
獣医師さんが教えてくれる、治療・予防のきほん
皮膚トラブル(細菌性皮膚炎・アトピー性皮膚炎)と東洋医学【獣医師解説】
ペットの通院理由でも上位を占める皮膚トラブル、治療が長引くケースも多く、身体にかかる負担も気になります…。そんなとき、より自然に近い療法である東洋医学はどんなアプローチができるのでしょうか? 「いのちのために。」2回目は、皮膚トラブルと東洋医学について、モナ動物病院の関根 秀子先生にご執筆いただきました。
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関根 秀子先生
獣医師・国際中医師・中獣医鍼灸師の資格をいかし、動物に優しい医療を大切にする先生
東洋医学でできること
西洋医学における皮膚病治療では、抗生物質やステロイドがよく処方されます。
そこに東洋医学的な治療や漢方を併用することによって、それらの薬を軽減したり中止することが期待できるでしょう。
次からは代表的な2つの皮膚病を紹介します。
細菌性皮膚炎と東洋医学
まずは細菌性皮膚炎です。細菌が皮膚に付着して炎症を起こします。
原因となる細菌を取り除く抗生物質を使えばよいのですが、東洋医学ではまず皮膚を整えることを考えていきます。
「湿熱熱毒」という炎症を起こし真っ赤になっている皮膚に「清熱解毒」という効果のある漢方薬を投与し、皮膚の熱を下げ毒を取ります。皮膚の状態を改善することによって本来の皮膚の持つ力を引き出し、自己治癒力を高めることで改善につなげるのです。
アトピー性皮膚炎と東洋医学
次にアトピー性皮膚炎です。アトピーは赤くなって痒い「湿熱」が特徴ですが、そこには皮膚以外の複雑な症状が関係しています。
たとえば、おなかの調子が悪いことは東洋医学では「湿」を発生すると考えます。また繊細な性格やイライラが皮膚のかゆみや熱を引き起こすと考えられています。
これらは皮膚とは関係ないように思われますが、おなかの調子を整えたり、精神面を整える漢方薬を処方することで症状の軽減につながります。
アトピーの犬です。アレルギー反応の出るものを食べたり、花粉の季節には皮膚が赤くなります。
漢方薬を服用し皮膚の発赤を抑えています。とても症状のひどいときやスギ花粉の時期などは抗アレルギー剤やステロイドなどを服用することもありますが、漢方を服用するようになってからは、以前にくらべて投与量は格段に減りました。
編集部より
とても身近な疾患である皮膚トラブル。愛するペットにかかる負担はなるべく抑えてあげたいですよね。
薬が合わず辛そうなときや治療が長期にわたるなど不安なときは、ぜひ相談してみてください。