
体温維持が難しいほどに寒ければ、筋肉を震わせて発熱しようとします。これは猫にとっても負担がとても大きい寒さですので、震えが出るような状況にはしないように注意してくださいね。

   

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猫の寒さ対策

Three British kittens sleep together
  • エアコンによる温度管理
  • 電気カーペットによる床からの保温
  • コタツ(高齢猫がコタツに入りっぱなしの時は要注意)
  • 高い位置にの猫のベッドを置く
  • 日当たりの良い窓辺に猫のベッドを置く
  • 夜に人がいない部屋でも、猫がいるのであれば暖房を使用
  • 水飲み場やトイレの防寒対策も忘れずに

猫におすすめの寒さ対策としては、エアコンや電気カーペット、コタツが一般的です。

ただしコタツは中の温度が高すぎたり空気が乾燥していることもあるので、高齢猫は注意が必要です。

そのほかにも高い位置や日の当たる窓辺に猫の居場所を作るのは効果的で、猫の本能にも合っています。室内に猫のための見晴らし台や、外が見えて日当たりの良い窓辺に猫用ベッドが無いおうちは、すぐに用意してあげましょう。身を寄せ合って暖をとれるので、多頭飼育も寒さ対策の一つかもしれないですね。

また何より大切なのは、朝晩の寒い時間も含め、常に猫が快適に過ごせることです。
人は暖房と電気毛布と厚着で暖をとっているにもかかわらず、猫のいる部屋の暖房を止めてしまう、ということの無いように、猫の居場所に常に気を配ってあげましょう

また、水飲み場やトイレの防寒対策も忘れずに。温かい部屋にも設置してあげたり、飲料水を少し温めてあげるのもおすすめです。寒さで引水量や排泄の回数が減っていないかも、こまめに確認してあげましょう。

冬の留守番におすすめ!電源なし防寒グッズ

段ボールハウスと猫

部屋に人もいないなかで暖房を24時間つけておくというのも、経済面や環境面から問題があることも。
そのため、電気を使わないエコな寒さ対策の工夫も昨今では推奨されています。

  • ふわふわな毛布
  • ふわふわなベッド
  • 湯たんぽ
  • 段ボールハウス

   

最近では100円均一などでもペット用品は多く売られており、冬用のベッドも見かけます。
また、ひざ掛けとして売られている毛布も猫の防寒対策に使用している方が多いでしょう。
猫はフワフワの毛布が大好きですので、ぜひ寒さ対策として活用してくださいね。

湯たんぽを使用するのは、生後間もない子猫や元気のない老猫の寒さ対策時です。あまり活動範囲が広くない猫におすすめですが、低温やけどには注意しましょう。

段ボールは保温性や保湿性が高く、形を変えることもできるので、実は猫ハウスの素材として優秀です!汚れたらすぐに廃棄して新しいものと取り換えられるのもメリットです。
中が薄暗いのも猫にとっては落ち着く環境となるので愛猫ハウスとしてぜひ活用してみましょう。
時々、段ボールを噛み千切って破片を食べてしまう猫がいるので、その点だけは注意してください。

これらを使えば昼の寒さ対策は十分であることが多いです。
しかし朝晩の寒さには対応しきれないので、気温がもっとも下がる時間帯はエアコンやオイルヒーターなど暖房器具も使用しましょうね。

猫の寒さ対策の注意点

猫の寒さ対策の注意点としては大きく2つ、温めすぎと寒すぎの状況が挙げられます。

   

<温めすぎ>
・25度以上で暑い
・乾燥している
・低温やけど

   

<寒すぎ>
・人のいないところでは寒い
・朝晩に寒い
・床は寒い

   

温めすぎのケースでは、カーペットや湯たんぽでの低温やけどが心配です。猫が自分の快適な温度へ移動できるように、温かい所と、涼しい所を作っておけると良いでしょう。

逆に寒すぎる状況というのは、人がいない場所や時間帯に多くなります。人がおらず暖房を使用していない朝晩は、猫が寒い思いをしているかも。猫の活動範囲を把握し、1日の中で気温が大きく変化せずに20-25度になるようにしてあげることが理想です。

これはダメ!間違った寒さ対策

猫にとって良くない、間違った寒さ対策もありますので知っておいてくださいね。

  • ショウガを食べ物に混ぜる
  • 辛いものを食べ物に混ぜる
  • 服を何枚も着せる
  • 石油ヒーターを近くに置く

人は寒い時期になるとショウガや七味など辛みの成分で体を温めることがありますが、猫にとっては有毒なのであげてはいけません。
また、猫は洋服を着ることが苦手な性格であることが多いので、寒くても服を着せるのはおすすめできないでしょう。

温かいからといって石油ヒーターの熱風を猫に当てるもよくありません。乾燥した空気や一酸化炭素などのガスが猫に悪影響であったり、ヤケドのリスクもあるため石油系の暖房は注意が必要なのです。

Q&A

湯たんぽや段ボールハウス、また人肌も立派なエコ暖房です。いつもお布団の中に猫がいる、と話されている飼い主さまがいました。
多頭飼いもいいのですが、猫同士で温めあって寝てほしい、という希望から2匹目の新しい猫をお迎えしたら、猫同士が仲良くならずに全く寒さ対策にならない、という方もいましたので、、、しっかり検討してください。

ケージ内の猫はその場所から動くことができないので温度管理も注意が必要です。
猫に推奨されている3段ケージでは、高い所と低いところで温度差ができるので、一番上の温かいところに猫用のベッドを置くのがお勧めです。
エアコンで温度管理をして、さらに柔らかい毛布を入れて保温できるようにしましょう。

まとめ

Woman resting with book near fireplace

猫の適温は20-25度ですが、年齢や持病、飼育頭数によっても変化します。基本的には朝晩の冷える時間には暖房器具の使用が必須でしょう。昼間の太陽が当たる時間であれば、電気を使わない防寒対策もとても有効です。100円均一でも優秀な猫グッズが売られているので探してみてください。
段ボールで猫ハウスを作成するのも寒さ対策には有効なので、ぜひやってみてくださいね。

獣医師
【執筆医】山田 あさか

獣医師、猫専門家(Catvocate)取得。
これまでに小鳥、犬、猫を飼育し、現在はウサギと生活中。小動物(犬、猫、うさぎ、フェレット、鳥、ハリネズミ、チンチラ、レオパ)を日々診察する傍ら、正しい知識の発信にも尽力しています。

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